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第四章 悪魔召喚編
32 、クエストとサンドイッチ(後編)
しおりを挟む森の中にあった草原地帯をしばらく歩きながら、俺たちは座る場所を探していた。
「では、ここら辺に布を敷いてご飯を食べましょう」
そう言うとルーディアは持っていた荷物から、布とお弁当箱を取り出した。
その事に俺は驚き、そしてルーディアは言いづらそうに口を開く。
「実は……お弁当を作ったので、食べてみてください」
「ルーディアが作ったのか?」
「はい。簡単なものならたまに作ります。味は保証致しかねますが、よろしければどうぞ」
中身を開くと、それはどうやらサンドイッチのようだった。
そういえば前もルーディアはそれを食べていたから、実は好物なのかもしれない。
そして二人は俺を挟むようにして、布の上に座った。
サンドイッチに手を付けた俺達だったが、何故かダンはそれを食べるそぶりをみせなかった。
そのことにルーディアは不思議に思ったのか、ダンを見て首を傾げた。
「ダンは食べないのですか?」
「すまねぇ、せっかく作ってきて貰ったんだがな……。俺は自分の作ったもの以外、口に入れる事ができねぇんだ」
「え!!そうなのか!?」
それに驚いたのはルーディアよりも俺だった。
今までずっと一緒にいたのに、全く気がつかなかった。それ以前に、ダンがご飯を頬張ってるところさえも、俺は思い出せない。
すごい早食いだと思っていたけど、そういうわけでは無かったのか……。
首を傾げる俺の横でルーディアは、とても悲しそうにダンを見た。
「そうなのですか……それは残念です。でも仕方がありませんので、僕はセイと美味しくサンドイッチを頂くことにします」
「そ、そうだな……ってうわっ!」
そう言って俺は美味しくサンドイッチを頬張ろうとしたのに、具がパンの隙間から飛び出て顔にかかってしまう。
「あぁ……サンドイッチって食べるの難しいな……」
そんな俺を嘲笑うように、パンから具材がどんどん飛び出していく。そしてそれらは、何故か全部俺の顔にかかっていった。
「セイ、貴方と言う人は……」
「これはみてらんねぇな」
二人の視線にようやく気がついた俺は、食べ方が下手過ぎることが恥ずかしくて手で顔を隠す。
それなのに二人は俺に近づくと、その手を掴み無理やり顔を覗き込んだ。
「しょうがねぇやつだな」
そう言いながらダンは、俺についているトマトを手で取っていく。
「拭くものがないので我慢して下さいね」
そしてルーディアは、何故か俺の顔についたソースを舐めとり始めたのだ。
「わぁ!!ルーディアやめろ!俺の羞恥心が爆発して死ぬ!!!」
「え?し、死ぬ!!?それはいけません。すぐに、やめますね」
俺の頭が爆発しかけたことで、ルーディアが驚きのあまり舐めとるのをやめてくれたのはありがたかった。
でも既に顔が真っ赤だから、二人とも見るな!!
そう言いたかったのに、今の俺はテンパってしまって何も言葉がでてこなかった。
「おー、これはなかなかやるやつがまた増えたもんだなぁ。…………まぁ俺も、そろそろだしな……」
だからダンがボソッと呟いた言葉を俺は理解できなかった。
でも俺を挟んだ二人の温度が確実に下がった事だけは理解できた。
「セイ、うまく食べられないのでしたら、私が食べさせてあげます。良ければ私の膝の上で食べましょう」
そう凄むルーディアに俺は気圧されて、「はい」と返事をしてしまった。
そして膝の上にのせられた俺は、サンドイッチをちゃんと食べれていた。
なによりルーディアはパンから具をはみ出させる事もなく、俺の口までちゃんと持ってきてくれる。
その事に、何故か感動していた。
ダンはそんな俺達をじっと見ているだけなのに、何故がとても楽しそうにみえた。
それなのに俺はなんだかモヤっとしてしまい、わけが分からず首を傾げる。
そしてご飯を食べ終えた頃、ダンは思い出したように口を開いた。
「そういえば、昨日ギルドに行ったらこれを渡してくれって頼まれたんだぜ」
封筒を渡してきたダンは、中身を知っているのか微妙な顔をしていた。
俺は封を開けて中身を読み上げる。
「えーっと、王宮の通達により、高ランク冒険者の召集が決まりました。今回はSSランク以上全員が王宮主催のパーティーに参加すること、またSSランクのクエストをしているものは除外とする……な、なんだってぇー!!!」
こ、これは間違いない。恐れていた物がついに俺の元へと来てしまったのだ!!
「セイ!それはもしかして私が行くパーティーと、同じ物ではないですか?」
「多分そうだと思うが……」
本当なら喜ばしい事なのはわかるけど、一応断る方法が無いのか確認する。
その手紙の続きには───、
『なお不参加の場合、スターを1つ没収とさせて頂きます』
それはつまり降格と同等の扱いであるため、かなり厳しい罰則といっていいだろう。
それだけのことが、今回のパーティーで行われるという事だろうか……。
「セイ?あまり嬉しく無さそうですが行かないのですか?」
「いや、行かないと罰則があるから冒険者は絶対参加だ」
「これだから高ランクは面倒くせぇんだよなー」
話を聞いていたダンは、慰めてくれるのか俺の頭を撫で始めた。そして気がついたら反対側をルーディアが撫でている事に気が付いた。
何故か二人の空気は重いけど、俺は二人に撫でられたら少し気分が良くなっていた。
それによく考えたら、この間ライムに貰った仮面があることを思い出す。
もしかしてこの格好に仮面つければ、何とかバレないで行けるか……?
なんて俺は考え始めていたのだった。
こうして、二人の顔合わせはなんとか無事に終わった。
正直な話、二人とも結構息ピッタリだよね?って思ってしまった。。
そして最後まで二人が俺を挟んだままだったのは、一体何故なのだろう。
このままでは俺がサンドイッチされて……いや、考えるのはやめておくことにしよう。
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