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グランエアド王国編
90話 主人公、困惑する
しおりを挟む「一緒に行きたいって、どういうこと?エア様って、危険な場所も大丈夫な人?」
「エア様も戦闘訓練はしてるからね。行けなくはないと思う。でも、タクミから聞いたソラの性格だと、危険な仕掛けがあるかもしれない。本当なら同行は断るところなんだけど、場所がなぁ。」
「場所?」
「見つかった遺跡ってのは、このグランエアド王国の祭壇がある場所なんだよ。この国の祭壇は、昔の遺跡を利用して作られているんだ。」
「祭壇がある場所には、王の許可がないと行けないからね。ジークがエア様にその話をしたら、ボクも行くって言い出したらしくって。」
「でも、エア様が興味を示すなんて、珍しい。いつも自分のことにしか興味無いのに。何が気になったんだろう?」
「タクミはどう思う?エア様が同行しても大丈夫かな?」
「ソラは酷いことはしないと思うけど、僕達の常識では理解できないところがあるからなぁ。絶対安全とは言い切れないよ。」
「それでも、ボクは行くよ!」
部屋にエアが乱入してきた。
「なっ!エア様!どうしてここに?」
「君達に同行するのを、ジークが許してくれないんだよ。だから、先に君達の許可をもらおうと思ってね。そうすれば、ジークもダメだって言わないかなぁって。」
「エア様、それはダメだよ。僕達がジークに怒られるから!ジークって怒ると怖いんだよね。」
「そうだよ。ジークに怒られるのは、エア様だけにしてよ。」
リオンとシオンが、本当に迷惑そうに抗議する。
「えっ?ボクだって、嫌だよ。そうだ!タクミがジークを説得してよ!」
なんで、僕が…。
「そもそも、なんでエア様は僕達に同行したいの?」
「あそこの遺跡には秘密があるって前から思ってたんだよ。これは、秘密を明らかにする絶好の機会だ!」
「秘密があるって?そんなこと聞いた事ないよ。」
「昔から知ってるけど、普通に祭壇があるだけの空間だよね?」
リオンとシオンが疑問を口にする。
「あそこで音を出すと、不思議な現象が起こるんだけど、知ってた?」
「「えっ?聞いたことないよ?」」
「耳が良いボクにしか聴き取れないものかもしれないけど。ある特定の音を出すと、周りの遺跡に反響して、響き合うことがあるんだ。まるで歌っているかのようにね。絶対なにか秘密があると思うんだ!」
エアが力説している。余程気になるものがあるんだろう。
「では、仕方ありませんね。」
エアの背後からジークが現れる。
びっくりした!
ジークは、気配を消すのが上手いようだ。
「そのような理由があるなら、言ってくださればいいのに。」
「えっ?理由を言ってたら、許してくれてた?」
「いえ、それはまた別の話です。」
「なんだよ!これだからジークは!」
まるで兄弟のような会話だ。
エア様とジークは、とても仲が良いんだね。ガルシア様と朔夜みたいだ。
「反対していたのは、エア様を守りきる自信が無かったからです。いまこの王宮にいる中では、自分が一番戦闘力がありますが、それでも不安でした。ですが、強力な助っ人が来てくれましたからね。」
「強力な助っ人?」
エアの怪訝そうな顔が、一瞬で嫌そうな顔にかわる。
「おう!久しぶりだな!エア!」
扉から入ってきたのは、アースにいるはずのガルシアだった。
「なんでガルシアがここにいるんだよ!」
「えっ?俺もソラっていうドラゴンに会いたいと思って。ガンガルシアにダンジョンを移設したいって申し出を受けたんだが、こういう事は本人に会って決めるもんだろ?」
「なんだよ、その理由!ガルシアなんて、全然助っ人にならないよ!」
エアがガルシアに、強く抗議している。
「なに?エア様って、ガルシア様のこと好きじゃないの?」
僕はこっそり、隣のシオンに聞いてみる。
「ガルシア様って大雑把なところがあるからね。エア様が一方的に毛嫌いしてる。どうも以前、その耳本物か?って、ウサ耳を引っ張ったことがあるらしい。エア様にとって、ウサ耳は自慢のチャームポイントだからね。そんなことされて、ものすごく激怒したって聞いたよ。」
「なるほどね。ガルシア様なら、やりそうだね。」
僕達がヒソヒソ話をしている間にも、エアの口撃は続く。
「だいたいね。ガルシアなんて、戦闘能力ゼロでしょ?そんなのが一緒にいたら、足手まといだよ。迷惑!」
「ふふん。そう言うだろうと思って、うちの王宮で一番のヤツを連れてきたぞ!」
ガルシアがドヤ顔をする。
「ガンガルシア王国最強のサーシャだ!」
ガルシアがそう言ってドアを開けると、2メートル近くもある大きな女性が立っていた。
「もう部屋に入ってもいいのかい?なんだって、ドアの前で待てって言ったのかねぇ?ガルシア様には困ったものだよ。」
女性はブツブツ言いながら、部屋へと入ってくる。
やっぱり大きい!
でも、すごくスタイルがいい。筋肉質だけど、出るところは出てて腰は細い。ボンキュッボンってやつ?
なに?このお姉さんは?
「ガンガルシア王国主催の闘技大会で優勝したサーシャだ!ドラゴノイドで、ものすごく強いぞ!」
えっ?ドラゴノイド!?
応援ありがとうございます!
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