異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

文字の大きさ
141 / 247
マルクトール王国編

129話 主人公、話し合うー3

しおりを挟む
 

「さぁ、みんなの意見は出たけど、結論は大きく2つだね。神殿だけ残すか、街と神殿を残すか。困ったね…。」
 アランが悩んでいる。

「もう面倒だから、どっちも無くすでいいだろ?その方が早いぜ。」
 ショウゴが投げやりに発言する。

「街を残すためには、神官になってくれて、街の面倒をみてくれる人を探さないといけないのよね?そんな人いる?見つからなかったら、帰れないってことでしょ?私は早く帰りたいの。時間がかかる案は反対よ!」
 シェラがイライラしたように言う。

「んっとね。ワタシも早く帰りたいから、あんまり時間がかかる案は嫌だなぁ。」
 タツコもシェラと同じことを主張する。

 この2人って自分の都合が一番なんだな。まだ成人前だから、そういう考えになってしまうのも分かるけど。
 この考えのまま成人になるのは、マズイよな。

 この問題はヤスナの依頼だ。自分の都合じゃなくて、依頼者にとって一番いい結論にしたいと、僕は思うんだけど。

「私は、私が考えた案が一番だって思ってるわ。だって私が一生懸命考えた結果なんだもの。誰にも負けてないと思うの。時間はかかるかもしれないけど、ヤスナの希望通りだし、成功した事例があるんだから、今回も成功するはずよ!」
 フロムが熱く語る。

 おっと、フロムは自分にすごく自信があるタイプなんだね。
 でも成功した事例があるからって、今回も成功するとは限らないんだよ。サラリーマンだった僕には、嫌という程、分かっていることだ。

「ボクだって、あまり時間がかかるのは困るけど、結論が出ないと帰れないし。」
 アランはますます悩んでいる。

「だから、全部無くそうぜ!一番手っ取り早いし。」

「そうよ!早く結論を出しましょう!」

 ショウゴとシェラに迫られたアランが、観念したように発言する。

「分かったよ。じゃあ、多数決で決めようか。」

 はっ?多数決?
 多数決になったら、神殿だけ残すっていう案が選ばれてしまう。これじゃ、話し合いの意味がない。

「いやいや、みんな。もう少しちゃんと話し合ってから決めようよ。」
 僕はみんなにそう提案するが、ショウゴとシェラは「何を話し合うんだよ!」と聞く耳も持たない。

 すると、今まで黙って見ていたアドラが話し出す。

「多数決は、もっとも愚かな選択なのです。そんなことを提案するアランはおバカさんなのです。」

 アドラ!話したかと思ったら、アランへの暴言って!それはマズイよ!

「なっ、なんでボクがバカなんだよ!困ったときは多数決だろ?別に変なことじゃない!」
 アランが怒り出す。
 それでもアドラは言葉を続ける。
「多数決は変なことなのです。」

「なんだよ、それ!ボクのホームでは、普通のことだよ!困ったときは多数決で決めてたよ!」

「多数決で決めた内容は、どういうものなのです?」

 アドラの質問に、不審そうな顔で答えるアラン。

「どういうもの?それは。夕飯のメニューで困ったときに、どっちがいいか、みんなに聞いてから作ってたし。」

 夕飯のメニューって…。

「多数決はどちらでも大差ないものを決める時に使用できるものなのです。今回のように、大きく結論が変わる場合には使用してはいけないのです。」

「なっ、何だよ。それ…。」

「夕飯のメニューは、どちらに決まってもみんな食べられるのです。だから自分が希望したメニューが選ばれなくても、そんなに不満に思う人はいないのです。でも今回の問題は違うのです。」

 アドラは淡々と続ける。

「今回、フロム、タクミ、エレーナはすごく真剣に考えました。なのに、それを拒否されたとしたら、とても不満に思うのです。だから、多数決は絶対してはいけないのです。」

「多数決がダメだと言うなら、どうしたらいいって言うんだよ!」

「だから、話し合いをするのです。自分では調べられなかった情報が、他の人から聞けた。話をすることで、新たな発見があるのです。フロムの商業都市の話はとても興味深いですし、シェラの神殿の管理を王宮に任せる話もなるほどと思ったのです。そして、タクミのテングの血を引く人を探して神官を務めてもらうって話も良かったのです。」

「でも、それじゃあ結論は出ないよ!」

「話し合いは、誰かを言い負かすためにするのではないのです。これはヤスナの問題を解決するためにやっているのであって、自分の案が採用されるためにやってる訳ではないのだから。」

「それは分かってるよ。だからボク達はいろいろ考えて、話しているんじゃないか!」

「それは違うのです。フロムは自分の案が最高だと思っていて、譲る気はないのです。シェラとタツコは自分達の都合が優先でヤスナのことを考えていないのです。ショウゴはそもそも他人に興味がないから、常に簡単な結論しか選ばないのです。そして、アラン。」

 アドラは表情のない顔をアランに向けると、こう続ける。

「あなたには自分というものがない。誰かに何かを言われると、すぐに意見を変えてしまう優柔不断な人。だから多数決で決めようとする。それではいけないのです。自分の確固たる意見を持つことが重要なのです。」

「なっ……。」

 アドラの辛辣な意見に言葉を失うアラン。
 そんなアランの代わりに発言したのは、ショウゴだった。

「そう言うお前は何様なんだよ、エレーナ。パートナー精霊が話してるから、何かの病気で話せないヤツかと思ってたけど。お前、昨日、タクミと普通に話してたよな?街の中で見たぞ!タクミとは話せても、オレ達とは直接話したくないってことかよ!偉そうにしやがって!」

 次の瞬間、ショウゴが立ち上がって、椅子を蹴り飛ばす。そして、エレーナに殴りかかろうとする。

 おいおい、いくら短気だからって手を出したらマズイよ。たしかに、アドラの言い方にも問題はあったけど!

 エレーナ!あぶない!

 エレーナを助けようとするが、僕より素早く対応した人がいた。

「はいはーい、そこまで!」
「暴力は禁止だよ!」
 僕が動く前にリオンとシオンが、ショウゴを捕まえていたのだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~

渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。 彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。 剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。 アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。 転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった! 剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。 ※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

処理中です...