異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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マルクトール王国編

137話 主人公、迷宮に行くー2

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「この壁がそうですか?」

「うん。ドラゴンの瞳で見てくれる?」

 僕がそう言うと、トールの瞳が金色に輝く。

「たしかにドラゴンの紋様が確認できますね。仕方ありません。壁を壊すことにしましょう。」

 えっ?いいの?

「「やったー!!」」
 双子は大喜びだ。

「何があるんだろう?」
「本当に迷宮あるのかな?」

「「じゃ、タクミ。お願いね。」」

 僕が?仕方ないなぁ。

 僕は腕にドラゴンの鱗を纏うと、壁を思い切り殴る。

 崩れ落ちた壁の奥は通路になっていた。

「やったー!やっぱり何かあったよ!」
「楽しみだなぁ!」
 双子はランプ代わりの精霊球を出すと通路をさっさと進んで行く。

 僕達も慌てて後を追う。

「ふふっ。それにしても、タクミさんは色々なことが出来るようになったのですね。びっくりしましたよ。」

「うん。ソラっていうドラゴンに教えてもらっているんだよ。」

「そうですか。僕も何か教えてほしいですね。」

「私もソラに早く会いたいわ。この瞬間記憶の能力を制御できる方法があるなら、それを教えて欲しいな。」

 そんな会話していると、先を歩いている双子から「早く来て」とお呼びがかかる。

 何かあったのかな?

 急いで後を追うと、その先は行き止まりになっていた。
 いや、行き止まりじゃない!
 よく見ると、壁が扉になっているようだ。

「やっぱり、迷宮の噂は本当だったのかも。」
「でも、これ。開かないんだよな。」

 リオンとシオンが押しているが、ビクともしない。

 何か分かるかもと思い、ドラゴンの瞳で見ると、なにやら手形が見える。ここに手を置けってことか?

 僕はその手形に合わせて、手を重ねてみる。すると、扉がすごい音をたてて、上にあがっていく。

「なんだよぉ。上にあがる仕組みだったの?」
 リオンが真っ先に奥へと足を踏み入れる。

 その先は真っ暗だ。

「この先は広い空間みたいだ!精霊球の数を増やすよ。」

 おっ、明るくなって全貌が見えてきた。

 うわっ!なんだこれ…。

 扉の先はバルコニーのようになっていた。2畳ほどの場所より先は崖になっていて、下まで数十メートルある。落ちたら命はないな。

 恐る恐るその場所から下を見ると、広大な地下空間に何かの構造物が見えた。

「「やっぱり!迷宮だぁ!!」」

 人の背丈より高さのある石造りの壁が地下の空間いっぱいに建っている。迷路になっているようだ。そして、奥には神殿のような建物がある。

「巨大地下迷宮ということですね。ふふっ。これは楽しいですね。」

 トールくんがふふっと笑っている。
 あっ、ちょっとブラックトールが出てる。

「タクミ!壁の上なら飛んでいけるんじゃない?ミライが飛んで見てくるよ。」

 ミライの言葉に僕はすかさずミライを引き止める。

「何かイヤな予感がするんだ。飛ぶのはちょっと待って。リオン、クナイを迷宮の方に投げてみて!」

 リオンが迷宮向かって投げる。
 迷宮の上空に達したクナイが消滅する。

「高出力レーザーだわ。一瞬で消滅する。ミライ、飛んでいくのは無理みたいよ。」

 エレーナの言葉にミライが震えている。

「怖いよぉ。止めてくれてありがと。タクミ。」

「仕方ない。地道に迷宮を攻略するしか無さそうだね。」

 僕達は迷宮に向かう。
 ご丁寧に下へと降りる階段が壁際に造られていた。

 下へと降りると、迷宮の入り口らしき場所が見える。ドラゴンの瞳で確認すると、入り口の上には『迷宮へようこそ~』と書いてある。

 この感じ…、絶対ソラだ!

「この奥に見える神殿にはソラがいると思うよ。ここにある文字はソラが書いたものだと思う。」

「ふふっ。そうですか。ここがマルクトール最古の神殿なのですね。なんと書いてあるのですか?」

「迷宮へようこそ、だって。」

「迷宮?なら、一本道ね。」

「一本道?」

「迷宮は本来、全ての道を通るように造られているものなの。要は時間稼ぎ。ぐるぐると同じような道を通るから方向感覚が無くなって、迷うの。行き止まりがあるのが迷路。でも今では混同されて、ほとんど区別なく使われてるわ。」

「さすが、エレーナねえさま。素晴らしいです。」

「この奥の神殿はかなり古そうだし。迷宮って書いてあるなら、一本道で間違いないわ。ただし、この広さだから、出口までものすごく時間がかかるわね。」

 時間がかかるのは仕方ないね。
 上空は危険だし。

 僕はドラゴンの瞳で迷宮を観察する。
 上空以外にイヤな感じはしない。この中には命に関わるものは無さそうだ。

 全員で中に入る。
 すると、エレーナが精霊球を一つ出す。
「これは探索用精霊球よ。何か発見したら点滅して知らせてくれるから、先に行かせましょ。」

 僕達はふわふわと先に進む精霊球の後を追う。

 本当に一本道なんだ。行き止まりが無い。でも右に曲がったり、左に曲がったり。そして景色が変わらないから、単調で飽きてくる。なんだか不安になるし。
 これによって、方向感覚や時間感覚を狂わせるんだな。迷宮怖い!

「でもさぁ。これって壁を壊しながら、一直線に進んだ方が早くない?」
「そうだよ。タクミなら、すぐ出来るよね?」

「それはやめた方がいいわ。この手の迷宮は、壁を壊すと全てが崩壊するように出来てるの。」

「そうですよ。それに、こんな歴史的価値のあるものを壊そうと言うのですか?リオンとシオンにはガッカリですよ。」

「「ちょっと言ってみただけじゃん!」」

「あっ!精霊球が点滅してる。何かを発見したみたい。」

 この先に何があるんだろう?

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