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マルクトール王国編
113話 主人公、エスティオに参加することになる
しおりを挟む「「なんかヤダ!!」」
リオンとシオンはライルの言葉に即座に拒否をするが、ライルは「まぁまぁ、そんなこと言わずにお願いしますよ」と言って、内容を話し出す。
あー、これって、絶対拒否できないヤツだ。
「リオンとシオンにやってもらうのは、エスティオの監督官です。」
「エスティオ?」
「あい!もうすぐ成人の子供たちが必ず参加する卒業試験みたいなヤツだよ。」
「そうです。この世界では、成人前の子供たちが必ずこれに参加することになっています。じつは監督官を受けることと引き換えに、ここの閲覧を許可してもらったので。」
「えー、ライルが頼まれたんだから、ライルが監督官しなよ。」
「そうだよ。僕達、監督官なんてやった事ないし。」
「そうしたいのですが、これの解読がありますからね。じつは、今回のエスティオにはエレーナも参加することになっています。」
「エレーナが?」
「はい。ですから、エレーナの事情を知っているリオンとシオンに監督官をお願いしたいのです。それでですね。タクミを参加させるのは、どうでしょう?まだ試用期間ですよね?」
えっ?僕も参加するの?
「タクミは童顔なので、18歳くらいでも通じると思いますよ。スカラで病気治療をしていたので、成人が遅れたことにしたら、問題ないでしょう。」
「まあ、タクミは童顔だからそれでもイケると思うけど。」
「エレーナも参加するのなら、仕方ないか。それにタクミも一度は経験した方がいいと思うし。」
「って!断れなくなってるぅ。」
「だからライルって苦手だよ。こっちが断れない状況にしてから、頼んでくるんだから!」
なんだか分からないけど、リオンとシオンが監督官をやることになっている。そして、僕はそれに参加することに!
ライルって笑顔で無茶を言うタイプだ!
しかも絶対逆らえない、逆らってはいけないタイプだ!
ライルのお願い事には注意しよう。
「はい。ではよろしくお願いしますよ。」
笑顔のライルはそう言うと、大量の書物を抱えて、サッサと部屋を出て行ってしまった。
「「はぁ、これだから、ライルは苦手だよ。」」
双子がため息をついている。
「ところで、エスティオって何をやるの?」
「そうだね。先に知っておいた方がいいね。エレーナも聞いてほしいから。ここに座って。」
リオンがエレーナを近くの椅子に座らせる。
「エスティオは簡単に言うと、問題解決体験。」
「この世界では、自分達の問題は、個々で解決しなくてはいけない。だから、必ず成人前にこれを体験することになってるんだよ。」
「ある問題に対して、どのように考えて、どのように解決するのかを学ぶのがエスティオだ。」
「具体的にはどういうことをやるのかな?」
「問題はその時によって違うんだよ。実際に困っているものを解決するから。」
「この世界では、自分達で解決するのが普通なんだけど、どうしても結論が出ないものはそのままになることが多い。最終的にどうしようもなくなった場合に、王宮に連絡する。」
「連絡を受けた王宮は、それをエスティオに使うんだ。」
王宮に連絡がきたものを、子供達が解決するの?
丸投げか?
「成人前の子供達だけじゃ解決できないんじゃない?」
「そんなことないよ。子供達の方が柔軟な考えがあるからね。けっこうすぐに解決したりする。」
「そうだよ。それにエスティオには、監督官が同行するからね。でも、監督官は手助けはしないよ。あくまでも子供達だけで解決するんだ。どんな結論になったとしてもね。」
「難しそうだね。これまでにはどんな問題があったの?」
「ベアルダウン王国から、広大な農耕地にある川が氾濫するようになったので、何とかならないかっていうのがあったね。」
「そうそう。ダムを作ったり、色々な対策はしてたみたいなんだけど、年々、大雨がヒドくなる。だから、その農耕地の持ち主は困って王宮に助けを求めた。」
「エレメンテでは、何十年かの周期で気温が変動するんだよ。それで、その地域では大雨が降るようになってたんだ。」
「結局、その問題の原因は、全世界規模の気候変動だった。そんなものは解決できないだろ?」
「だから、その時のエスティオに参加したメンバーは、その農耕地を放棄して別の場所に移ることを提案したんだよ。」
「それが正解だったの?」
「この問題に正解はないよ。エスティオに参加しているメンバーは、農耕地の持ち主と話し合って、その結論に決めたんだ。」
「エスティオは、困っている人が納得したら終了。エスティオには正解がないからね。メンバーが違ったら、全然違う結論になったと思うよ。」
「なんだか難しそうだね。エスティオのメンバーはどうやって決まるの?」
「成人前の子供達なら誰でも参加できるよ。何度も参加する子もいるし、一回だけの子もいる。でも必ず一回は参加しないといけない決まりなんだよ。」
「じゃあ、全く知らない子達が集まるんだね?」
「そうだよ。初めて会った者同士で問題を解決するのは、なかなか難しいよ。」
「ということで、エレーナ、タクミ。これを体験しないと成人できないから、頑張ってね。」
リオンとシオンの言い方に、僕は少し不安になって、エレーナの顔を見る。相変わらず人形のように無表情だ。
だが、アドラを抱きしめるエレーナの手に力が入っていたのが見えた。
エレーナもきっと不安なんだろう。
「エスティオは一週間後だから、それまでは戦闘訓練をしよう。エレーナも参加してね。」
んっ?エレーナも?
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