異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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グランエアド王国編

98話 主人公、大いなる呪いを知る

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「タクミは七つの大罪って言葉を知っていますか?」

 ライルの言葉に、僕は記憶を呼び覚ます。

「うーん、なんか聞いたことはあるけど。アースの某宗教の考え方にあるヤツだよね。んーっ、でも詳しくは知らないなぁ。」

「タクミ、七つの大罪についての情報が必要?」
 ミライが聞いてくる。
 そんな気遣いもできるようになるなんて、成長してるなぁ。

「ミライ、分かるの?じゃあ、お願い」

「あい!七つの大罪とは、人を罪に導く欲望や感情のことで、強欲、傲慢、嫉妬、憤怒、色欲、暴食、怠惰の七つが有名、だよ。」

「はい。ミライ、ありがとう。だいたいその認識であっています。セシリアの初代王はこの世界の王に、共通する特徴がある事を経験上、知っていました。」

「初代王って、500年前のセシルさまだね?」

「この世界の王は7人です。それぞれ、特別な才能がありましたが、それ以上に強烈な特徴があったのです。例えば、初代王の口癖は『面倒くせーな』だった。そう、とても怠惰だったのです。それこそ、生きるのも面倒だと思っていたようで、食事をしないこともよくあった。」

「何だそれ?もう怠惰のレベル超えてるよね?」

「はい。王は特別な才能を得たかわりに、度を超えた性質を持っていた。初代王は、異世界アースに似たようなものがあることを知って、この世界の王に当てはめたのです。

 セシリア王は《怠惰》
 フラルアルド王は《強欲》
 グランエアド王は《嫉妬》
 マルクトール王は《傲慢》
 イリステラ王は《色欲》
 ベアルダウン王は《暴食》
 ガンガルシア王は《憤怒》

 各国の王になる者は、必ずこの性質が強く備わっていた。
 代々の王は、性格や姿形はまったく異なるのに、この性質だけが共通していました。そして、この性質により、身を滅ぼす者がいた。そこで初代王は、各国の王に二つ名を付けて、気をつけるように諭したのです。
 こうして、各国の王は名前を受け継ぐことになりました。」

「セシリア王であるセシルさまは、王様たちに《怠惰》のセシルって、呼ばれているんだよ。」
「お互いをそう呼び合うことで、自分の本質を忘れないようにしてるって言ってたよ。」
リオンとシオンが、教えてくれる。

「そうだね。誰かに言われないと、こういう事って忘れがちだよね。でもこの王様達の性質って、精霊王の呪いってこと?精霊王が言い残したって言葉がまさにそうだよね?」

「この古文書には、呪いと思われる現象が多く書かれていました。特にグールや怪異、特別な才能をもった人物のこと。
『醜いヒトのさがによって、今度は自らが滅びるがいい』という精霊王の言葉どおりの現象に注目したのでしょう。」

「王様達は、この精霊王の呪いを一番強く受けてる人ってことなのかな?」

「そうかもしれませんね。七つの大罪とは、このような性質が強すぎると身を滅ぼすぞ、という戒めなのです。王の中には、まさにこの性質で身を滅ぼす者がいましたし、この性質は周りの者達にも影響が及びます。この世界の争いの中心にいるのは、いつもこの王の性質を持った者だったのです。」

「そういう人達の話を特に書いてたってことか。」

「これを書いた神官たちは、直接外界と接することを禁じられていたようですが、情報だけを収集する者達を多く抱えていました。そして世界中の情報を集めて、この本に書き記した。信憑性が高いと言ったのは、他の遺跡で発見された古文書にも似たような記載があったからです。世界の秘密を探ろうとしている謎の集団のことを書いた古文書がいくつか見つかっています。」

「じゃあ、この神官たちは精霊王が死んだ後、閉鎖的な生活をしながら情報を集めて、この事を後世に伝えるために書き記したってこと?」

「そう解釈することもできますね。精霊王の呪いによって、世界の人口が激減した。精霊王が死んでからの200年間はまさに暗黒の時代だったのでしょう。」

「だから、空白の歴史なんだ?」

「人口激減により、このことを後世に伝える人達も減ったことも一因かもしれませんが、一番の理由は精霊王の呪いを恐れて、語るのをやめてしまったのでしょう。」

「恐ろしい事は無かったことにしたいってこと?」

「特にヒト種にとっては、忘れたい過去ですからね。暗黒の時代を過ぎると、ヒト種が台頭します。繁殖力が強いので、数が爆発的に増えて、ヒト種の国が増えましたから。暗黒の時代と精霊王に関する書物はヒト種によって、破棄されたのかもしれません。」

「その可能性はあるね。その時代に関する書物は、本当に少ないんだよ。だから、空白の歴史なんだ。でも、書物は無くなっても、大いなる呪いという呼び名はなくならなかった。人々が言葉で語り継ぐことを禁止することなんて、できないからね。」
シオンがそう断言する。

「そうですね。でも口での伝承は変異します。この神官たちは、できるだけ真実のみを伝えようとしたのだと思います。だから、何人もの書き手によって記すことにした。」

「そうか!人が何かを記すときは、必ず主観が入るからね。」

「どういうこと?」

「同じ出来事でも、人によって捉え方が違うってことだよ。だから、それを書き記すときに表現が異なってしまう。」

「前に元警察官の探偵に聞いたことがあるよ。事件の目撃者達に話を聞くと、全く同じことを話すことは稀だって。だから、共通する部分に特に注目するって言ってた。逆に全く同じことを話す場合は、口裏合わせをしていることが多いんだって。」

「リオン。探偵の知り合いがいたの?」

「グール討伐でやらかしちゃって…。って!それには触れないでよぉ!」

「ふふっ、リオンにも困ったものです。僕が歴史を考察する場合は、必ず複数の資料を参考にします。ひとつだけでは、真実かどうか判断できませんからね。」

「でも、この呪いに関する古文書は信憑性が高いんでしょ?だったら、もう一冊の精霊王の話も本当のことかも。」

「その可能性はありますが、まだ何とも判断できませんね。とりあえず、もう少し読み込んでみます。他にも分かることがあるかもしれませんから。」

 ライルはそう言うと、自分の部屋へ戻っていった。

「はぁ、それにしてもすごい内容だったね。本当のことなのかな?」
 僕の問いに、リオンとシオンも返答に困る。

「僕達の研究対象はグールだけど、そのグールの原因が精霊王の呪いだって言われてもね。」
「そうだよ。じゃあ、どうやってこの呪いを解けばいいのさ?」
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