23 / 57
元と俺
23、煽る元
「ん……」
何だろう、体が重い……。
そう思いながら目を覚ました俺は、何故か目の前に超絶美形な顔があって驚いてしまった。
「なっ!?」
って、よく見たらこれは優だ。
そういえば昨日、龍二の事があって震えていた俺は優に抱きしめられながら眠ったんだった。
それで、確か優に告白されて……。
俺はその事を思い出して恥ずかしくなり、ぶんぶんと首を振る。
そして優から顔を逸らす為に反対側を向くと、何故かそこにも端正な顔つきのイケメンがいて俺はさらに驚いてしまったのだ。
「えっ!?」
「おー、ようやく起きたか?」
よく見るとそのイケメンは元だった。
しかも元はニヤニヤと楽しそうな顔をして俺を見ていたのだ。
「朝食の当番なのに、直が起きてこないから見に来てやったんだけど……まさか二人で寝てるなんて思ってなくてな、これでも結構驚いたんだぜ?」
「驚くのはわかるけど……なんで、元まで布団に入ってるんだよ?」
俺が昨日、優と寝たのは間違いない。だから優がいるのはわかるけど、なんで元まで一緒に横になっているのか意味がわからなかった。
そして混乱してる俺の耳元で、元はその理由を教えてくれたのだ。
「そんなの決まってるだろ? 優への嫌がらせだ」
「お前……」
「あと直は契約がある事、忘れんなよ?」
コイツ、本当に性格が悪い。
言い返せない俺を見て、元はニヤニヤと笑っていた。
その顔を見たくなくて反対側を向いた俺は、そこに優がいるのを忘れてて再び驚いてしまう。
そして、俺はようやく気がついたのだ。
もしかして俺、二人に挟まれてる……?
こんな狭いベッドで二人に密着されたら、身動きなんてとれるわけがない。
「動けないなら、そのまま目覚めのキスをしてやろうか?」
「もう、俺を揶揄うのはやめろよ!」
そう言いながら元の方を向くと、待ち構えていた元の手が俺の顔を両手で包み込んだ。
そして元は俺の頬を親指でスリっと撫でながら言ったのだ。
「それはやだ。直って揶揄うの楽しいし、もっといじめたくなる。だから直のその可愛い唇を、俺が奪ってもいいよな……?」
完全に頭を固定されてるので逃げる事はできない俺は、ゆっくりと近づいてくる元の唇を受け取めるのが嫌でギュッと目を瞑る。
「…………、……?」
しかし、いつまで経っても元からキスをされる事はなかった。
それを不思議に思った俺は、ゆっくりと目を開いて驚いてしまう。
何故か目の前には、大きな手があったのだ。
それは俺の口を覆い隠すように、元からのキスを遮っていた。
「元、一体どういうつもりだ?」
突然、冷たい声が俺の後ろから聞こえた。
いつのまに起きたのか、どうやら優が俺を助けてくれたらしい。
「どういうと言われても困るぜ? ……だって別に直は優の物じゃないし、別に俺が何しようが問題ないだろ?」
「だからといって、嫌がる直にキスをするのは間違ってる」
「直が嫌がってた……そんな訳ないよな?」
俺を見てニコリと笑うその瞳は、同意しないと契約の事をバラすと言っていた。
だから俺は元の言う通りにするしかなかったのだ。
「お、俺は……別に嫌と思ってる訳じゃない」
「……直?」
優にどんな目で見られているのか怖くて、俺は顔を逸らしてしまう。
そして俺の回答に、元は嬉しそうに言ったのだ。
「そういう訳だから、キスの邪魔しないでもらえるか?」
「それは駄目だ!」
「ゆ、優?」
突然優に抱きしめられた俺は驚いてしまった。
しかし元は、そんな優の姿を見て楽しそうに笑っていた。
「それなら、何でダメなのか教えて貰ってもいいか?」
「……俺が直を好きだと告白したからだ」
「告白だって……?」
「ああ、そうだ。だから俺達がどう愛を育てようが元には関係ない事だろ」
「でもその感じだと、別に直はそれを受け入れたわけじゃないんだろ?」
「確かに、そうだが……」
目の前で言い合う二人は、まるで俺を取り合ってバチバチしてるように見える。だけど元は優の悔しがる顔を見たいだけで本気で言ってるわけじゃない。
だから本気で俺の事が好きなのは、優だけなんだよな……。
そう思った瞬間、俺は昨日の告白を思い出してしまい顔が赤くなっていた。
そんな俺に気がついた元は何故か小さく舌打ちをすると、耳元で言ったのだ。
「あれをバラされたくなかったら、俺の方に来い」
そう脅された俺は仕方なく優に言った。
「優、悪いけど手を離してくれ」
「直……何故だ?」
「俺は今から、元と朝食の準備にいかないといけないんだ。朝ご飯がないと優も困るだろ?」
「そう言う訳で、直は俺が連れてくからな」
そう言って立ち上がった元は、何故かそのまま俺を抱えあげた。
驚いた俺は、小声で元に言う。
「は、元? そこまでする必要はないだろ」
「いや、必要大ありだ。あと忠告しておくが告白についてちゃんと答えないと、他のメンバーにまで言いふらされるぞ?」
確かに元の言う通りだと思った俺は、優に今の気持ちを伝えておくことにした。
「あのさ……告白のことだけど、俺の気持ちはまだよくわからないから少し考えさせて欲しい」
「直……」
俺はショックを受けてる優の顔を見てられなくて、すぐに顔を逸らしてしまう。
「じゃあ、後でな。ちゃんと優も早めに朝ごはん食べに来いよ。そうじゃないと学校に遅刻するぜ?」
元は怖いぐらい満面の笑顔でそう言うと、俺を抱えたままこの部屋を出たのだった。
あなたにおすすめの小説
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)