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つづき
おにい、さん?
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「おじさん、わたし6さい。おじさんは23さいでも、わたしにはおじさん。まちがってない」
「6!?お前こそ嘘だろ!もっと下だ!」
「ん?6さい。ちいさいのは…まぁ、うん。よくある、えいようしっちょう?ってやつ」
「は…?」
「へんきょうでは、よくあるでしょ。しょくりょうぶそく」
「は?…いやいや、ない。いや、ある?あるのか…?」
「ん。ある」
「だから小さいと?」
「ん。…というか、しにかけてた。リースのおかげでいまげんき」
「………はぁ」
小さい私。
すぐ疲れて、すぐ眠くなる。
まだまだ回復中なのだ。
「リースのおかげ。たびできる。…おじ、にい、さん?」
「……?」
「しぬならちょうだい、そのいのち」
「あ?」
「いらないんでしょ?わたし、ほしいの」
「は?」
「ほしいの」
この子供は何を言っている?
欲しい?
命が?
小さい子供の戯言か?
「何の為に」
「?わたしのため?」
「は?」
「いるの?」
何を言ってるんだ、この子供は。
まだ眠いのか少し舌足らずで幼い声色で、なんて恐ろしい事を言う。
そうだ。
初めて会った時も子供なのに大人の目をしていた。
純粋な好奇心、ではなく、理解して考えていた。
まあ、あの時の俺はもうどうでもよくて、あまり覚えていないが。
ただ声が、頭の中にすんなり入ってきて、促されるまま喋ってた。
疲れて、もう喋る事すら嫌になった時、すごい圧が上から来た。
一瞬。
全身が震え上がった。
指の一本すら動かす事すら許されない、圧倒的な恐怖。
慌てて周りを見て子供の姿を探したが側になく、離れた所にあった馬車に居て安堵した。
大丈夫、あの子は巻き込まない。
それから、圧の出どころを探った。
俺の真上。
俺は死ぬんだろう。
初めて味わう恐怖に、死の覚悟をする。
あの子供だけは生き残れるようどうにかしなければ。
それだけ考えた。
小さく息を吐き、ゆっくり、見上げた。
全身が凍る。
視線だけで人は殺せる。
そう、思った。
それは、ただ立っていただけだ。
だが俺は、生まれて初めて死を理解した。
これは、死だ。
俺では敵わない、圧倒的な強者からの殺意。
「動くな」
一言。
たったそれだけで、まばたきさえ出来ずただ見ているしかなかった。
それは女だった。
さっき自分を引きずっていた女。
女は見た事のない太く曲がった大きな刃物を持っていた。
絶対に女の力で軽々と持てるような物ではないはずなのに、女は片手で扱った。
「動けば死ぬ」
死が振り下ろされた。
そこからは、記憶に無い。
記憶に無いが、髭がなくなり、髪が短くなり、着ていた服が替わっていた。
…下着すら。
知りたく無い知りたく無い知りたい知りたく無い知りたく無いしりたくないしりたくない。
シリタクナイ。
コワイ。
シッテワイケナイ。
シッテワイケナイ。
シッテワイケナイ。
……………………。
「シッテワイケナイ」
「おじ…、おにいさん、どうしたの?」
「シッテハイケー、はっ!」
震える。
恐怖が襲ってくる。
さ、寒い。
火に当たっているのに、寒い。
…血の気が引いているのか。
ほわっ
あたたかい?
?
なにか、あたたかいモノがある。
コワイものから逃げたくて、手を伸ばす。
小さいなにかは暖かくて、柔らかい。
ああ、あたたかい。
おにいさん、が突然震えだした。
ガタガタと震え、火に当たっているのにすごく寒そう。
仕方ない、さっきリースがかけてくれた膝掛けを貸してあげよう。
近づき肩にかけるとおにいさん、が動いて私を抱き込んだ。
全身でギュウギュウ締めるから苦しい。
あと、体勢が辛い。
少し動くといい位置になったから大人しく抱き人形となる。
…まだ苦しいけど、仕方ないもんね。
「6!?お前こそ嘘だろ!もっと下だ!」
「ん?6さい。ちいさいのは…まぁ、うん。よくある、えいようしっちょう?ってやつ」
「は…?」
「へんきょうでは、よくあるでしょ。しょくりょうぶそく」
「は?…いやいや、ない。いや、ある?あるのか…?」
「ん。ある」
「だから小さいと?」
「ん。…というか、しにかけてた。リースのおかげでいまげんき」
「………はぁ」
小さい私。
すぐ疲れて、すぐ眠くなる。
まだまだ回復中なのだ。
「リースのおかげ。たびできる。…おじ、にい、さん?」
「……?」
「しぬならちょうだい、そのいのち」
「あ?」
「いらないんでしょ?わたし、ほしいの」
「は?」
「ほしいの」
この子供は何を言っている?
欲しい?
命が?
小さい子供の戯言か?
「何の為に」
「?わたしのため?」
「は?」
「いるの?」
何を言ってるんだ、この子供は。
まだ眠いのか少し舌足らずで幼い声色で、なんて恐ろしい事を言う。
そうだ。
初めて会った時も子供なのに大人の目をしていた。
純粋な好奇心、ではなく、理解して考えていた。
まあ、あの時の俺はもうどうでもよくて、あまり覚えていないが。
ただ声が、頭の中にすんなり入ってきて、促されるまま喋ってた。
疲れて、もう喋る事すら嫌になった時、すごい圧が上から来た。
一瞬。
全身が震え上がった。
指の一本すら動かす事すら許されない、圧倒的な恐怖。
慌てて周りを見て子供の姿を探したが側になく、離れた所にあった馬車に居て安堵した。
大丈夫、あの子は巻き込まない。
それから、圧の出どころを探った。
俺の真上。
俺は死ぬんだろう。
初めて味わう恐怖に、死の覚悟をする。
あの子供だけは生き残れるようどうにかしなければ。
それだけ考えた。
小さく息を吐き、ゆっくり、見上げた。
全身が凍る。
視線だけで人は殺せる。
そう、思った。
それは、ただ立っていただけだ。
だが俺は、生まれて初めて死を理解した。
これは、死だ。
俺では敵わない、圧倒的な強者からの殺意。
「動くな」
一言。
たったそれだけで、まばたきさえ出来ずただ見ているしかなかった。
それは女だった。
さっき自分を引きずっていた女。
女は見た事のない太く曲がった大きな刃物を持っていた。
絶対に女の力で軽々と持てるような物ではないはずなのに、女は片手で扱った。
「動けば死ぬ」
死が振り下ろされた。
そこからは、記憶に無い。
記憶に無いが、髭がなくなり、髪が短くなり、着ていた服が替わっていた。
…下着すら。
知りたく無い知りたく無い知りたい知りたく無い知りたく無いしりたくないしりたくない。
シリタクナイ。
コワイ。
シッテワイケナイ。
シッテワイケナイ。
シッテワイケナイ。
……………………。
「シッテワイケナイ」
「おじ…、おにいさん、どうしたの?」
「シッテハイケー、はっ!」
震える。
恐怖が襲ってくる。
さ、寒い。
火に当たっているのに、寒い。
…血の気が引いているのか。
ほわっ
あたたかい?
?
なにか、あたたかいモノがある。
コワイものから逃げたくて、手を伸ばす。
小さいなにかは暖かくて、柔らかい。
ああ、あたたかい。
おにいさん、が突然震えだした。
ガタガタと震え、火に当たっているのにすごく寒そう。
仕方ない、さっきリースがかけてくれた膝掛けを貸してあげよう。
近づき肩にかけるとおにいさん、が動いて私を抱き込んだ。
全身でギュウギュウ締めるから苦しい。
あと、体勢が辛い。
少し動くといい位置になったから大人しく抱き人形となる。
…まだ苦しいけど、仕方ないもんね。
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