異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

文字の大きさ
132 / 247
マルクトール王国編

120話 主人公、エレーナの秘密を知るー4

しおりを挟む
 

「精霊種は、何らかの原因で精霊が具現化したものだったね?」

「あい!そうだよ。そして、それは精霊濃度が関係してるって考えられているんだ。でも、精霊種の誕生に立ち会った人なんていないからね。真実はわからないけど。」

 精霊濃度?
 そう言えば、ミライを生み出す時に僕のドラゴンの力が必要だとジルは言っていたな。
 精霊を集めてしまうドラゴンの力が。

「エレーナ!蕾の精霊濃度が分かったよ!」
「なんだコレ!通常の数千倍だ!」
 リオンとシオンの驚いた声が聞こえる。

「やっぱり…。ということは…。」
 エレーナが考え込んでいる。

 また時間がかかりそうだね。

 じゃあ、その間に気になっていたことを聞いてみるかな。

「そういえば、エレメンテには精霊種って、どれくらいいるの?ライルはとっても希少だって言ってけど。」

「あい!現在、王宮で把握している精霊種は3人。全員が紋章システムが開発される前の生まれなんだよ。」

 紋章システムが開発される前ってことは、全員500歳以上!

「その中の1人がエルだよ。精霊種はね。ドラゴンと同じくらい希少なんだよ。昔はいっぱいいたらしいけど。」とリオンが教えてくれる。

「精霊種って、そんなに少ないんだね。」

「まぁ、精霊種はヒトとは違う思考の持ち主が多いから、知られていないだけで、どこかにいるのかもしれないよ。」
 シオンが大真面目な顔でそう言う。

 ヒトとは違う?
 ソラも言っていたな。姿形を自在に変化できる精霊種もいるって。

「「長命だしね。仙人みたいなものだよ。」」

 仙人なんて、見たことないよ!
 どんな例えだ!

「とにかく数が少ないし、自分のことを教えてくれないから、精霊種に関してはほとんど謎なんだ。」

「なるほどね。」

 ライルもエルの種族は分からないって言ってたな。

「この世界では混血ばかりになったから、自分の種族が分かる人って貴重なんだけどね。教えてくれないから研究もできないよ。」

「んっ?自分の種族が分かる人が貴重?でもリオンとシオンは、ホビット族なんでしょ?」

「僕達はホビット族の特徴が強く出ただけ。純粋なホビット族じゃないよ。僕達みたいに、特定の種族の血が濃く出ることの方が稀なんだよ。」

 そうなんだ!

「そうそう。普通は種族ごちゃ混ぜなんだよ。コウモリの羽で猫耳っていう人もいるし。」

「特定の種族の血の特徴が強く出た場合、いろいろな弊害があるからね。王宮にスカウトされることが多いんだよ。僕達やライル、ジルみたいにね。」

「このホビット族の血のせいで、いろいろなことがあったよ。だから、自分のことを異常だと思ってしまうエレーナの気持ちも分かる。」
 リオンが悲しそうに言う。

「混血ばかりになったから、年齢が分からない人が増えたんだけど、それでも僕達の見た目は若すぎるよね。混血によって、差別や偏見が無くなったのはいいことだけど。」

「それぞれの種族の大まかな寿命は分かっているけど、その通りじゃない。エレーナの母親のように短命で亡くなる人もいるし、見た目はヒト種なのにびっくりするくらい長命の人もいる。」

 リオンとシオンの見た目は中学生くらいだが、年齢は156歳だ。親しい人が年老いて亡くなるのを見てきたのだろう。

 でも。

「リオン、シオン。この世界には紋章システムの防御結界があるから、事故で亡くなる人はいないと思うけど、アースは違う。僕は、いってらっしゃいって言ったのに、おかえりって言えなかった。僕の両親は事故で帰ってこなかったから。今の僕より若かったのに。
 この世界での死因の多くが、老衰だよね?かなりの病気は克服されてるって聞いたよ。だから、突然いなくなる人がいないっていう点では、エレメンテは良い世界だ。親しい人に急に会えなくなるのは、本当にツライから。」

 リオンとシオン、それに僕も、いろいろなことを思い出して暗くなってしまう。

 すると、そんな雰囲気を吹き飛ばすような声がした。

「お前達は考え過ぎなのです!」
 アドラが大きな声を出す。

 そして、
「いつ誰が亡くなるかなんて、誰にも分からないのです。だから、精一杯いまを生きるのです!」
 と、きっぱりと言う。

「「うん!アドラ、いいこと言うね!」」
 双子の表情が明るくなる。

 そうだね。種族とか関係ないよな。いつ死ぬかなんて、自分じゃ分からないんだから。
 ドラゴンの寿命は2000年って言われたけど、そんなの分からない。だから、アドラが言ったように、今できることを精一杯やろうと思う。

 それにしても、このアドラの言葉。これはリオンとシオンだけじゃなくて、エレーナに聞かせたかったんだろうな。

 僕はエレーナを見る。すると目があった。そして、「リオン、シオン、タクミ!分かったかも!私の考えを聞いてくれる?」と、エレーナが真剣な顔で言う。

 もう人形のような顔じゃない。
 うん。こっちの方がいいよ。エレーナ。

「じゃあ、説明するね。今から1200年前の古文書に、突然ケモノ達が凶暴化して村人を襲った話が出てくるの。原因については書いてないんだけど、そのケモノが出現した場所には突如出現した湖とその周りに生える不思議な草があったと書いてあったわ。」

「数年前に湧いた温泉とオダリ草、凶暴化したカルミナベア。この状況に似てる話だね。」

「そして、今から400年前。ある精霊研究者が面白い仮説を発表したの。精霊濃度が高い場所に長時間存在した物質は、何らかの変化をするんじゃないかって。だから、それによって、色々な種類の動物ができたに違いないと。」

「精霊濃度が生物の進化に影響するってこと?でも、それって確かめようが無いよね?」

「そう。だから、この仮説はほとんど想像。だけど、事実として公開されてるの。それは、実際に精霊濃度の高い場所での実験をしたから。地下で発見されたとても精霊濃度の高い空間に、どこにでも生えている草を植えたところ、大きく成長して、謎の蕾をつけた。その成長記録が公開されているわ。」

「このオダリ草も謎の蕾をつけていて、精霊濃度が高い。似てるね。」

「うん。だから、私の考えはこうよ。あの温泉は精霊濃度が高い場所から湧き出していて、それがオダリ草に何らかの影響を与えた。捕まえたカルミナベアはそれを食べて成長してしまったため、通常とは異なる姿になってしまった。そして、あの精霊濃度の高い蕾が原因で、薬物中毒みたいになったんじゃないかって。」

「なるほどね。精霊濃度が生物に何らかの影響を及ぼすなら、中毒症状が出ることがあるのかもしれない。」
「調べてみる価値はありそうだね。僕達の知り合いに、精霊研究を専門にしてる人がいるから、頼んでみよう。」
「うん。ちょうどいいよ。このマルクトールに研究室があるって言ってたから。」

 エレーナの推測から解決に向けて進みだした。

「エレーナすごいね!」
 ミライが素直な感想を言う。

「エレーナは膨大な記憶の中から、関連がありそうなものを選別して、判断することができるのです。記憶しているものから、答えを導き出すこと。これが知識の正しい使い方なのです。」
 そう語るアドラの顔が、なんだか自慢気に見える。

 実際はフランス人形だから、表情は変わらないけどね。

 うん、でもその気持ちはわかるよ。エレーナはすごいよ。

 今回のケモノは、本当なら討伐されるところだった。たくさんのことを知っているエレーナだから、助けられたんだ。いや、知ってるだけじゃない。知識の使い方を分かっているから、討伐しなくてすんだんだ!

 知っているだけじゃダメなんだな。
 知っていることを、どう使うかが重要なんだ。
 社会人として、分かってるつもりだったけど。

 僕はエレーナのおかげで、知識の使い方を再確認できたのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~

渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。 彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。 剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。 アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。 転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった! 剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。 ※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

処理中です...