異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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グランエアド王国編

104話 主人公、批評家を知るー6

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「「あっ、貴方がアイリだったの?」」
 ホンファとドロシーが、見事にハモる。

「そうだよ!いつも感想を書いてたよ。『今回の詩もすごくいいよ。とっても元気になったよ』って。」

「アイリは、私が詩を公開するたびに感想を書いてくれてた。実名で書いてくれないのはどうしてだろうって思ったこともあったけど、アイリがいたから続けることができたの。」

「ホンファは、感受性が豊か過ぎるところがあるので、感想を読むことは反対でした。批判的な感想を読んだら、きっと詩を書くのをやめてしまうと思ったからです。でもアイリがいた。少し批判的な感想を書く人もいましたが、それ以上にアイリが褒めてくれるので、ホンファは続けてこれたのです。」

「どんな感想があるの?」
 僕はこの世界のことをよく知らないので、素直にドロシーに聞いてみる。

「いろいろありますが、一番多いのは、『もっと流行はやりのワードを取り入れてみたら?』というものです。」

「流行り?この世界にも流行りゅうこうってあるんだ?」
 僕はこっそりミライにささやく。
「そりゃ、あるよ。ランキング1位の人のワードが人気出たりするよ。」
「そうなんだ。」

「私には流行りのワードなんて、使えないわ。だって、書きたいものを書いてるだけなんだもの。だから、ただ言葉を並べてるだけっていう指摘はあってるのよ。」

「ボクは素直でいいと思うけど。」
 エアがそう言うが、やっぱりホンファはエアの言葉を聞いていないようだ。

 ホンファってば、エア様のこと嫌いなのかなぁ?

 すると、今まで黙って聞いていたジークが話し出す。
「ホンファ、貴女はなんのために詩を書いているのですか?」

「なんのため?」

「この世界で仕事の成果を公開する人の思いは様々です。ランキングに入ることを目標にして頑張る人、ランキングなんかには目もくれず自分の仕事だけに夢中になってる人、後世の人達のために仕事をする人。貴女はどのように考えているのです?」

「そっ、それは…。」
 ホンファは少し考えてから続ける。
「書きたいから書いてるの。」

「では他人の評価なんかどうでも良いではないですか?なぜ、そんなに落ち込むのです?」

「そうだけど……。やっぱり誰かに認めてほしかった。だから、1人でもいい。実名で書き込んでくれたらいいな、一人前だって認めてくれたらいいな、と思って続けていたの。でも初めて批評してくれた人は、私のことを思い切り否定した。ショックだったわ。」
 思い出したのか、ホンファはまた泣きそうな顔になっている。

「そうですか。では批評をした人は正しかった。やはり貴女には経験が無さ過ぎる。」

「そうよ。私なんて…。私、もう詩を書くのは止めるわ。」

「ちょっ、ちょっと待ってよ!もうジークは言葉がキツイんだから!ホンファ、違うよ。勘違いしないで。あの批評を書いたおっさんは、いつもそうなんだよ。」

「いつも?」

「あの人は、エアリーにも批判的な批評を書く。ボクも最初は何だよ!このおっさん!って思ったけど、何度も批評されるうちにある事に気付いたんだ。このおっさんは、言葉の使い方がヘタなだけなんだなって。」

「どういうこと?」

「あの批評はね。『今はまだ言葉を並べているだけだけど、経験を積めばもっといいものが書けるようになるよ』っていう意味なんだよ。」

「なっ、何よ、それ……。」
 ホンファが言葉を失っている。

「だよね?そうなるよね?あのおっさんは、知ってる人の間では、結構有名な人なんだよ。どんなに無名の作品でもチェックして、批評してるから。特にまだまだ実績のない人の作品を批評することで有名なんだよ。」

「えっ?でもその人、批判ばかりするんだよね?初めて間もない人には、キツイんじゃない?」

「そうだよ、タクミ。だから、書くことをやめてしまう人もいる。けど、そのおっさんの言葉を良いように解釈して、そのまま続けた人は、だいたいその道で有名になる。そうなった後で、そのおっさんに文句を言うんだよ。あの時はよくも変な批評をしてくれたな!って。」

「でも、言葉づかいは直らないんだ?」

「そう。だから知ってる人はあきらめてる。そのおっさんは実名で、覚悟を持って批評してるからね。すごい数の抗議があるはずなんだけど、やめないんだよ?よほどの覚悟を持って批評してるんだ。」

「へぇ、この世界には色々な人がいるんだね。」

「そうだよ。この世界には、人を害してはいけないっていうルールがあるだけだからね。何をしても自由なんだよ。」

「えっ?そのおじさんは他の人の気分を害してるよね?」

「人を害してはいけないってのは、身体的な外傷はダメってこと。そのおっさんのコメントで精神的なダメージを負うってことなら、パートナー精霊が拒否するようになる。そこまでになると、おっさんはその拒否された人への感想や批評が出来なくなる。」

「そのおじさんのパートナー精霊は、何も言わないのかなぁ?」

「この世界は自由だからね。そのおっさんを良いっていう人もいるかもしれないし、何よりそのおっさんが良いって思ってるものを他人がどうこうできるものじゃない。やめさせることは出来ないから、拒否をするんだ。でも、拒否までする人はこの世界にはあまりいないよ。」

「えっ?そのおじさん、迷惑だよね?」

「あー、そういう人なんだなぁで納得する場合が多いよ。だって、そのおっさんにやめさせることなんて、誰にもできないだろ?人を諭せるほどの人物ってどんな人?少なくとも、ボクはそんなできた人物じゃないし。」

「なるほどね。」

「だからそういう意味でも、ホンファには経験が足りないってこと!だって、君って、まだ18歳でしょ?」

 はいっ?ホンファって18歳なの?
 こんなに落ち着いているのに?!
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