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グランエアド王国編
103話 主人公、批評家を知るー5
しおりを挟む「だから、ホンファを止められなかった私も悪いのです。ホンファだけを責めないでください。」
羊のドロシーが、真摯に懇願している。
それを見たエアは、キョトンとしている。
「えっ?ボクはホンファを責めるために呼び出したんじゃないよ!」
「じゃあ、どういうつもり?私のことを馬鹿にしているの?!」
揶揄われていると思ったホンファが、泣きながら抗議する。
「ホンファには、ボク専属の作詞家になってもらおうと思って!」
「作詞家?何言ってるの?私は批評家よ。」
ホンファが不本意だと言わんばかりの表情で言い返す。
「えっ?ホンファって、詩人のフローラル・ルージュでしょ?」
「なっ、なっ、なんのこと、かしら?」
ホンファが思いっきり動揺している。動揺のあまり、涙が止まったようだ。
「フローラル・ルージュの詩には、夢のように不可思議な、とか、咲き誇る華のような、って言葉がよく出てくるじゃん!」
「たっ、たまたまでしょ?」
「いや、ボクは確信してるよ。ホンファがフローラル・ルージュだって!」
「その名前を連呼しないでよ!」
なぜかホンファの顔が赤い。
どうしたのかな?
「タクミ、フローラル・ルージュのことを教えてほしい?」
ミライがこっそりささやく。
「うん、お願い。」
「フローラル・ルージュは、詩人としては新人で、活動しているのは1年くらい。
『咲き誇る華のような恋をしたい
夢のような不可思議な愛を知りたい
あの人は私のことを好きかしら
あの人は私のことを知っているかしら
この気持ち知ってほしい
でも伝える勇気はないの』
こんな感じの恋の詩が多いんだよ!」
うわぁ、これはまたなんていうか、甘酸っぱいね。
「フローラル・ルージュにいいねって感想を書いてる人もいるけど、ペンネームでなんだよ。実名での感想をもらえるようになってはじめて一人前、みたいな風潮があるから、詩人としてはまだまだ新人だね。でも先日、フローラル・ルージュへの批評を公開した人がいた。『こんなただ言葉を並べただけの詩は、詩ではない。もっと経験を積んでから書くべきだ。』って。」
「それって、エアリーのライブの前?」
「あい!そうだよ!」
ホンファがもしフローラル・ルージュだとしたら、実名での感想をもらえてない状態で、初めての批評がこれじゃ、ひどい精神的ダメージを受けてもおかしくない。
「もうやめてよ。そうよ!私がそんな批評をされたダメな詩人よ。」
僕とミライの会話を聞いていたホンファが叫ぶ。
「えっ?フローラル・ルージュは変な詩人じゃないよ。ボクは大好きだけど。この素直な気持ちを綴った詩がね。」
エアがそう話すが、ホンファは耳を塞いで聞こうとしない。
「ホンファは、小さい頃から本ばかり読んでいて、少し夢見がちなところのある子供でした。ある時、ホームが違う男の子に書いている詩を見られて、『こんな恥ずかしい詩を書いてるのかよ』とからかわれてしまったのです。」
ドロシーがホンファの代わりに事情を説明してくれる。
あぁ!いるね!そういうおバカな発言する男の子。
「そこからです。ホンファが詩を書くことを秘密にするようになったのは。そして、誰にも知られたくないと、ホンファが名乗りそうに無いペンネームを考え、ヒッソリと公開するようになったのです。」
「創作は自由なものでなくてはならない。だからペンネームで公開されたものは、絶対本人が分からないはず。なのに、なんでエア様には分かったのかな?」
ミライが疑問を口にする。
「うわーっ!ミライってば、自分で考えて疑問まで出るようになったんだね!成長してるね!あー、ボクも欲しいなぁ!この人工精霊!」
エアがミライを抱きかかえて、触りまくっている。
あっ!エア様、ホンファがいるのにそれは言っちゃだめだよ!
「人工精霊?」
ホンファの瞳がキラリと光る。
「このドラゴンもどきの精霊が、人工精霊?そんな技術はまだ開発されてないはずよ。以前、未完成家が理論を発表してたけど。」
「ホンファって、博識だね。パートナー精霊の補助が必要ないくらいって、すごいね。うん!やっぱりボク専属の作詞家になってもらおうっと!」
「勝手に決めないでよ!」
ホンファって、泣いたり怒ったり、感情の起伏が激しい女性なんだなぁ。でも、こっちの方がいいかも。ころころ表情が変わって、可愛い感じになっている。
エアに抱きしめられたミライが迷惑そうに、エアに抗議する。
「だからぁ!なんでエア様には分かったのか教えてよ!」
「教えてほしい?それはね、ボクがフローラル・ルージュのファンだからだよ!」
「ファン?フローラル・ルージュが詩を公開し始めた最初の方から、熱心に感想を書いてる人がいたよ。ペンネーム、アイリ!もしかして?」
「そう、正解~!ボクがアイリだよ!」
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