俺の事嫌ってたよね?元メンバーよ、何で唇を奪うのさ!?〜嵌められたアイドルは時をやり直しマネージャーとして溺愛される〜

ゆきぶた

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光と俺

33、牽制し合う二人


 朝起きて扉を開けると、何故かはじめが目の前に立っていた。

「……一緒に朝食でもどうかなと思ってさ」

 昨日告白されたばかりで俺は動揺しているのに、こんな積極的にこられても困る。
 それにまだ朝食は出来てもいないのにその誘い文句には流石に無理があるよなと、そう思いながら俺は元に言葉を返していた。

「えっと、朝食は今から作るんだけど……それに今日の当番は元じゃないだろ?」
「……まあ、その通りだな。本音を言うと、目が覚めてすぐになおの可愛い顔が見たかったんだよ」

 何言ってるんだコイツ……。
 そう思いながらも、俺を真っ直ぐに見つめてくる元の視線に耐えられなくて、恥ずかしくて顔を逸らしてしまう。

「お、俺は……可愛いんじゃない。誰に何と言われようが美しくてかっこいいんだよ!」
「はいはい、直は今日も美人だな」
「……なんか言い方が嫌味に聞こえるんだけど?」
「気のせいだって」

 そんな話をしながらキッチンの扉を開くと、今度は目の前にゆうが立っていた。
 そういえば、今日の当番は優だったのをすっかり忘れてた……。
 優は俺が元と現れた事にあまりにも驚いたのか、目を丸くしながら俺達を交互に見ていた。

「直……なんで元と一緒に?」
「えーっと、それは……」
「俺と直はここへ来る途中に偶然会っただけだぜ。それに優だって、俺の朝が早い事は知ってるだろ? だからお前みたいにこんな所で待ち構えてたわけじゃねぇんだよ」
「……いや、俺は別に待ち構えてなんかいない。今日は俺と直が朝食の当番だから、ここにいるのは当たり前なだけで……寧ろ元がここにいる方が変だろ」

 確かにそう言われたら凄く変だし、どちらかといえば待ち構えてたのは元の方だ。つまり元が優に嘘をついてる事になる。
 だけど今の言い方で、どうして元が俺を迎えに来たのかわかってしまった……。
 きっと元は、俺と優を二人きりにしたくなかったんだ。

 それは優を嫌がらせしたいとかそういう気持ちじゃなくて、本当な俺が好きだから───?

 そう考えて、俺は顔が赤くなってしまう。
 でもこんな姿を二人に見られたら怪しまれそうだと思った俺は、なんとか誤魔化そうと牽制しあう二人を無視して朝食の準備をする事にした。
 そして二人は俺が動き出したのを見ると、すぐに手伝い始めたのだ。
 そこまではよかったのに、今度は俺を手伝う元の姿に優が文句を言い出した。

「元、今日は俺の当番なんだからお前はリビングで待ってればいいだろ」
「そうだなぁ、ここで待ちながら直をじっくり見るのも有りだな……だが優は本当にそれでいいのか?」
「……どういう意味だよ?」
「俺がいれば朝食を早く作り終えられる。そうすれば、直とイチャイチャ出来る時間が増えるぜ?」
「直とイチャイチャ……」

 何故かその言葉を最後に、二人は一心不乱に料理を作り始めたのだ。
 正直な話、イチャイチャってなんだよと俺は思ってしまったのだけど、ここで余計な事を言えばさらに面倒そうだと思った俺は、無心で料理を作る事にした。
 そして二人が頑張ってくれたおかげで、本当に早く朝食を作ることができてしまったのだ。
 元はダイニングに並べ終えた朝食に頷くと、すぐに俺を見てニヤリと笑った。

「よし、朝食もできたし……よるひかるが起きてくるまで、さっそくイチャイチャするか」

 そう言いながら俺の肩に手を置こうとした元の手を、当たり前のように優が払い落としていた。
 そして優はキッと元を睨みつけがら言う。

「おい、元。直に触ろうとするな」
「またそれかよ……優は本当にお子ちゃまだな」
「だれがお子ちゃまだ!」
「いい加減、お前の子供みたいな独占欲が鬱陶しくなってきたんだぜ」
「なんで元にそんな事を言われないといけないんだ。お前は別に直の事なんとも思ってないだろ!」
「…………」

 優は元が俺に告白した事を知らない。
 それなのに更に畳み掛けるように、優は元へと言ったのだ。

「やはり図星のようだな……。どうせ元は俺達をからかってるだけで、本当は直の事なんて何とも思ってないんだろ?」
「……いや、それは違うぜ優。俺は直の事が本気で好きなんだ。誰かさんがそう気がつかせてくれたからな……。そして俺は昨日、直に告白した。だから今の俺とお前の立場は、対等ってわけだ」

 その話を面と向かって優に言うのかと、俺は驚いてしまう。
 しかし俺よりも優の方が動揺しているのか、口を数回パクパクさせるとゆっくりと声を出したのだ。

「……は? 嘘だろ、何で元が……?」
「俺が直を好きなのは嘘じゃねぇ。だから優には言っておくが、これからはお前一人で直を独占しようとすんなよ。もしそんな事したら、俺は嫉妬で直になにするかわかんねぇからな」
「ふ、ふざけるな! 直に何かしたら例え元でもただじゃおかない……!」
「だからその独占欲をやめろって言ってんだよ。そんなのは直だって、迷惑だよな?」

 元は俺にウィンクを飛ばすと、動揺している優の隙をついて俺を抱き寄せた。
 そして元は、そのまま俺のほっぺにチュッと軽いキスしたのだ。

「へっ?」
「な、ななな! 直に何をするんだ!」

 俺を奪い返そうとした優をヒラリとかわした元は、突然俺を抱き上げるとそのまま歩き出したのだ。

「ちょ、ちょっと! 元!?」
「よし、このまま俺がリビングのソファーまで連れてってやるよ。そこで二人が来るまでイチャイチャしような!」
「え、いや……そのっ、えぇ?」
「元、直を離せよ!!」
「やだねー」

 そう言うと元は、怒りで顔を真っ赤にしている優を置いて俺をリビングまで運ぼうとした。
 しかしどうやら少し騒ぎすぎたのか、俺たちが出るより先にダイニングの扉が開いたのだ。

「も~、朝から一体なんの騒ぎ? 僕、うるさくて起きちゃったんだけど~」

 そこには眠たそうに目を擦る光と、その後ろで心配そうに俺達をそっと見つめる夜の姿があった。
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