異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

文字の大きさ
101 / 247
グランエアド王国編

91話 主人公、遺跡の秘密を知るー1

しおりを挟む
 

「ドラゴノイドってことは、トールくんと同じってこと?」

「タクミ、サーシャはトールの師匠なんだぜ。サーシャ、こいつがタクミ。先祖返りのドラゴンだ!」
 ガルシアが僕とサーシャにお互いを紹介してくれる。
「あんたがタクミかい?噂は聞いてるよ。一度、手合せ願いたいね。」
 サーシャは僕を鋭い視線で見る。

「無理です!無理です!僕は戦闘とかしたことないですから!戦えませんよ!」

「そうかい?残念だね。まぁ、いいさ。アタシの狙いは、ソラっていうドラゴンだよ。行けば戦ってくれるんだろ?ドラゴンと戦ってみたいと思ってたんだよ。」
 サーシャは、そんなことを言いながら、拳を握っている。

 うわぁ、この人ヤバイよ!

「サーシャが一緒であれば安心です。エア様、この条件を飲んでいただけるのなら、同行を許可しましょう。」

「ガルシアはイヤだけど、この機会は逃せない。うーん。仕方ない!ガルシアのことは我慢する。」

「では、このメンバーで行くことにしましょう。何があるか分からないので、少数精鋭で行くことにします。」

 こうして、僕達はグランエアド王国の遺跡に行くことになった。



 グランエアド王国の祭壇がある場所は、巨大なクレーターのような地形だった。
 くぼみの中心が湖のようになっていて、その湖の周りを囲むように、古い遺跡が建っている。

 ギリシャのパルテノン神殿みたいな太い柱が特徴的な建物群だ。風化が進んでいるのか、ところどころ崩れている。

 フラルアルドで行った特A級の神殿を想像していた僕は、不思議に思う。

 ここには、屋根のない建物しか残ってないよ。本当にここであってるのか?

 祭壇は湖の中心にあり、祭壇まで一本道が出来ている。その道の入り口にあたる場所に閉じた門のような遺跡があった。

 ジークはその前で立ち止まる。
「タクミ。この門にドラゴンの紋様が見つかりました。我が国のドラゴノイドに確認してもらいましたから、間違いないと思いますが、タクミも確認してください。」

 そう言われた僕は、ドラゴンの瞳を発動させる。確かにあの紋様が確認できた。

「へぇ、これがドラゴンの紋様かい?」
 サーシャもドラゴンの瞳を発動したようだ。

 ん?でもドラゴンの紋様以外にも何かが見える。文字のようだが、意味が分からない。

「サーシャ、何か文字みたいなものが見えるんだけど、分かるかな?」

「タクミ、すまない。アタシはドラゴンの瞳を上手く使いこなせなくてね。アタシには、ドラゴンの紋様が薄っすら見えるだけだ。」

「そうなんだ。もっと精度を上げてみるかな。」
 僕は神経を集中して、その文字を見る。

 ウンディーネを祀る神殿、セイレーン族の文字。

 データとして把握できるのはこれくらいだな。文字は意味が分からないと解読できない。これは僕には理解できない文字の配列のようだ。

 でもこれが、この遺跡の秘密を解く鍵に違いない。みんなにもこの文字が見えたらいいのに。見えるようにならないかな?

「タクミ!出来るよ!表示しようか?」
 僕の心の葛藤を感じたミライが、そう提案する。

「えっ?ミライ。そんなこと出来るの?」

「あい!タクミが見ているものを表示するね。これだよ!」

 ミライはそう言うと、いま僕が見ている文字を空中に再現してみせた。

「んっ?この文字には見覚えがあるよ。」
「うん、昔、ライルが解読してた文字に似てる気が。」
 その文字にリオンとシオンは、見覚えがあるようだ。

「この遺跡は、ウンディーネを祀る神殿だったようだよ。そして、その文字はセイレーン族が関係していると思うんだけど。」

「セイレーン族…。あっ、たしか!ウサ子!ライルのメモリアに繋いで。セイレーン文字の解読一覧があった気がする。」
 リオンがウサ子にお願いする。

 が、ウサ吉が現れて、「解読一覧から、文字を照合。解読に成功しました。表示しますか?」と、言う。

 うーん、仕事が早いね!
 この世界の精霊って、ホントに万能な秘書、執事だなぁ。

「お願い!」というリオンの声で、空中に解読された文字が現れる。

『響け、音よ。弾けろ、音よ。歌えよ、高く。歌えよ、低く。音は溶け込む、大地に空に。水に響けよ、〇〇〇』

 最後の文字は分からないようだ。
 そして、良く分からない数字の羅列が続く。

「これで解読は合ってるのかよ?さっぱり分からねぇな。」
 ガルシアが首を傾げている。

「野蛮なガルシアには分からないだろうなぁ。」
「なんだよ!エアには分かるっていうのか?」

 表示された文字と数字をジッと見ていたエアが、なにかに気付いたようだ。

「ジーク。ハープ出して、僕についてきて。ウサ吉は、このデータをジークに送って。みんなは、ちょっとここで待っててね。」

 エアはそう言うと、ジークを連れて祭壇の方に歩いていく。そして、祭壇の真ん中でジークになにやら指示をすると、ジークがハープを弾き始める。

 ジークって、楽器弾けるんだ!
 しかも、かなり上手だ。

 ハープの音が響き渡ると、場所に異変が起こった。

 音が共鳴してる!
 このくぼみになってる空間と柱が特徴的な建物。それらが複合的に作用して、音が響き合う。

 空気が震えている。
 でも、何かが足りない。僕はそう直感する。

 が、次の瞬間、さらに音が空間を震わせる。
 エアが、ハープの音色に合わせて歌い始めたのだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

処理中です...