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マルクトール王国編
128話 主人公、話し合うー2
しおりを挟む「ボクの考えはこうだよ。」
アランはみんなを見ながら話を続ける。
「昨日あれから、ボクはヤスナに会いに行ったんだ。最初、怒っていたから、話しづらい人かなと思ったんだけど、とっても話しやすい良い人だった。そしていつでも遊びに来なさいって言ってくれたんだよ。ヤスナはこの街に誰もいなくなって寂しいんだと思うな。ヤスナが住んでいるのはこの神殿だから、神殿だけ残れば、ヤスナは暮らしていけると思う。この街を残してほしいっていうのは、ヤスナが寂しいからだよ。だから、ヤスナが1人にならないように僕が会いに来ようと思う。」
ヤスナに会った?
言動に違和感があったことに気付かなかったのかな?
「フロムの考えた案を聞いた時は、とっても良いと思ったけど、シェラやタツコの言うことも、その通りだと思うんだ。」
「で?結局お前の考えはどうなんだよ。」
ショウゴがアランに結論をうながす。
「そうだな。シェラやタツコと同じで、街は無くして神殿だけ残すのが良いのかもしれないって思ったよ。ショウゴ、君は?」
「オレは昨日と同じだ。全部無くすのが、良いと思ってるぜ。まぁ、さっきシェラが言ったことが本当なら、神殿だけ残すってことでも良いけどな。」
ショウゴはブレないな。
「フロムの案は時間がかかり過ぎる。オレ達はずっとこの街にいるわけじゃないからな。成功するのに時間がかかる案は無理だろ。」
へぇ、ショウゴって結構しっかりしてるんだ!短気だけど。
「じゃあ、次はタクミだよ。タクミはどう思う?」
「僕はあれから、この街と神殿の中を詳しく調べたよ。そして、神殿の中で秘蔵の古文書を見せてもらった。ほとんどが昔の知識の書で、中には料理の本とかもあったんだけど、僕が注目したのはこれ。」
僕はミライに頼んで、昨日見つけた家系図の映像を空中に表示してもらう。
「これはこの神殿の神官の家系図だよ。神官は代々、世襲だった。」
「世襲?」
アランがわからないって顔をしている。
あっ、そうか。この世界は親と離れて住んでいるから、良く分からないよな。
「世襲っていうのは、親がしている家の仕事を子供が引き継ぐってことだよ。君達に分かりやすく言うと、ホームにいる親代わりの人、指導者の仕事を引き継ぐってことかな。」
「指導者は仕事じゃねぇし。お前の例えは全然分からねぇな。」
ショウゴがあきれたように言う。
えっ、指導者って仕事じゃないんだ。
あっ、ライルは歴史家って言ってたな。
うーん、じゃあ、分かりやすい例えは…。
「タクミは特殊な病気でスカラにいたのです。ホームのことをあまり知らないのです。だから、タクミも無理に例えなくていいのです。」
アドラがフォローしてくれる。
「タクミ。君の言いたいことは分かったから、話を続けてくれていいよ。」
アランの言葉に話を続ける。
「えっと。神官は代々世襲だったんだけど、この家系図を見ると何回か途絶えた時があったようなんだ。」
「子供が引き継いだんじゃないってこと?」
「アラン、そうだよ。昔は戦争が多かったから、この神殿は何回も存続の危機があったんだ。それでも今日まで続いてきた。ヤスナはそれを知っているから、簡単にここを無くすとは言えないんだよ。」
「なるほどね。」
「この神殿は木造だ。たぶんこの街の住民が協力して建てていたんだ。神殿の奥の壁画に描かれていたよ。ヤスナはだから、この街も残したいんだよ。この神殿を造る技術も誰かに継いでほしいと思ってるんじゃないかな?」
「ってことは、タクミの考えは…。」
「うん。この街も込みで残したい。この神殿はテングの種族が神官をしてたようなんだ。だから、テングの血を引く人で神官をやってもいいよって人を探して、ヤスナに弟子入りしてもらうのがいいと思う。その人に任せることができたら、僕達の役目は終了だから、帰ることもできるし。」
「1人探すだけでいいなら、フロムの案よりは早く帰れるな。だが、なんでテング限定なんだ?」
ショウゴが聞いてくる。
「ヤスナは自分の代で終わらせることをひどく気にしている。でもテングの血を引いてる人が来たら、少しは心が軽くなると思うんだよ。」
なるほどね、と感心したようにアランが話し出す。
「このエスティオは、依頼者が納得したら終了だからね。それを考えると、ヤスナの希望に沿った結論の方がいいのは確かだね。タクミの考えは分かったよ。じゃあ、最後はエレーナだ。」
「エレーナは、フロムとタクミの考えと同じで、この街も神殿も残すのがいいと思うのです。この街の建物は商店が多いのですが、ここはもともと学問都市で、秘蔵の古文書も多くあったのです。だから、宗教都市ではなく、商業都市でもなく、学問都市として移住者を募るといいと考えたのです。貴重な古文書もあるから、特に考古学を研究している人達には人気が出ると思うのです。」
「なるほど。タクミとエレーナの考えもいいね。この街が残れば、ヤスナも喜ぶしね。」
ここまでの意見をまとめると、街を無くして神殿だけ残す意見は、シェラとタツコとアランとショウゴだ。
神殿だけじゃなくて街も残す意見は、フロムと僕とエレーナだ。
意見が分かれているぞ!
さぁ、どうする?
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