のんびりしたくて

はりゅう

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はじめ

死んだ私

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 夢を見ていた。

 働いて、疲れて帰って、眠って。
 この繰り返しだった。
 
 私には、何故か休みがなかった。
 毎日、8時から22時まで働いて、でも17時までの計算で給料は計算されてて、おかしいって上に言ったら、新人が文句を言うなと怒鳴られた。
 初めての職場だったし、相談できる身内ももう居ないし、友達もいなくて、言われるがまま、働いていた。

 1年経って、後輩ができても、私の境遇は変わらず。
 2年経ってもう変わらなくて、また、おかしいと、言ったら笑われた。
 使えないものがなにを言ってるのかと。

 後輩も現れて、同じく笑われた。
 役にもたたないのに、と。

 私はこの時、辞めるべきだった。
 けど、私は、役に立つ人間になってやるって逆に頑張ってしまった。


 それから何年も何年も働き続け、積もりに積もった疲れが出て、眠ったまま、私は死んでしまった。


 私は自分の死を見ていた。
 だれにも気づかれず腐っていった。
 そこで周りが臭さに通報してようやく、見つけてもらった。

 それまで、誰も訪ねる人はいなかった。
 会社の人さえ。

 私の死は調べられた。
 ひどい勤務状況だったことも、パワハラにあたる事が日常的にあった事も。
 
 多くの人がかわいそうにって言ってた。
 私を知らない私の知らない人達が。

 私は自分の最後まで見ていた。
 燃やされて、ようやく、私はここから離れることになった。


 そのあとは、ほとんど覚えてない。
 私は何処かにいて何か聞かれていた。

 うっすら覚えていることは、次はどうしたいか聞かれたこと。
 
 私は家族との縁が薄かったから、家族が多い方がいいといった。
 疲れてたから、もう、働きたくないとも。

 
 あたたかくて、ぼんやりしていた。
 
 私が、消えていくのはわかった。

 だけど、私は、私がかわいそうだと、思ってしまった。

 しあわせになりたかった。

 みとめられるひとに、なりたかった。

 ゆめを、かなえたかった。

 ……のんびりと……まいにちを………………。







 おなか、すいた。

 目覚めは最悪。
 まだ眠いけど、起きる。
 夢見が悪い。
 
 私は、1歳になる前に死んだ事を思い出して今まで頑張ってきた。
 今世は家族が多くてすごく嬉しかった。
 父、母、姉、兄、妹、弟。
 父は村の出身だから叔父と祖父母もいる。
 
 嬉しかった。
 1度も、頭を撫でてもらえなかったけど。
 …いらない子になったけど。


「かぞく、ほしかった」
 
 久しぶりに出した声は、穴の中に響いた。
 小さく、細い声。
 身体も小さくて、6歳には見えない。
 5歳の妹より小さいからね。

 
『カゾク。ソレガネガイデスカ』

「!」

『カゾク。チョウセイニハイリマス』

 電子音がした。
 何か言った、何何何!?

 慌てて周りをキョロキョロしたら、変わってた。
 外は夜っぽい。
 だけど私の周りは明るい。
 電気の明かりが眩しい。

 ……?
 なんで?
 さっきまでただの穴だったよ?
 入口からここまでは変わってなくて、魔法陣?があった壁が無くなって奥ができてた。
 電気の明かりはそこからきてる。

 すごい。
 なんていうのかな、科学的な秘密基地みたい。

 ガコっと何かが動いた。

「う、わっ!」

 床が動いた!
 私、座ってたんだけどそのまま移動してる。
 ビックリなんだけど、何故か落ち着いてる私。
 驚きすぎて逆に冷静になるっていうやつか!

 その間も動いていて、私は奥へ運ばれていくのであった。
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