のんびりしたくて

はりゅう

文字の大きさ
15 / 31
はじめ

おはなし よん

しおりを挟む
「契約って、本当に私に害はないの?」

「はい!わたくしがマスターだけのものになるだけです!わたくしがマスターだけの為に存在し、わたくしがマスターだけの為に行動し、わたくしだけがマスターを愛でることができるのです!」

「!?」

「間違えました。ええと、ともかく、わたくしがマスターのものになるだけです。契約してください、マスター」


 どうしよう。
 本当にしていいのか不安になる。
 外の世界は危険がいっぱいらしいし、リースが守ってくれれば行きたい所に行ける。
 でも、リースが時々、なんか怖い。
 ううん。いいのかなぁ?

 私は6歳。
 まだまだ子供。
 守る人は必要。
 それがリースなら?
 私を誰かに売ったりはしないだろう。
 なにより、

「リース、死なない…?」

「マスター…。はい、マスターと最後まで、ずっとそばに居ます。…死んだりしません」

「うん。最後まで、そばに居てね」

「では…っ!」

「うん。契約、するよ」



 こうして、私はリースと、限定という契約をした。
 本当はしっかり契約内容は確認しないといけないんだけど、私はだんだん眠くなってしまい、途中からあまり覚えていない。
 危険なことだったのはわかっていたけど、身体はまだ、弱っていてがんばれなかった。
 話しの最中に私は意識を失ってしまったから。
 リースが慌てていたのだけはわかって、うれしいと、思った。

 
 それから私は自分の身体が旅に耐えられるようになるまでここで過ごす事になった。
 私は本当に弱っていて、すぐに旅に出られる状態ではなかったのだ。
 きっと、ここに落ちてこなければ、2日目には、死んでいたのだと思う。
 
 リースは私を嬉々として世話を焼きまくった。
 前世の記憶持ちとしてはかなり恥ずかしかった。
 上から下まで丸洗いはもちろんのこと、服装全てがリースによって決められ、いろんな種類の衣装で1日を過ごすという、罰ゲームのような日もあった。(動物の着ぐるみパジャマみたいなのや、どこで着るの?のゴージャスなドレスだったり、ねぇ、これコスプレでしょ?な、よくわからない系の服だったり)
 リースは楽しんでいたよ…。

 たくさん話もした。
 リースの前マスターの話は興味深かった。




 わたくしの前マスターについて、少しお話ししまね。
 前マスターは先程も言ったように召喚者で、約100年この世界で生きました。
 不思議な事に老いがありませんでした。
 なのでとっても元気に最後まで楽しんでからこの世を去りました。

 前マスターは自分の為にたくさんの物を作りました。
 この施設もそうです。
 この世界にいくつかこのような場所があります。
 前マスターの別荘ですね。

 この世界には無い、新しい文化になり得るこの技術を、前マスターは決して広めませんでした。
 争いになることがわかっていたからです。
 わたくし達が戦えないのも、もし誰かの手に渡り戦う事を強制され、国すら滅ぼせる程の強大な力を知られたくなかったからです。
 
 前マスターにとっては、格好つけることが第一目的でしたが…。

 前マスターはいつも、楽しそうでした。
 わたくし達は、毎日がゆったりと、流れる、そんな毎日でした。

 ある日、前マスターはわたくし達に自分が死んだ後の話をしました。
 特に、わたくしとわたくしの同型機の子にはしっかり確認をとりました。

 …わたくし達2人が永久機関を持っていたからです。

 永久機関は、危険です。
 わたくし達が動いている時ならば、おそらく問題はないのかもしれません。
 永久機関だとは思われないですからね。

 けれど、自分達の意思の及ばない死後は、誰かが見つけ、悪用しないとは言い切れません。
 なので、どうするか、早めに決めるよう言われたんです。

 わたくしは、悩みました。
 前マスターに作られた“ドール”ですから、その為にあればいいと思っていましたから、決めるよう言われた時、意味がわからなかったんです。
 わたくしに聞くことじゃないと、思いました。
 だから、悩みました。
 これからどうするかではなく、前マスターがなにを聞いているのか、という事を。

 答えは出ませんでした。
 ただ、ナンバー1とナンバー2は永久機関持ちではないので、前マスターと共にある事を選びました。
 2人は前マスターが大好き設定でしたしね。
 …設定は最初だけのプログラムで、後は学習するので思考は次第に変化してましたよ。
 変わらないものもありました。

 わたくしは、ならば、もう1人くらい、マスターを持ってもいいのではと、考えたんです。
 少し、驚きました。
 わたくしは、そんな事を、考えたのだと。
 マスターの為にあるのがわたくし達です。
 自分がマスターではない誰かを求めたのですから。

 前マスターは嬉しそうに、笑ってましたが。

 わたくしの望みのために、マスターはここの入り口の仕掛けを作りました。
 そして、わたくしをここに残しました。

 永い、時でした。
 1人、ここにずっと。

 そして、マスターが現れたんです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...