やめて!お仕置きしないで!本命の身代わりなのに嫉妬するの?〜国から逃亡中の王子は変態悪魔に脅される!?〜

ゆきぶた

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二章

93、オークションの噂(ウル視点)

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改めて協力関係になった俺達は、互いの情報を共有する為の話し合いを始めていた。

「それで、その何とかってやつの情報は増えたのか?」
「なんとかって、ガリアの事かな?そいつについてだけど……大人の玩具を作ってる所の偉い人らしいよ。それも国ごとに拠点があってそこには転移の魔法陣があるみたい。だから今はこの国で拠点がありそうな王都に向かおうかと思ってたところなんだけど……?」
「この国の王都だとここからだいぶ離れてるな……因みに、俺が得た情報は聞くか?」

どうやらダンはしっかり情報を集めてくれていたようだ。
その話が有益な可能性もあるので、聞く価値はあるだろうと俺は頷いた。

「ここ最近、変なオークションの噂があるのは知ってるか?」
「変なオークション?それって人身販売的な闇関係のやつじゃないよね?」

コイツの持ってきた情報が普通なわけがない。
そう思っていたのに首を横に振るダンを見て違うのかと少し驚いてしまう。

「そのオークションは大人の玩具を扱ってたり、娼婦や男娼の今日のお相手を競り落としたり、セックスの見せつけプレイを競っては値段をつけたりと、本当に変わったオークションなんだ」
「うわ~、凄い悪趣味ー」

話を聞いてたゼントは内容の酷さに、つい声が出てしまったようで慌てて口を押さえていた。

「しかもその見せプレイなんて、大半が性奴隷だと思う相手を連れてる奴らばかりで、ペットみたいに普通に凄い格好させて会場内を歩かせたりしてるんだぜ?」
「成る程、確かになかなかの趣味だね……それで、その主催にガリアが関わってる可能性があるって?」
「前に違法かどうかを調べるために侵入した事があるんだが、そのときの主催者一覧の写しを確認したら名前が記載されてた。次の開催日にいるかわからないが、一応行ってみる価値はあると思うぜ?」

確かにこれなら、先にそのオークションに行くしかないだろうと考えて、場所や日時を聞いていない事を思い出す。

「それはここから遠いのかい?」
「いったんブルーパール王国に戻って来てもらわないといけないが、国境沿いの町だからそっちの首都に行くよりは近いぜ。それもタイミングがいいことに次の開催は5日後だからな、すぐにここを出ればギリギリ間に合うんじゃねぇか?」
「5日後なんて、そんな偶然あるんだね……?」

確かにガリアが国境付近に滞在していた事を考えると、開催まで近くの町で待機していた可能性はある。
だけどブルーパール王国に戻るとなると、デオがなんと言うかな……?
しかしガリアがそこに現れるかもしれないのなら、俺たちはそこに向かうしかない。デオが再び悪夢に震える日まで、もうそんなに時間は残されていない筈だからね。

「どうするんだ?オークションに行くなら、俺は自国だから少しは協力しやすいぜ?」
「もう既に行くことは決めてるよ。ただ普通に行くだけでいいのかなぁ?……と思ってね」
「確かに侵入するだけなら、そのガリアってやつは表に出てこない可能性もあるな。それならガリアを引き寄せるために、お前とイルの兄貴の方で見せプレイに参加するってのはどうだ?」
「……ふむ、成る程。確かにそれはありだね!ステージにデオが出ていたら、ガリアだって釣られるかもしれないよ」

しかもそのオークションに参加すれば、ペットのようにデオを連れ歩けて可愛いかもしれない。なんて、デオに言ったら怒られそうな事をつい考えてしまう。

「それじゃあ、ガリアって男が餌で釣れたら俺とゼントで誘い出してやる」
「え、俺っ!?」

驚いたゼントは何か言いたそうにダンを見ていた。
しかし、ダンは無視して話を進めていく。

「それで上手く誘いだせたら、ウル達も後で合流してくれよ?」
「それは勿論だけど……とりあえずガリアがその会場にいてくれる事を願うしかないんだよねぇ~」
「だけど試す価値はあるんじゃねぇか?」
「ああ、そうだね。なんだか俺は少し楽しみになってきたよ」

ただこれに参加するのを事前に説明するとデオが嫌がるかもしれないから、本当に直前まで伝えるのはやめておこう。
でもどうせデオは見られるの好きだから、きっと大丈夫だよね?

「じゃあ、説明も終わったし俺は一旦帰るわ」
「なんだ、わざわざ帰るんだね?」
「俺には可愛いイルが待ってるからな。それと、コイツ少し借りてくぞ?」
「へ、俺?」

ダンに指をさされたゼントは、驚きに目を丸くした。

「ああ、5日間で使い物になるように訓練してやるぜ?」
「いやいや、俺は潔癖症だから訓練とか無理ー」
「大丈夫だ。向こうには色んな奴がいるから、潔癖症でもなんとかなるような物を拵えてくれるはずだからな!」
「ま、待って待って、近づいてこないで俺に触らないでくれよー!?」
「大丈夫、俺は触らなくても相手を転移させる事ぐらいできるんだぜ。ただ酔ったりしたらすまんな。じゃあ、ウルまた5日後に国境でな!」
「へぁっ!?」

ゼントの間抜けな声と共に二人の姿はかき消えていた。
一応ゼントについては俺からドルフさんに伝えておく事にしようかな。
そう思いながら俺はぐっすりと眠るデオを見つめ、そのほっぺに指で触れる。

「デオ、もうすぐかもしれない。だからあと少しだけ待っててね……」

ガリアをオークション会場で殺す事が出来れば、俺は今度こそデオと誓約できるからね。
そう思いながらも俺の頭の中は今、オークションに行くときデオにどんな可愛い格好をしてもらおうかと、想像が止まらなくなっていた。
ペット路線ならネコとかウサギとかでもいいし、バニーや前着てもらった穴あき服でもいいと思うんだよね。
だけどもっとデオに似合う衣装はなんだろうと思ってじっとデオを見つめてしまう。

そして俺はある程度方向性を決めて、デオを撫でるとその可愛い顔にキスを落としたのだった。
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