異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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グランエアド王国編

97話 主人公、空白の歴史を知る

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 王宮の最上階での食事を終えた僕達は、自分の部屋ではなく、リビング部屋に戻った。リオンとシオンに、ソラから学んだことを教えて欲しいと言われたからだ。

「ふぅん。じゃあ、ドラゴノイドに変現できるようになったんだね?」

「うん。一部分だけど。」
 僕はそう言うと、腕だけに竜の鱗をまとう。

「なるほどね。なら、そろそろ戦闘訓練でもしようか?人が少ない地域だと、人を襲うケモノも多い。ドラゴンの防御力があれば、タクミは生き残るだろうが、一緒に同行している人を守るためには、攻撃力も必要だ。攻撃で牽制している間に仲間が逃げることもできるし。」

「倒すための攻撃力じゃないんだ?」

「追いかけて来ないなら、無理に倒す必要はないだろ?この世界では、害のないものは基本放置だよ。倒すのも面倒くさいし!っていうセシルさまの教えだ!」

 面倒くさいって…。どんだけ怠惰なんだよ!

 そんな話をしていたら、ライルがフラフラしながら、部屋に入ってきた。

「どうしたの?そんなフラフラで。」

「うーん。解読できるところまでもう一歩だと思うんですけどね。なぜか上手く意味が繋がらないので、困っています。」

「あっ、そう言えば!ソラから伝言だよ。『書いてある事が全て真実とは限らない』だって。」
 リオンが、ソラの言葉を伝える。

「全て真実とは限らない?」
 そうつぶやいたまま固まるライル。

 それを見たリオンが、ダグザ茶を出してくれる。
「もう少し時間がかかるから、お茶でも飲んで待とう。」
 こうなったライルが正気に戻るためには時間が必要だと、ライルと長い付き合いのあるリオンは知っていたのだ。

 リオンの出してくれたダグザ茶が無くなる頃、ようやくライルが動き出す。
「やっと繋がったよ!僕の考えを聞いてくれるかい?」
 表情が別人のように晴れやになっている。解読に成功したようだ。
 そして、ライルは解読結果を話し出した。



「この本が書かれたのは、まさに空白の歴史と呼ばれる期間です。そもそもこの世界の古文書は、後世に残すために書かれるものが多いので、一冊の中で内容が二転三転することは珍しいですが、この本の内容には矛盾するものが見受けられました。だから、解読に時間がかかったのです。」

「わざと分からないように書いてたってこと?」

「いえ、それは違います。実物を見たことでその謎は解けました。これは、神殿に仕える神官たちが代々受け継ぐ日誌みたいなものだったのです。使い込まれたような跡は、そのためです。書き手が変わると、書き方や表現の仕方が変わりますからね。それで、余計に解読しづらくなってたと思われます。」

「あー、人によって書き方って全然違うもんね。」

「自分が体験したこと、伝聞で知ったこと、などを神官たちが持ち回りで書き記した。だから、矛盾があったのです。そこで、この本の中で共通項が多い内容だけをまとめてみました。

『昔、精霊王と呼ばれる偉大な王がいました。精霊王には不思議な力があり、その力のおかげで人々は平和に暮らしていました。

 ある日、異世界からヒト種が移住してきました。ひどい戦争で住む場所を追われた者達でした。

 精霊王は、大いなる慈悲の心で、このヒト種を受け入れました。精霊王の不思議な力とは、異世界の扉を開ける力だった。ヒト種の嘆きに応じて、異世界の扉を開き、移住を許したのです。

 しかし、これが悲劇の始まりでした。

 精霊王が治める世界には、獣人種や妖精種が多くいましたが、住み分けが出来ていたので、争い事はありませんでした。ヒト種が移住してくるまでは。

 ヒト種は、寿命は最も短いですが、繁殖力が最も強かった。あっという間に数が増えて、獣人種や妖精種と領土争いを始めてしまったのです。

 そしてついに、その日が来た。

 ヒト種は、精霊王に刃を向けました。精霊王を亡き者にして、この世界を支配しようと企んだのです。

 精霊王は心優しい王でした。だから、ヒト種がそんなひどいことをするとは思ってもいなかった。

 ヒト種の悪意の塊のような策略に嵌まった精霊王は、殺されてしまった。失望は絶望にかわり、そして、憎しみにかわりました。

 精霊王は、ヒト種を呪いながら死んでいったのです。

 醜いヒトのさがによって、今度は自らが滅びるがいい、と言い残して。

 精霊王の死によって、大地には異変が起きました。作物は育たず、天変地異が頻繁に起き、この世界の人々の数が激減しました。この暗黒の時代は200年も続きました。

 生き残った獣人種や妖精種は、ヒト種を激しく憎むようになりました。こうして、それぞれ数が激減したにも関わらず、戦争ばかりするようになったのです。』

 表現はそれぞれ違いますが、共通している話の内容は以上です。この本を書いた神官たちは、精霊王を祀る神殿の神官のようですね。精霊王への畏敬の念が強く感じられます。」

 ヒト種のせいで呪いが始まった?
 ってことは。

「もしこの内容が真実だとしたら、ヒト種への憎しみが広がってしまうんじゃ?」

「いや、それはまず無いよ。だって、この世界にはもう純血のヒト種は居ないから。みんな混血なんだよ。」

「それに、大いなる呪いの実害って、もうほとんど無いからね。多くが異世界から入ってくる怪異と呪われし者である王だけど、王が怪異になることは滅多にある事じゃない。この世界でグールに憑かれる者は、今では本当に少ないんだよ。」

「それでも、この内容は公表できるものではありません。真偽が不明ですし。」

「そう言えば、もう一冊には何が書いてあったの?」

「精霊王の呪いについてです。そちらはかなり信憑性が高いと思います。説明しますから、聞いてくださいね。」

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