のんびりしたくて

はりゅう

文字の大きさ
4 / 31
ぷろろーぐ

こども、だから

しおりを挟む
 本当に、やばい。
 お腹が、空きすぎて辛い。
 お水が飲み放題出来るのが救いだった。
 

 …お腹が空いて眠れない。
 頑張って寝ようとしたけど無理そう。
 
 私は水を飲んでごまかそう、そう思って、起きた。
 他の子供達は寝入ってる。
 姉は今日も泊まりらしい。

 でも、親がいない。
 
 まだ寝てないのかな?
 この家、明かりがないから夜になったらすぐ寝るんだよね。
 
 珍しい。

 
 この時私は、いつもと違う行動をとった。
 いつもなら、台所に水瓶があるからそこから水を飲んでる。
 でもこの時は、窓から外に出て、井戸の方へ進んだ。
 魔法もあるけど、たくさん飲むには井戸からの方がいい。
 家の出入り口より、部屋の窓からの方が速い。

 もしかしたら、虫の知らせってやつだったのか無しれない。
 なぜか、いつもより、音が響いて聞こえた。
 自分の、心臓の音が、耳からしているような気がするくらい、周りが、しずかで。
 だから、父と、母の声が、よく聞こえた…。
 家の、外で話していたふたりの声が。



 『やはり、栄養、足りて無いよね』

 『ええ、いつもの時より少ないわ。…でも、不作なんだもの、どこも少ないのでしょう?』

 『ああ。この村周辺、どこも同じようで援助はできないそうだ』

 『…こんなお腹じゃなければ私も、気にしないでいられるけど、この子の為にはもっと良いものを食べないとよね』

 『ああ、もちろんそのとおりだ。君には栄養たっぷりとって欲しい。…考えがあるんだが聞いてくれるか?』

 『なぁに?』

 『村で、何人か町に送ったほうがいいんじゃ無いかと、意見が出ているんだ。…子供でも、いいらしい』

 『…私達の子も、てこと?』

 『そう。…援助も、してくれるってことだ』

 『そう…』

 『…。いやかい?』

 『…。いいえ。いいわ。そうしましょう。…この子の方が大切だわ』

 『そうか。確かに。…では、誰にしよう』

 『決まってるわ。あの子よ。上の子達からどうにかして欲しいって言われてたから。家でも特に何もしていないし、ちょうどいいと思うのよね』

 『身体も大きくならず、力も弱い。確かに、ちょうどいいな』

 『でしょう。下の子は大きくなって頼りにできるわ。よく、お片ししてるのよ。良い子に育っているし、あの子なら特に何も無いし、ね』

 『よし。決まりだ。あの子…ええっと名前は』

 『やだもうあなたったら。あの子の名前は』



 家の中に入って行って、そこからはよく聞こえなくなった。
 …私の、名前だけは、聞き取れた。

 私は、ショックだった。
 いらない子、そう、いわれた。

 でも。
 なぜか、こうも思ってしまった。

 だよねぇ、って。

 
 
 灯りのない家。
 頭上は星空。
 辺りが暗いからよく見えて、キラキラしてる。

 私は考えた。
 このままここにいても私は死ぬ。
 餓死ってやつ。
 
 私には家族愛は、ない。
 産んでもらったし、ここまで成長してるけど、育ててもらってない。
 両親と会話なし。
 目が合うこともない
 …合わないんだ。

 前世の記憶があるからって、辛くないわけじゃない。
 親に、無いものとして扱われるのは、あまりにも悲しい。
 父にも、母にも。
 見て欲しかった。
 少しでも。

 家をキレイにしてたのも、母に大事をとって欲しかったからだし、煩わせたくなかったからだよ。
 妹のことも、弟のことも、世話してたのは母のためで。
 ただ、ありがとうって、言って欲しくて。
 いつか、そう言ってくれたらって、期待して。
 どうしても、あきらめきれなくて、頑張って。

 頑張ってたんだけど…。

 姉兄に無視されても。

 妹弟に利用されても。

 柔らかく微笑んでいる母が、止めてくれるんじゃ無いかと。
 
 母が、頭を撫でてくれるんじゃないかと。

 父が、抱きあげてくてるんじゃないかと。

 
 勝手に期待して、勝手に失望して。
 
 あまりにも、私が、かわいそうだ。

 子供が親の愛を欲するのは当たり前。

 当たり前に愛を欲して、もらえなかった。

 それだけ。

 ああ、どうして…。

 悲しい、悲しいよう…。


 
 泣いて、泣いて、目が痛くなった。
 声は出さない。
 気づかれたら困る。

 泣いて、落ち着いた。
 少し、満足できた。

 じゃあ、行動、しよう。

 
 どこに、どっちに行こうかな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...