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第四章 悪魔召喚編
31、お祝いと仮面と(後編)
しおりを挟む「それで、この仮面ってやっぱり俺の素顔を隠すためにくれたのか?」
プレゼントを貰ったときは何で?と、思っていた。
でもこの仮面をつけているだけで、なんだか調子が良い気がするのだ。
もしかすると何か効果があったりするのだろうか?
「そうですね。やはり主の顔を私以外の誰かに見せたくはありませんから。それに冒険者として出かける主には、最近どんどん虫が寄ってきているきがしまして……」
「私以外って範囲が広すぎるだろ!それに虫ってなんだよ!?」
「それは黒髪のクソ野郎とかですかね。それから最近は錬金術師の方も気になっているところです……」
「皆俺を助けてくれてる良い人だらけなのに、なんてこと言うんだ!?」
たまに思っていたけど、ライムは俺以外の人間に当たりが強い気がする。
叫びすぎて疲れた俺は、もう息切れを起こしてしまった。
「主、大丈夫ですか?」
「いや、誰のせいなんだ……」
「私のせい?でしょうか……ですが私は本気で、これ以上主に変な人物が寄って来ないように、と思ってこれを贈ったのです」
少しショボンとしてしまったライムを見たら、俺は言い返せなくなってしまった。
それにこのプレゼント自体は悪くないし……。
ただこれを外で付けるかどうかは考えさせて欲しい。こんなのつけて歩いてたら、逆に目立ってしまって仕方がないからな。
「思うところはあるけど、本当にこのプレゼントを俺は気に入ったぞ、ありがとなライム」
「あ、主……!」
俺のその一言で、ライムはすぐに復活した。
そしてライムはついでのような感じで、この仮面の秘密を教えてくれたのだ。
「せっかくだからと思いまして、エナジードレインのついた仮面にしてみたのですが、どうでしょうか?」
「いやいや、普通そっちのがメインじゃないの!?確かに凄く有難いし、なんだか調子もいい気がするけどさ」
「それでしたら良かったです」
生命エネルギーが常に減っている俺からしたら、エナジードレインはとても有難い。
以前、ダンにヒールリングを貰ってはいたが、それに比べて相手から生命力を吸い取るエナジードレインは、桁違いの回復力がある物が多かったりする。
「で、これはどうやって使うんだ?」
「確か……仮面を被っている間であれば、口が触れたところからエナジードレインできると書いてありました」
「え、口から?仮面の面積は口まで足りてないのに!?」
しかも普通エナジードレインは人に使う物ではなく、魔物用なはずである。だからこれは魔物に近づかないと使えないわけだが、どう考えても難易度が高い。
もしかするとこの仮面型エナジードレインは、人専用として作られた物なのかもしれない……。
「これは正規ルートから仕入れた物ではありませんので」
「違法じゃん!!」
サラッとやばいことを言うライムに、頭が痛くなる。しかもそれでシレッとしているのだから、かなりどうかしていると思う。
だからライムに一つでも文句を言ってやろうと、俺は口を開いた。
「こんなの誰にむけてエナジードレイン使えば良いんだよ」
「勿論、私にです」
「なんかデジャブ!!!」
叫んでいた俺は思った。
これがライムを構って無かった結果なのだろうか、と。
「恥ずかしながら前回は、魔素を吸収することに失敗しました。ですがもとより私の生命エネルギーを少しでも分けるため、こちらを準備していたのです」
「そんな、ライムの生命力を吸うなんてこと俺ができる訳ないだろう」
「そう言うと思って、出力を調整できるようにカスタマイズしてもらいました」
何そのオーダーメイド製仮面!?いくらしたの……?
そう思ったときには、俺は怒鳴る気力も体力も無くなっており、まあ本当に少しだけなら良いかな?なんて思っていた。
だからついぽろっと本音が出てしまったのだ。
「それなら、少しだけ試してみてもいいかな……」
「あ、主!今のは本当ですか!?」
「いや、今のはほんの好奇心で……」
「大丈夫です!さあ、主!私の生命力を吸ってください」
そう言うライムは、俺に高さを合わせるため少し屈み、嬉しそうに腕を広げた。
何処からでも来い!と言う事なのだろう。
俺はゴクリと唾を飲み込むと、ライムの頬に手を当てた。
ゆっくり俺とライムの唇が重なったのがわかる。
プヨンとライムの唇が跳ねると、同時にエナジードレインが開始された。
その勢いに俺は慌てて唇を離す。
流石エナジードレインだけあって、吸引力がやばい。これで出力を抑えているなら本来はどれだけヤバイ代物なんだよ!
そう思いつつ改めてライムを見ると、そこには驚きに目を見開く姿があった。
「ど、どうしたライム?」
「あ、主…何故唇にしたのですか?」
言われて初めて気がついた。
あいての唇からエナジードレインするなんて、ライムは一度も言っていない。
前回、ライムが魔素を吸収するときに唇からおこなっていたから、これもそうなんだと勝手に思い込んでしまっただけだ。
「い、いや……そこからしかできないのかと思っただけだから!知らなかっただけだから!!だから……えっと、口にして悪かった!!!」
だから俺は、恥ずかしさのあまり慌てふためき、ライムに頭を下げていた
ライムだって俺なんかにいきなり口付けされても嫌に決まってるからな!
それなのに、当の本人は全く気にしていないのかニコニコと楽しそうに見える。
「いえ、それでしたら仕方がないかもしれませんね。それに私にとっても満足のいくプレゼントになったようです」
「えっと、ライムがそう言うなら……良いのか?」
「とても良いのです。さあ主、仮面の試しはここまでにしてご飯を食べましょう」
そう言うとライムは俺から仮面を外し、そっと俺の唇を撫でたのだった。
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