11 / 36
千葉港
しおりを挟む
十月二十日深夜一時半、自宅で寝ていた武男の携帯が鳴った。小出からだ。
「取引です。千葉港中央埠頭。小松組が来ています」
小出の声は小さく、聞き取るのがやっとだ。どうやらすぐ近くに小松組の連中がいるらしい。
「確かか? お前一人か?」
「確かです。小松組の遠藤がいます。黒いベンツが二台、人数は確認できる範囲で四人。もっといるかもしれません。海上には、明らかに不審な漁船が停泊しています。海上保安庁には今、鳴沢さんが連絡しています」
「鳴沢?」
「はい、実は今夜、釣りの手ほどきを……」
「十分以内に応援を行かせるから、そこで隠れて待っていろ。いいか相手は銃を持っている可能性が高い。絶対見つかるな」
「了解」
通報から七分後、当直だった津島と麗子が特殊部隊を引き連れて現場に到着し、ものの数十秒程で小松組の五人全員を現行犯逮捕した。不審な中国魚船もほぼ同時に海上保安庁に拘束された。
鳴沢と麗子が不審船に乗り込むと、そこは武器の山だった。その五分後、武男が現場に着いた時には既に十数台のパトカーと特殊部隊の車両が周りを包囲し、多数の赤色灯がグルグルと付近一帯に赤い帯を描いていた。
自動拳銃マカロフが四十三丁、実弾三千八百発、覚醒剤五㎏、脱法ハーブ十五㎏が押収された。こんな大きな事件を釣りマニアと筋肉バカの二人で解決してしまった。
翌日、武男と鳴沢、小出の三人は本部長室に呼ばれ、表彰の内示を受けた。昨晩は、小出が鳴沢を誘ってシーバスの夜釣りをレクチャーしていたところ、遠くに不自然な船を見つけたという。船は漁船のようであったが、ここ中央埠頭に漁船が停泊することはあまり無い。出来るだけ近づいて確認したが、分からなかった。そこで念のため、しばらく監視していたのだという。二人のお手柄だ。
「取引です。千葉港中央埠頭。小松組が来ています」
小出の声は小さく、聞き取るのがやっとだ。どうやらすぐ近くに小松組の連中がいるらしい。
「確かか? お前一人か?」
「確かです。小松組の遠藤がいます。黒いベンツが二台、人数は確認できる範囲で四人。もっといるかもしれません。海上には、明らかに不審な漁船が停泊しています。海上保安庁には今、鳴沢さんが連絡しています」
「鳴沢?」
「はい、実は今夜、釣りの手ほどきを……」
「十分以内に応援を行かせるから、そこで隠れて待っていろ。いいか相手は銃を持っている可能性が高い。絶対見つかるな」
「了解」
通報から七分後、当直だった津島と麗子が特殊部隊を引き連れて現場に到着し、ものの数十秒程で小松組の五人全員を現行犯逮捕した。不審な中国魚船もほぼ同時に海上保安庁に拘束された。
鳴沢と麗子が不審船に乗り込むと、そこは武器の山だった。その五分後、武男が現場に着いた時には既に十数台のパトカーと特殊部隊の車両が周りを包囲し、多数の赤色灯がグルグルと付近一帯に赤い帯を描いていた。
自動拳銃マカロフが四十三丁、実弾三千八百発、覚醒剤五㎏、脱法ハーブ十五㎏が押収された。こんな大きな事件を釣りマニアと筋肉バカの二人で解決してしまった。
翌日、武男と鳴沢、小出の三人は本部長室に呼ばれ、表彰の内示を受けた。昨晩は、小出が鳴沢を誘ってシーバスの夜釣りをレクチャーしていたところ、遠くに不自然な船を見つけたという。船は漁船のようであったが、ここ中央埠頭に漁船が停泊することはあまり無い。出来るだけ近づいて確認したが、分からなかった。そこで念のため、しばらく監視していたのだという。二人のお手柄だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる