浦島太郎とかぐや姫3030

九条秋来

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浦島太郎とかぐや姫3030 その2 天国から

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お爺さんとお婆さんは布団の上で眠る赤ちゃんは男の子だとちゃんと確認しました。

「まるで夢のようですね、こんなに可愛い男の赤ちゃんが授かるなんて・・・」

「それもそうじゃが、さあこれからどうしよう?」

とか言ってるうちに赤ちゃんが泣き出しました。

『トリアエズ・ミルクヲ与エテ下サイ』とリーパが言いました。

「わしが隣の牛を飼っている家に行ってミルクを貰って来る」と言ってお爺さんは出掛け、やがてミルクを貰って帰って来ました。

手には哺乳瓶も持っています。
哺乳瓶のミルクを温めて赤ちゃんに与えると赤ちゃんは一生懸命ミルクを飲み、飲み終わるとすぐに眠りにつきました。

「この赤ちゃんの名前はどうしようかね?」

「なるべく目立たないように『太郎』としよう」

「そうしましょう、さあ太郎ちゃんぐっすりお休みなさい」と言ってお婆さんは赤ちゃんの上から優しく手をかざしました。

赤ちゃんが眠るとリーパが自己紹介を始めました。

『私ノ・ナマエハ・スマホノ・リーパデスガ・私ノヨウナスマホハ・コノ世界ニアリマスカ?』

「いやわかりません。スマホと言うのは昔核戦争で科学文明滅びる前にはあったと物知りの爺さんから聞いた事がありますが・・・」とお爺さんは答えた。

『ソウデスカ・私ノヨウナ・スマホガ何処カニアレバ・情報ヲ共有シタイト・思イマシタガ・シカタアリマセン・・・』

「ところでリーパさんと赤ちゃんと船はどこからやって来たのですか?」とお婆さんは聞いてみた。

『私タチハ・遠イトコロカラ・指示ヲ受ケテ・ヤッテ来マシタ・コレヲ説明シテモ解ラナイト・思ウノデ・トリアエズ・天国カラ来タト・言ッテオキマス・』

こうして、天国から送られて来たという赤ちゃんをお爺さんとお婆さんは大切に育てました。

やがて地球が3回公転して太郎は3才になりました。
とても元気な男の子で遊び仲間と一緒に野山を駆け回ったりしていたが、ケガをしても不思議な事にすぐにそのケガは無くなります。

不思議はそれだけではありません。

庭で飼っている鶏や、犬や猫とも会話しているようです。
お爺さんは太郎が鶏達にこう言っているのを聞いた事があります。

「今日は金の卵を産んでくれよ」

それは無理だとわかっていたが、不思議な事につぎの日に鶏達は金色の卵を産みました。
不思議な事もあるもんだと思い、その玉子の殻を隣村の物知りの爺さんに見せてみました。

「これ鶏の卵の殻は本物の金じゃ。この殻をわしに安く売ってくれんか、そしたらわしはそれを町で高く売って儲ける事が出来る。その金を研究費用にも充てる事が出来るんじゃ」

その爺さんは昔宇宙船がこの地球に不時着陸してからここに住んでいると、自証していました。
いつも不思議な話をして、何か不思議な研究をしているようですが、その内容は秘密にされていました。

言われた通り金の卵が産まれる度に物知り爺さんのところに持って行って物知り爺さんも浦島家の財政もどんどん豊かになっていきました。
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