俺の事嫌ってたよね?元メンバーよ、何で唇を奪うのさ!?〜嵌められたアイドルは時をやり直しマネージャーとして溺愛される〜

ゆきぶた

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マネージャーになる

9、弟


 引っ張られるまま部屋に押し込まれた俺は、何故かベッドに押し倒されていた。
 そして今、俺は優にまた唇を奪われている。

「んんっ、ん!!」

 なんでこうなったのかは、全くわからない。
 だけど部屋に入ってすぐ扉に鍵をかけた優にどうしてと詰め寄ったら、気がついたときにはこうなっていたのだ。

「直はキスすると可愛い顔をするんだな」
「な、ななな何するんだ!?」
「何って兄弟としての親交を深めているだけだ」
「いや、兄弟でこんな事するわけ無いだろ!」
「でも俺達はずっと会っていなかったから、その時間を埋める為にはこれぐらいしないとダメだ」

 そう言ってまた近づいてくる顔を俺は両手で止めた。

「直、手が邪魔」
「き、キスは好きな人としないとダメだって! それに優は久しぶりに俺と会って、気持ちが昂ってるだけなんだろ? ほら、一旦落ち着く為に起き上がれよ」
「いや、違うんだが……まあ、今はまだいいか」

 何の事かよくわからないけど、優は俺に押され何とか起き上がってくれたのだ。
 そんな優に、俺は聞きたいことが沢山あった。

「なあ、聞いてもいいか?」
「……答えられる事ならなんでも」
「優は兄貴である俺が嫌いじゃないのか?」
「…………そうだな、兄貴である直は嫌いだ」

 嫌いだと言われるのはわかっていた筈だ。
 だから俺がショックを受ける必要なんてない。
 それなのに優の態度から、実はそんなに嫌われていないのではないかと思ってしまった自分を殴りたい。

「ならなんで……」
「だからこそ、側にいてもらわないと困る」
「それってどういう事だよ?」
「直は黙って俺の側にいればいい」
「だから意味が……」
「もう黙れ」
「んん、むっ!!」

 俺は抗議の言葉ごと、優に唇を塞がれていた。
 だけど何で俺の事が嫌いな癖にキスするのかもわからないし、側にいて欲しいと言われる意味もわからない。
 だけどキスをする優の顔は、何故か必死な気がしてしまったのだ。

「直、勝手にどこかに行くな」
「……別にどこにも行かないし、なんなんだよ」
「それから俺以外のメンバーに絶対気を許すなよ」
「は……?」
「アイツらは皆猫被りだ。気を許せば直はすぐに食われる可能性があるからな……」
「食われるってどういう意味だ?」

 あいつらが猫被りなのは何となくわかるけど、俺には優が言ってる言葉が何一つわからない。

「わからないなら知らなくていい。直は俺の言う事だけ聞いてればいいんだ」
「何だよそれ……。本当、優はここ数年でどうしちゃったんだよ? 俺の事も『なお』って名前で呼んでくるし……」
「別に俺は何も変わってない。それに直を名前で呼ぶのは、ただの兄弟みたいに接して欲しくないからだ」

 それってつまり俺を家族だと思ってないって事?
 もしかして優は俺が嫌い過ぎて、マネージャーとして扱き使ってやろうと思っているのだろうか?
 それならキスしてきた意味がわからないけど、きっと聞いてもはぐらかされそうなんだよな……。
 そう思って俺はため息をついてしまう。

「はぁ、俺には優の考えてる事が全くわからないよ。だけど、とりあえずこの部屋が大丈夫だって事はわかったから、もう優は部屋から出て行ってくれ……」
「それは嫌だ。本当は同じ部屋にしてもらおうと思ったのに、許可が出なかったから仕方がなく部屋が別れているだけだ。だからこの家にいるときはなるべく一緒にいろ……」

 そう言ってぎゅっと抱きしめてくる優に驚きながら、何故か俺は昔の事を思い出していた。
 小さい頃の優は眠れなくなると俺のベッドに入り込んで、こんなふうによく抱きついてきたのだ。
 もしかして今の優も寂しがりやのまま変わらないのかもしれない。そう思ったら、なんだか優が可愛いく思えてしまったのだ。

「優もまだこういう可愛いところは残ってたんだな」
「何言ってんだ、可愛いのは直だろ?」
「いや俺は可愛くない、昔からずっとイケメンのままだから! 美少年さを残したまま美しく育った俺をよく見ろ!」

 自信満々に言い切った俺はすぐ我に帰ると、やってしまったと少し恥ずかしくなっていた。
 確かに昔から美意識の高かった俺は、いまも顔面偏差値は低くないと思っている。
 だけど本当のイケメンである優に堂々と言うなんて、俺は馬鹿だろ……。
 しかも優はわざわざ俺から離れると、じっと顔を見つめながら言った。

「いや、直はどうみても可愛い」
「どうしてだよ!? それに、そんなにじっと見てくるな……」
「……直、なんか顔が赤くなってる」
「いや、それは……」

 目の前にある優の顔が凄くカッコいいからなんて言えないよ。
 やり直す前の世界でも思ってたけど、俺は優の顔が滅茶苦茶好きなんだ。
 そんな好きな顔がこんな近くにあったら、顔だって赤くなるに決まってる。
 それなのに優は俺の顔が赤い理由に気がついているのか、ニヤリと笑いながら言ったのだ。

「なぁ、どうしてなのか教えてくれないか……?」

 これ以上、優に見つめられるのが耐えきれなくなった俺は、顔を真っ赤にさせながら言った。

「───っ、俺の弟が、世界一カッコいいからだよ!!」

 その瞬間、俺は優にまた押し倒されていた。

「いったぁ……いきなり、何するんだよ!?」
「仕方がないだろ? まさか直がそんな可愛い事言うなんて思わなかったんだ。でもさっきも言ったけど、俺は直にただの弟とは思われたくない……だからそう思えないようにしてもいいよな?」
「は……?」
「俺のことを一人の男として見ろよ」
「優、何言って……んっ!!」

 もう、これで何度優に唇を塞がれたのだろう?
 そう思いながら混乱していると、何故か優は俺が着ているシャツのボタンを外し始めたのだ。
 このままだと脱がされると思った俺は、慌てて優に抵抗した。

「んんっ!」
「直、暴れるな」
「ななな、何しようとしてるんだ!!」
「何って直を裸にしようかと思っただけだ」
「なんで裸にする必要があるんだよ! 流石に意味がわからないぞ!?」
「直、うるさい」
「またっ……んん!」

 再び唇を塞がれた俺は、もう一度抵抗しようとしたのに優に舌を絡められてしまい、それが気持ちよくて力が入らなくなっていた。
 このままだと、よくわかんないまま優に裸にさせられる!? 誰か助けてーー!!
 そう願った瞬間だった、鍵がかかっているはずの扉がガチャリと開いたのだ。

「あれ~、鍵がかかってるから変だと思ってマスターキーを借りてきたけど……優君は直ちゃんに何をしてるのかな?」

 結構慌てて来たのか、冷静にみえてだいぶ息切れをしてる光がそこにはいた。
 そして優は光に対して特に悪びれる事もなく言ったのだ。

「何って家族との触れ合いだから、邪魔をするな」
「ふ~ん、家族の触れ合いねぇ……?」

 俺ははだけている服を見られないように、ササっと戻したつもりだった。
 でもそれは光にバレないわけがなかった。

「ただの触れ合いなのに、嫌がる相手の服を無理矢理脱がそうとしたんだ~?」
「何が言いたい」
「優君に直ちゃんの事は任せられないって事だよ。ほら、まだ直ちゃんは他の部屋については説明受けてないでしょ? 僕が案内してあげるから行こ!」
「え、ああ……」

 走り寄ってきた光に腕を掴まれた俺は、そのまま部屋の外まで連れ出されていた。

「おい、待て!!」
「待たないよ~。優君は焦り過ぎだから、少し頭冷やした方がいいんじゃないの?」

 そう言って光は、優を残したまま部屋の扉をバタンと閉めたのだ。
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