異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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グランエアド王国編

105話 主人公、批評家を知るー7

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「ホンファには、色々な経験が足りないよ。あのおっさんの批評を受けとめられるくらいにならないと!」
 エアが珍しく熱弁している。

「たしかにホンファは聡明ですが、感受性が強過ぎるせいで、人の感情を素直に受け取ってしまうところがあります。あの方の批評も、その言葉通りに受け取ってしまった。世界には色々な人がいるんだね、くらいに考えられるようになるといいのですが。」
 エアの言葉に、ドロシーも同意する。

「うん!だから、ホンファには経験が足りないってこと!だって、君ってまだ恋もしたことないでしょ?」

「なっ、なっ、なっ、何言ってるの?」
 ホンファが激しく動揺している。

「君はまだ18歳だ。恥ずかしいことじゃない。これから経験すればいいんだ。だから、ボクの王宮に来なよ!ここでは経験できないことが待ってるよ!」

 これって、勧誘なのか?

「それに、もうアースのことも人工精霊のことも知っちゃったんだから、拒否できないよ~。」

 きょ、脅迫だ…。

「ホンファ、諦めてください。エア様は一度決めたら諦めるということをしませんからね。貴女が諦めてくださいね。」

「私が王宮に仕えるのは決定ってこと?」

「そうだよ!ボク専属の作詞家としてね!」

 ごっ、強引過ぎる…。

 僕の横ではリオンとシオンが、諦めたような顔をしている。
 エア様ってたぶん、いつもこうなんだね。

「えっ、でも私なんて…。」

 すっかり自信を無くしているホンファに、エアが話題を変える。

「そういえば、ホンファはどうして批評家をやろうと思ったの?あれは絶対実名公開だから、抗議も受けるだろ?」

「私が勧めたのです。」
 ドロシーが答える。
「ホンファは詩を公開しても、実名での感想を書いてもらえないので、すっかり自信を無くしていました。私は、そんなホンファに元気になってほしかった。だからホンファが好きそうな服や本を紹介して、他に目を向けるように言ったのです。そして、ブランカの服に出会った。まだその頃のブランカは有名ではありませんでした。ホンファは言ったのです。この服は舞台の上で輝くのよ。どうしてみんな分からないのかしらね?って。
 私はピンときました。だからホンファに批評を書くように勧めたのです。もちろん、批評を公開するメリットとデメリットを話しました。その後、ホンファは覚悟を決めて、批評を公開したのです。」

「私の批評で、私の大好きなブランカの服がもっと輝くといいなって思ったの。だから、批評を公開した後のことなんて、考えなかったわ。私が好きなものを自信を持って批評してるのだから。私のことはどうでもいいの。それで、少しでもブランカの服が輝けば、それで良かったのよ。」

「うん!やっぱり思った通りだ。ホンファ、君とボクは同じ人種だ!」

 このエアの言葉に、ホンファが怒り出す。

「はぁ?アイドルの貴方と地味な私が同じ訳ないでしょ!私があんな批評をしたのは、エアリーに嫉妬したからよ!ブランカの服を着ても、貴方はエアリーだった。ブランカの服にも負けない輝きを持ってる。そこに嫉妬したのよ!」

「だから、同じだよ。ボクは《嫉妬》のエアだ。ボクの動力源はね。この嫉妬の感情なんだよ。ボクより優秀な人を見たら、羨ましい!って思う。だから、負けられない!って頑張るんだよ。ボクが努力しても手に入れられない才能は、王宮に仕えてもらえばいいんだってことに気付いて、ジークやブランカを勧誘した。そして、ホンファ。ボクには無い才能がある君もね。」

「私には才能なんて…。」

「ありますよ。」
 ジッと話を聞いていたジークが、そう断言する。

「貴方、私のこと嫌いなんじゃないの?」
 今まで散々、厳しいことを言っていたジークにそんなことを言われて、ホンファは困惑する。

「そんな事は一言も言ってませんよ。貴女には経験が足りない、と申し上げただけです。批評家としての貴女は素晴らしいですし、詩人としても、経験を積んでもっと色々な感情を表現できるようになれば、変わると思いますよ。フローラル・ルージュに実名で感想を書かなかった人達は、そんな貴女の繊細さに気付いていたのだと思います。いま実名で感想を書いてしまったら、貴女が成長しないと思ったのでしょう。まぁ、一番は貴女の詩がまだまだ未熟だと言うのもありますが。」

 やっぱりジークはキビシイな。

「貴女が詩を批評されてショックを受けたのは、自信が無いからです。いま貴女が自分で言った通りですよ。批評は自信を持って書いてるのだから、何を言われても気にならないと。貴女の詩には迷いがある。そこがいいところでもありますが。」

「えっ?私の詩を読んだことがあるの?」

「ええ、もちろんですよ。」

「!!!」
 ホンファの顔が赤くなる。

「ボクの感想を書いてくれてたのは、ジークだよ!ボクには精霊がいないからね。いつも誰かを介して感想を書き込むんだよ。」

「エア様っていつもペンネームなの?」

「タクミ。当たり前じゃん!『この国の王様のエアだけど、君の作品いいね!』って言うの?それはダメだよ!」

「エア様は、良くも悪くも影響力がありますからね。フローラル・ルージュに迷惑がかかるのを気にしていたのですよ。」

「ごめんなさい。エア様、ジーク。ちゃんと私の詩を読んで意見を言ってくれてたのね。でもまだ複雑な気持ちなの。」

「感想をいつもくれるアイリと嫉妬しているエアリーが同一人物、しかもエア様だと判明して、ホンファは混乱しているようです。少し考える時間をください。」
 ドロシーが深々と頭を下げる。

 うん、これで一件落着かな。
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