のんびりしたくて

はりゅう

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ぷろろーぐ

思い出す

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 産まれて約1年で、前世を思い出した。
 大卒後、なんとか就職した私は、働いて働いて働いて、気づいたら30歳になってた。
 忙しい日々、おしゃれもできず、上司には無茶振り、後輩からは、無能とされ続けて。
 世間ではブラックと言われるはずなのにサービス残業させられ続け、過労で死んだ。


 なんて残念な前世。
 何が悔しいって貰った給料、ほとんど使うことなく死んだってこと!
 美味しいもの、食べたかった!
 海外旅行どころか国内旅行もできてない!
 温泉、ドライブ、海に山!
 どこにも行ってない!
 宝石だって買ってない!(いらなかったけど)
 ブランド品も持ってない!(欲しいアイテムないけど)
 
 何も、いらなかったけど。
 憧れの未来のために、必死に働いた。
 でも、死んじゃったら意味ないよね…。

 夢があったんだよ。
 年取って、お茶飲んで、何しようかなって考えながら、ふと、窓の外を眺めてさ。
 「のどかだねぇ」
 って、言うの。
 のんびりとした老後が憧れだったから。
 
 その為に頑張ってたけど。全部無駄になっちゃった。
 ああ、もったいない!
 もっと、生きたかった。
 生きたかったよ。
  

 って思い出した。


 私の、前世。
 前世の私は、やりたい事やれずに死んだ。
 死んで後悔した。
 遅すぎる後悔だけど。
 今、後悔してるのは遅い事じゃない。
 だって、私、今生きてる。
 まだまだこれからがある。
 1歳なら、この先なんでもできる。
 やりたい事、なんでもできるんだ!


 
 …思い出して、未来に希望を持った私は、次の瞬間、絶望する。
 母の大きなお腹を見たから。
 
 私が前世を思い出したのは、妹の出産前。
 
 この家、寝る部屋と、ご飯食べる部屋(キッチンダイニング)しかない。
 トイレは外の小屋。お風呂は無し。
 水は家の近くにある井戸から。
 
 …狭くて、汚い家。
 
 それが、思い出した私が最初に思ったこと。
 そして、汚い自分。
 
 不衛生極まりない。
 こんなところで赤ちゃん産んだらすぐしんじゃうんじゃぁ…。


 なんて思ってから、2年、経ちました。
 妹はスクスク育ちました。
 ええ、スクスクと、大きくなりましたよ。
 私より大きくね!

 妹は母っ子になってて要領良くご飯を母から貰うから栄養いっぱいで大きくなったんだよ…。
 母も妹がかわいいらしく、あまやかしている。
 
 …母は子供好きなんだよ。
 なんで私は1歳で放置されたんだろう。
 いくら妊娠してるからって1歳に満たない子を放置、しないでしょ?
 私を見る目と兄姉を見る目は変わらない。
 愛しい子供として見てくれている。
 父も同じく。
 なのに私は記憶が戻る前から世話されて無かった。
 嫌われてるわけでもなく、無視されているわけでもない。
 ちゃんと、娘として認識してるけど…。
 
 …興味が無い。
 うん、そんな感じ。
 
 
 そんなふうに周りを観察しながら日々が過ぎていった。
 
 食べ物は、兄達の狩りが上手くなったからか、人数が増えたのに前より肉が回ってくるようになった。
 姉達はあまり変わってないけど、貧しい(多分)村でほぼ毎日野菜を分けてくれるでけでもありがたいことだから、感謝している。
 
 ただ、私も3歳になって、食べ物を集めてくることを兄姉達に言われはじめた。
 でも、どこかでのお手伝いはできない。
 姉達がしているから。
 これ以上他の家から食べ物を分けてもらったら、おかしいよね。
 姉達がするのは、弟妹達にご飯をいっぱい食べてもらいたいからって言えるけど、まだ幼い私がそんな事をすれば、食べれてないって言ってるようなものだからね。

 狩りはもっと無理。
 兄達は一緒になんて嫌って言うし。
 一人で狩りは無理だってば。
 逆に狩られるよ。

 
 ちなみに、この世界には魔法がありました。
 わあ、ファンタジー!
 産まれた時からあるものらしく、だいたい親の持つ属性や、産まれた季節とかの属性になりやすいんだって。
 いろいろな要素で変わるから、狙うことができないのが、幸いだね。
 …だって、親が持ってない属性が出たら、浮気だって、言う人でちゃうし、…もっと怖いのは、権力者とかさ、狙った属性出させようと、人権無視とかよくあるでしょ。
 怖いよねー。
 
 私は水。
 大さじ1杯くらい出た。
 出したら目眩したからやめた。
 今は小さじ1杯くらいで、毎日使うようにしてる。
 大きくなればたくさん使えるようになるはず!
 
 母はなんと!
 癒しの魔法が使えるんだよ!
 だから私達、病気したことないの。
 子供は急に熱出したりするって聞いたことあったから、すんごく不安だったけど、魔法で治すから大丈夫だったんだよね。

 村人も時々来て治してもらってる。
 村に癒しの魔法を使える人は他にもいるけど、もう年寄りで余り頼りたくないらしい。
 魔法って体力を使うみたいで疲れるからだって。
 魔法の対価に食べ物もらってるみたい。
 この時の報酬は、母は全部自分で食べちゃうからよくわかんない。
 
 姉の手伝いも、兄の狩りも、魔法を使うからできることらしい。
 詳しくはよくわからない、教えてくれないんじゃなくて話し方が下手で私が理解できなかった。
 わからないって言うと、バカだなぁって顔する。
 …ちがうよ、説明が下手なんだよ。

 私の魔法を見たら、かわいそうな目で見られた。
 大きくなればもっとつかえるよ…、ね?
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