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動機
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「ざっと経緯はわかった。俺の話に間違いがあったり、足りなかったらその都度、補足及び指摘をしてくれ」
そう言って武男が皆を見回す。
「その前にちょっと待って、ねえ、武男はいつ私達に気づいたの?」
「今日だ。先生のクリニックにあったお前のボールペン、そして津島への電話」
津島が下を向く。
「こいつは真面目な奴でな、嘘をつくのが下手だ」武男が津島の肩を叩く。「決定打は高橋の裏アカだ」
「え?」
「津島が調べていたサイトを覗いた」
「え?」
「これです」津島がバックからパソコンを取り出そうとしたが、武男はそれを制して、話し始めた。
「入谷、沢口、南沢の殺害は全て三枝京子の犯行。動機は復讐」
武男が回りを見渡すが、声を上げるものはいない。
「やはりな……」
「なに! 山城! 貴様、カマかけたのか!」
「え?」
麗奈が驚く。
「ああ、だが、カマかけたのはもっと前、最初からだ」
「え? まさか……」
「ここに来るまで確信はなかった。だが、さっき確信した。麗奈が言ったろ。川島先生は最初、入谷殺害の犯人が誰だかわからなかったって。そして、犯人がわかったから、あの計画をたてたと」
「山城……お前……くそっ! はめられた!」小松が毒づく。
「ちょっと待って、じゃあ武男が今、京子の犯行だと言ったのは推測? 確証があってのことじゃなかったの?」
「ああ、なかった」
「手配するとか、俺がなぜここに来たのかわかっているな。とか意味深なことを言ったのも?」
「ああ、そうだ。確証なんて無かった。だからカマかけて確かめさせてもらった。お前たちは真相を知っている気がしたからな。俺に隠れて、こそこそ動くってことはそういうことだと思った」
「くそっ!」
小松が拳を握った。
「いつ? いつから疑ってたの?」
「言ったろ。今日だ。ついさっき」
「……」
「お前らは今日、高橋紀彦を探していた。そして津島が見つけた高橋の裏垢。そこには三枝が写っていた。津島は麗奈がそうとう緊迫しているようだったと言った。命がかかっているとも」
津島がまた下を向く。
「ということは……三枝が高橋紀彦を殺そうとしていて、お前たちはそれを止めようとしている。という推測が成り立つ」
武男は眼鏡を押し上げ、一呼吸おいてから続けた。「だが、三枝が高橋を殺そうとしているからといって入谷、沢口、そして南沢の殺しも彼女がやったとは言えない」
「そうよ。なのにどうして? どうしてそう思ったの?」
「よくわからん」
「え?」
「三枝京子は田代香苗との面会を希望した。川島先生は田代に面会させるため、わざわざ三枝を千葉まで連れてきた。南沢、入谷、沢口、田代、柿崎とは中学の同級生。俺が知っているのはそのくらいだ。そして……三枝は高橋紀彦を殺そうとしている。高橋は彼女が中学の時の担任。一連の犯行とそれがどうも無関係とは思えなくてな」
「それだけで?」
「いや……柿崎は南沢が好む女、南沢の近くにいる美人は手あたり次第にいじめ、レイプの対象にしてきた。情報をくれた横溝君によれば、柿崎はあの中学では一番の美人と言われていたらしい。だが、三枝京子もかなりの美形だ。とすると、奴らのいじめ、レイプの対象になった可能性も否定できない。まあこれは俺の推測だが。もしそうなら、三枝が奴らに復讐をし、それに気づいた川島が身代わりになった……という推測も無くはないかなと考えた。先生は奴らに対する強い恨みがあるからな」
「ふう……さすがね……もう隠してもしょうがないか」
「中学生の時、そういう虐めがあったのは事実よ」
そう言って麗奈はマイクロSDを津島に渡した。
それを津島がパソコンで再生して武男に見せる「これは?」
「柿崎凛子の古いスマホからデータを復元したの」
「まあ、俺たちもそういったルートは持っている」と小松。
そこには、多良間絵里の時と同じように、三枝京子が南沢達によって無理やりレイプされている様子が映し出されていた。
「裏がとれたってことだな?」武男が言った。
「でもそれは彼女が中学生の時の話よ。高校時代、彼女は虐めにあってはいないし、むしろ柿崎や田代からは一目置かれていたのよ」
「だからって、許したって事にはならないだろう?」
「そうね……でも彼女の復讐はそれが原因じゃないの」
「は? 違うだと?」
「理由の一つではあるけれど、直接の動機は親友の仇打ち」
「親友?」
「そうよ、多良間絵里は三枝京子にとって、親友以上の存在」
「どういう事だ?」
「中学生の時、自殺しようとした京子を助け、唯一自分の味方になってくれたのが多良間絵里。彼女に護身術と勉強を教えたのも絵里」
「川島先生がそう言ったのか? それとも三枝本人が?」
「三枝京子、本人よ。本人から聞いたの。京子がいじめられたりレイプされていたのは中学生の時、今となってはもう、どうでもいいって、でも、絵里をあんな目にあわせて殺したことは、絶対許せない。死をもって償わせるしかないって言ったわ」
浩一は絵里と京子の関係については知らなかったわ。私からその話を聞いた時、涙を流して悔しがった……もっと早く気づいていたらって。もちろん京子も浩一が絵里の父親とは知らなかったわ」
「全ては終わった後だった。三枝は既に三人を殺してた」と富永。
「お前ら、どうやって三枝にいきついた?」
「犯人は三枝の可能性が高い。そう思った川島は富永と相談し、佐島と三人で俺んところに頼みにきたよ。居場所探しを手伝ってくれと」
「浩一が、京子に連絡を取ろうとした時、すでに彼女は大学も辞めて、マンションも引き払った後だったの。もちろん以前の携帯電話も解約されていわ」
「だから、お前らはどうして三枝が犯人だとわかった?」
「京子は沢口や入谷達と同じ中学、高校の出身だった。浩一には、中学の時、いじめにあっていたと告白していた……」
「それだけで?」
「いいえ、京子と接見した時、田代香苗は異常に怯えていたって言ってたわ」
「ああ、確かに今思えば田代香苗はあの時、三枝と接見した時、ひどく怯えていたな……事件後、初めての面会だから、誰に対しても怯えているのかと思って気に留めなかったが……」
「それに、浩一は心療内科医として診て、京子は何か嘘をついていると確信していた」
「嘘?」
「どんな嘘かわからないけど、浩一は京子を疑った」
「……」
「田代香苗の面会前は、どこかおどおどして落ち着きのなかったが、面会後は落ち着いていた。とも言っていたわ。裏を返せば、田代が自分の事を警察にはチクらない。という確証をもったからなのかもしれないと」
「はい。そこでいろいろ調べていくと、三枝と南沢達が繋がった」富永が続ける。「で、中学の同級生に聞き込みをしたところ、三枝は柿崎達にいじめられていたことがわかりました。そして彼女の卑猥な写真を見たことがある。という人物が数人いました。で、その写真を撮ったのはたぶん入谷や沢口、柿崎だと思うと」
「そうなの。だから私達は武男と同じ推理をして京子の元に行った。でもその時すでに京子は姿を消していたの」
「で、見つけたのか?」
「はい。でもやっと三枝の居場所が分かった時は、沢口殺害の後でした」富永が言った。
「そのころ浩一はかなり体調が悪く、遠出は難しかった……だから私と富永の二人で京子に会いに行ったの」
「最初は警戒していましたが、俺が富永博隆の父親だと名乗ると三枝京子は一気に泣き崩れました」
「私が京子を抱きしめ、味方だと話すと、彼女は語ってくれた。既に、沢口を殺した後で、南沢も今、殺したところだと言ったわ」
「三枝京子はどこにいたんだ?」
小松が地図を広げて指さす。「仙谷直哉の別荘だ。八ヶ岳にあるその別荘は仙谷が愛人と逢うための隠れ家で、名義も架空。身の危険を感じた南沢修は仙谷に泣きついて、その別荘に身を隠した。でも、三枝は南沢の後をつけて、そこを突き止め、スタンガンを使って奴を拘束して監禁した」
「その日、別荘で京子は多良間絵里との関係を話してくれたわ。京子は絵里に想いを寄せていたの。レズという関係ではなかったようだけど、実際二人は友達以上の関係だった。高校時代も二人は頻繁に会っていた」
「警察にも、川島先生達にもわからなかった犯人が、あいつらだってどうやって彼女、三枝はつきとめたんだ?」
「それは私も聞いてみたわ。彼女、市川のキャバクラでバイトをしていた時期があったの。そこにたまたま沢口が現れた。ヤクザの飲み会のようで無理やり飲まされた沢口は人が変わったように、過去の殺人を自慢したというわ」
「例の飲み会か」
「そうみたいね。高校卒業後一回も会っていないが、沢口だとすぐわかった。でも向こうは全く気づいていなかったと言っていたわ」
「テレビ局へのリークは? それも三枝が?」
「まさか。さすがに生放送は無理よ」
「だろうな……」
「彼女と話していてわかったの。この子死ぬつもりだって」
「ああ、それは俺も感じた」富永が言った。
「京子は例の会話を公表しようとしていたわ。そして自殺するつもりだった」
「覚悟を決めて自殺を決意した者を止めることはできない」
小松が煙草を取り出しながら言った。
「京子は覚悟を決めていた。だから私が提案したの。そんなことをしても、もみ消されておしまいよ。無駄死になるって」
「でお前が?」
「そうよ。チャンネル7のプロデューサーは知り合いだし、幹部の弱みも私はいろいろ知っているの。だから持ちつ持たれつね。どうせなら派手にやった方が効果的でしょ」
「やはりお前か……たしかに、あの放送がなければまた、もみ消された可能性はあるな」
「で、京子に約束させたの。晴れて南沢潤一郎と仙谷直哉が逮捕され、隠蔽にかかわった連中が全て明るみに出るまでは安心できないから死んじゃダメだって。で、もう私達も共犯なんだから、その時にどうしても死にたくなったら、相談しましょうって……で彼女は、とりあえずは死なないと約束してくれた」
「南沢の遺体は翌日の晩、俺と佐島、三枝の三人で市原に遺棄した」富永が言った。
「浩一は京子から手紙を受け取っているの。彼女は最後に浩一に逢いに来たけど留守だった。これはドアの前に置いてあったそうよ。で、死ぬつもりなんだと悟った……」
麗奈は大学ノートの切れ端を取り出して見せた。
先生、わたし、ずっと待ってたんだよ! て、いきなり引くよね。
先生ありがとう。いつもいつもこんなわたしの相手してくれて嬉しかった。
わたしが先生のとこにきたのは、親父が出て行ったからでもなく、母親が自殺したからでもないの。わたし……ごめんね。わたし先生に嘘ついた。親友はいないって言ったけど、ほんとはいるの。ううん……いたの。もういないけど……で、その親友はたぶん殺されたんだろうって……もう自分が抑えられなかったの。
あたしさあ、昔、レイプされたことあるんだよね。何回も……まあ今となってはそんな事どうでもいいんだけど、それから男がダメなの。別に女が好きってわけじゃないけど男はダメなの。
でもね……先生の事好きになっちゃった。ダメなのに好きになっちゃった。もう、おかしくなるくらい……
先生の事大好きだけど……先生といるとあたし壊れちゃうから。
という訳で、さよなら
ん。だから さよなら 言いに来たの。
あたしは大丈夫よ! 先生大~好き 京子
追伸
先生、この前の講義の時、顔色悪かったよ。ちゃんと寝てる? ちゃんと食べてる?
オッサンなんだから無理しちゃダメだよ~
うん で ほんとに さよなら byばい
「たぶん、これは沢口を殺す少し前くらいだと思うわ」
津島が泣いている。
「南沢達に出会わなければ、彼女は殺人を犯す事はなかった……博隆も死んでない……三枝がやらなきゃ俺達が殺っていた」
富永も泣いている。
「復讐なんてそんなもんだ」と武男。
「山城! お前、お前の娘が多良間絵里や三枝と同じ目にあったらどうする!」小松が怒鳴る。
「……」
「想定外だったの」麗奈が言った。
「想定外?」
「高橋紀彦よ。私は浩一との約束通り、彼が命を絶った日、現場に行って私宛の遺書と三枝京子宛の遺書を回収したわ」
「あの時は既にお前が来た後だったわけだ」
「そうよ」
麗奈が鍵をかざしてみせる。
「確かに……全て終わりのはずだった……」富永がつぶやく。
「私が浩一の遺書を持って京子の元にいくと、そこに彼女はいなかった。テーブルの上に遺書があったわ」
麗奈は京子の遺書を武男に渡した。
「そもそも三枝京子はどこにいたんだ? すでにマンションは処分していたんだろ?」
「私の友人宅……ごめんなさい。彼女に迷惑はかけたくないので、今は言えないの」
「まあいい……」
武男と津島は三枝京子の遺書を読んだ。
遺書の中で、京子は入谷健吾、沢口卓也、南沢修の殺害を動機を含め自供していた。そしてもう一人、自死にあたり、どうせ死ぬのであればと、高橋紀彦の名を挙げていた。
京子は、担任である高橋にもレイプされていた。だから、高橋も殺してから死ぬと記されていた。
「彼女がその遺書を書いた時点では、浩一の死も、もちろん彼の自白も知らなかったの……」
「で? 三枝京子は今どこにいる? まさか死んじゃいないよな?」武男が麗奈を見る。
「…………」
「どんな理由であれ三人殺ってるんだ。情状がついたとしても無期か……下手したら死刑ってとこか? あ? 法律なんてクソだな」小松が言った。
「しかも残虐な殺害方法……裁判官の心象はいいとはいえないわね」
「どうせ無期か死刑なら、高橋も殺させとくんだったな」と小松。
「高橋紀彦は……当時、中学生、三枝京子のクラス担任でした。柿崎凛子、田代香苗、入谷健吾も同じクラス。南沢修は一級上。多良間絵里と沢口卓也はそれぞれ別クラスでした」津島が説明する。
「高橋はエロサイトを運営していて、有料動画をUPしています。そしてそのほとんどが女子中学生ものです」
「ロリコンか?」富永が眉をひそめる。
「高橋は校内では風紀担当教諭、学外では、ホームセンターやスーパーなど、無償で万引きGメンを引き受けています」
「で? まさか……」
「はい。現場を押さえて……まあそういう事かと。実際、サイトの中でそう説明しています」
「カスが!」富永がテーブルを叩く。
「はい。その中に、仁戸名中学の制服を着た女子中学生の動画も数本あり、三枝京子の動画もありました」
「動画の中の相手は高橋なの?」と麗奈。
「相手の男性は全て同一人物ですが、黒い全頭マスクをしているため、特定はできません。ですが背中にわりと大きなホクロと、左太ももに直径三センチ程の痣があります。そこから特定は可能です」
「やっぱり撮影していたのね」
「この手の連中は必ず撮影するさ。金にもなるし脅しにも使えるからな」小松が言った。「クソが」
「これ、少女にはモザイクをかけてネットに拡散します。ネットなら状況証拠だけで十分高橋を抹殺できます。それに、ここまで大がかりな犯罪ですから、必ず警察が動きます」
「そうね。それは津島君お願いね」
しばらくの沈黙の後、小松が立ち上がった。「それでも三枝の罪が消えるわけじゃない。山城、お前どうするつもりだ? 三枝は殺人犯。富永と佐島は死体遺棄と犯人隠匿、俺も犯人隠匿だ……お手柄だな」
「貴様!」武男も立ち上がって小松の胸ぐらをつかんだが、すぐにその手を離した。「まあいい……まだ疑問は山のようにある。俺はその疑問を解きたいだけだ。勘違いするな! それ以外の意味は無い」
「武男……それは……どういう事?」
「あ? そういう事だ」
「そういう事って……」
「犯人は川島なんだろ?」
「武男……」
「津島、お前はどう思う?」
「はい。僕も川島先生が犯人かと……」
その時、いきなり扉が開いて二人の女性が入ってきた。
「違う! 先生は犯人じゃない! もういいの! 本当にもういいの! ごめんなさい。みんなごめんなさい」
京子が鳴きながらその場に崩れおちた。
「え? なんで? ねえ、どうして? どういう事」
明らかに麗奈は動揺している。
「ごめんなさい……どうしても止められなくて……」もう一人の女性が言った。
「あたし、あたし……みんな、ごめんなさい。どうして? どうしてみんなそんなに優しいの? あたし……今まで……絵里しかいなかった……みんな……そんな人、絵里しかいなかったのに……どうして……」
「いつからそこにいた」
小松がため息をつく。
「少し前から……」
もう一人の女性が言った。
「貴女は?」武男が聞く。
「はい。君塚幸恵といいます」
「え? まさか」……津島が指さす。
「はい。有希の母です。私が京子さんを匿っていました」
「私が無理やり頼んだのよ。この人は関係ないわ」麗奈が言った。
「違います。私の意思です」
「まあいい……みんな揃ってしまったか……想定外だな……」
武男は大きく深呼吸をした。
そう言って武男が皆を見回す。
「その前にちょっと待って、ねえ、武男はいつ私達に気づいたの?」
「今日だ。先生のクリニックにあったお前のボールペン、そして津島への電話」
津島が下を向く。
「こいつは真面目な奴でな、嘘をつくのが下手だ」武男が津島の肩を叩く。「決定打は高橋の裏アカだ」
「え?」
「津島が調べていたサイトを覗いた」
「え?」
「これです」津島がバックからパソコンを取り出そうとしたが、武男はそれを制して、話し始めた。
「入谷、沢口、南沢の殺害は全て三枝京子の犯行。動機は復讐」
武男が回りを見渡すが、声を上げるものはいない。
「やはりな……」
「なに! 山城! 貴様、カマかけたのか!」
「え?」
麗奈が驚く。
「ああ、だが、カマかけたのはもっと前、最初からだ」
「え? まさか……」
「ここに来るまで確信はなかった。だが、さっき確信した。麗奈が言ったろ。川島先生は最初、入谷殺害の犯人が誰だかわからなかったって。そして、犯人がわかったから、あの計画をたてたと」
「山城……お前……くそっ! はめられた!」小松が毒づく。
「ちょっと待って、じゃあ武男が今、京子の犯行だと言ったのは推測? 確証があってのことじゃなかったの?」
「ああ、なかった」
「手配するとか、俺がなぜここに来たのかわかっているな。とか意味深なことを言ったのも?」
「ああ、そうだ。確証なんて無かった。だからカマかけて確かめさせてもらった。お前たちは真相を知っている気がしたからな。俺に隠れて、こそこそ動くってことはそういうことだと思った」
「くそっ!」
小松が拳を握った。
「いつ? いつから疑ってたの?」
「言ったろ。今日だ。ついさっき」
「……」
「お前らは今日、高橋紀彦を探していた。そして津島が見つけた高橋の裏垢。そこには三枝が写っていた。津島は麗奈がそうとう緊迫しているようだったと言った。命がかかっているとも」
津島がまた下を向く。
「ということは……三枝が高橋紀彦を殺そうとしていて、お前たちはそれを止めようとしている。という推測が成り立つ」
武男は眼鏡を押し上げ、一呼吸おいてから続けた。「だが、三枝が高橋を殺そうとしているからといって入谷、沢口、そして南沢の殺しも彼女がやったとは言えない」
「そうよ。なのにどうして? どうしてそう思ったの?」
「よくわからん」
「え?」
「三枝京子は田代香苗との面会を希望した。川島先生は田代に面会させるため、わざわざ三枝を千葉まで連れてきた。南沢、入谷、沢口、田代、柿崎とは中学の同級生。俺が知っているのはそのくらいだ。そして……三枝は高橋紀彦を殺そうとしている。高橋は彼女が中学の時の担任。一連の犯行とそれがどうも無関係とは思えなくてな」
「それだけで?」
「いや……柿崎は南沢が好む女、南沢の近くにいる美人は手あたり次第にいじめ、レイプの対象にしてきた。情報をくれた横溝君によれば、柿崎はあの中学では一番の美人と言われていたらしい。だが、三枝京子もかなりの美形だ。とすると、奴らのいじめ、レイプの対象になった可能性も否定できない。まあこれは俺の推測だが。もしそうなら、三枝が奴らに復讐をし、それに気づいた川島が身代わりになった……という推測も無くはないかなと考えた。先生は奴らに対する強い恨みがあるからな」
「ふう……さすがね……もう隠してもしょうがないか」
「中学生の時、そういう虐めがあったのは事実よ」
そう言って麗奈はマイクロSDを津島に渡した。
それを津島がパソコンで再生して武男に見せる「これは?」
「柿崎凛子の古いスマホからデータを復元したの」
「まあ、俺たちもそういったルートは持っている」と小松。
そこには、多良間絵里の時と同じように、三枝京子が南沢達によって無理やりレイプされている様子が映し出されていた。
「裏がとれたってことだな?」武男が言った。
「でもそれは彼女が中学生の時の話よ。高校時代、彼女は虐めにあってはいないし、むしろ柿崎や田代からは一目置かれていたのよ」
「だからって、許したって事にはならないだろう?」
「そうね……でも彼女の復讐はそれが原因じゃないの」
「は? 違うだと?」
「理由の一つではあるけれど、直接の動機は親友の仇打ち」
「親友?」
「そうよ、多良間絵里は三枝京子にとって、親友以上の存在」
「どういう事だ?」
「中学生の時、自殺しようとした京子を助け、唯一自分の味方になってくれたのが多良間絵里。彼女に護身術と勉強を教えたのも絵里」
「川島先生がそう言ったのか? それとも三枝本人が?」
「三枝京子、本人よ。本人から聞いたの。京子がいじめられたりレイプされていたのは中学生の時、今となってはもう、どうでもいいって、でも、絵里をあんな目にあわせて殺したことは、絶対許せない。死をもって償わせるしかないって言ったわ」
浩一は絵里と京子の関係については知らなかったわ。私からその話を聞いた時、涙を流して悔しがった……もっと早く気づいていたらって。もちろん京子も浩一が絵里の父親とは知らなかったわ」
「全ては終わった後だった。三枝は既に三人を殺してた」と富永。
「お前ら、どうやって三枝にいきついた?」
「犯人は三枝の可能性が高い。そう思った川島は富永と相談し、佐島と三人で俺んところに頼みにきたよ。居場所探しを手伝ってくれと」
「浩一が、京子に連絡を取ろうとした時、すでに彼女は大学も辞めて、マンションも引き払った後だったの。もちろん以前の携帯電話も解約されていわ」
「だから、お前らはどうして三枝が犯人だとわかった?」
「京子は沢口や入谷達と同じ中学、高校の出身だった。浩一には、中学の時、いじめにあっていたと告白していた……」
「それだけで?」
「いいえ、京子と接見した時、田代香苗は異常に怯えていたって言ってたわ」
「ああ、確かに今思えば田代香苗はあの時、三枝と接見した時、ひどく怯えていたな……事件後、初めての面会だから、誰に対しても怯えているのかと思って気に留めなかったが……」
「それに、浩一は心療内科医として診て、京子は何か嘘をついていると確信していた」
「嘘?」
「どんな嘘かわからないけど、浩一は京子を疑った」
「……」
「田代香苗の面会前は、どこかおどおどして落ち着きのなかったが、面会後は落ち着いていた。とも言っていたわ。裏を返せば、田代が自分の事を警察にはチクらない。という確証をもったからなのかもしれないと」
「はい。そこでいろいろ調べていくと、三枝と南沢達が繋がった」富永が続ける。「で、中学の同級生に聞き込みをしたところ、三枝は柿崎達にいじめられていたことがわかりました。そして彼女の卑猥な写真を見たことがある。という人物が数人いました。で、その写真を撮ったのはたぶん入谷や沢口、柿崎だと思うと」
「そうなの。だから私達は武男と同じ推理をして京子の元に行った。でもその時すでに京子は姿を消していたの」
「で、見つけたのか?」
「はい。でもやっと三枝の居場所が分かった時は、沢口殺害の後でした」富永が言った。
「そのころ浩一はかなり体調が悪く、遠出は難しかった……だから私と富永の二人で京子に会いに行ったの」
「最初は警戒していましたが、俺が富永博隆の父親だと名乗ると三枝京子は一気に泣き崩れました」
「私が京子を抱きしめ、味方だと話すと、彼女は語ってくれた。既に、沢口を殺した後で、南沢も今、殺したところだと言ったわ」
「三枝京子はどこにいたんだ?」
小松が地図を広げて指さす。「仙谷直哉の別荘だ。八ヶ岳にあるその別荘は仙谷が愛人と逢うための隠れ家で、名義も架空。身の危険を感じた南沢修は仙谷に泣きついて、その別荘に身を隠した。でも、三枝は南沢の後をつけて、そこを突き止め、スタンガンを使って奴を拘束して監禁した」
「その日、別荘で京子は多良間絵里との関係を話してくれたわ。京子は絵里に想いを寄せていたの。レズという関係ではなかったようだけど、実際二人は友達以上の関係だった。高校時代も二人は頻繁に会っていた」
「警察にも、川島先生達にもわからなかった犯人が、あいつらだってどうやって彼女、三枝はつきとめたんだ?」
「それは私も聞いてみたわ。彼女、市川のキャバクラでバイトをしていた時期があったの。そこにたまたま沢口が現れた。ヤクザの飲み会のようで無理やり飲まされた沢口は人が変わったように、過去の殺人を自慢したというわ」
「例の飲み会か」
「そうみたいね。高校卒業後一回も会っていないが、沢口だとすぐわかった。でも向こうは全く気づいていなかったと言っていたわ」
「テレビ局へのリークは? それも三枝が?」
「まさか。さすがに生放送は無理よ」
「だろうな……」
「彼女と話していてわかったの。この子死ぬつもりだって」
「ああ、それは俺も感じた」富永が言った。
「京子は例の会話を公表しようとしていたわ。そして自殺するつもりだった」
「覚悟を決めて自殺を決意した者を止めることはできない」
小松が煙草を取り出しながら言った。
「京子は覚悟を決めていた。だから私が提案したの。そんなことをしても、もみ消されておしまいよ。無駄死になるって」
「でお前が?」
「そうよ。チャンネル7のプロデューサーは知り合いだし、幹部の弱みも私はいろいろ知っているの。だから持ちつ持たれつね。どうせなら派手にやった方が効果的でしょ」
「やはりお前か……たしかに、あの放送がなければまた、もみ消された可能性はあるな」
「で、京子に約束させたの。晴れて南沢潤一郎と仙谷直哉が逮捕され、隠蔽にかかわった連中が全て明るみに出るまでは安心できないから死んじゃダメだって。で、もう私達も共犯なんだから、その時にどうしても死にたくなったら、相談しましょうって……で彼女は、とりあえずは死なないと約束してくれた」
「南沢の遺体は翌日の晩、俺と佐島、三枝の三人で市原に遺棄した」富永が言った。
「浩一は京子から手紙を受け取っているの。彼女は最後に浩一に逢いに来たけど留守だった。これはドアの前に置いてあったそうよ。で、死ぬつもりなんだと悟った……」
麗奈は大学ノートの切れ端を取り出して見せた。
先生、わたし、ずっと待ってたんだよ! て、いきなり引くよね。
先生ありがとう。いつもいつもこんなわたしの相手してくれて嬉しかった。
わたしが先生のとこにきたのは、親父が出て行ったからでもなく、母親が自殺したからでもないの。わたし……ごめんね。わたし先生に嘘ついた。親友はいないって言ったけど、ほんとはいるの。ううん……いたの。もういないけど……で、その親友はたぶん殺されたんだろうって……もう自分が抑えられなかったの。
あたしさあ、昔、レイプされたことあるんだよね。何回も……まあ今となってはそんな事どうでもいいんだけど、それから男がダメなの。別に女が好きってわけじゃないけど男はダメなの。
でもね……先生の事好きになっちゃった。ダメなのに好きになっちゃった。もう、おかしくなるくらい……
先生の事大好きだけど……先生といるとあたし壊れちゃうから。
という訳で、さよなら
ん。だから さよなら 言いに来たの。
あたしは大丈夫よ! 先生大~好き 京子
追伸
先生、この前の講義の時、顔色悪かったよ。ちゃんと寝てる? ちゃんと食べてる?
オッサンなんだから無理しちゃダメだよ~
うん で ほんとに さよなら byばい
「たぶん、これは沢口を殺す少し前くらいだと思うわ」
津島が泣いている。
「南沢達に出会わなければ、彼女は殺人を犯す事はなかった……博隆も死んでない……三枝がやらなきゃ俺達が殺っていた」
富永も泣いている。
「復讐なんてそんなもんだ」と武男。
「山城! お前、お前の娘が多良間絵里や三枝と同じ目にあったらどうする!」小松が怒鳴る。
「……」
「想定外だったの」麗奈が言った。
「想定外?」
「高橋紀彦よ。私は浩一との約束通り、彼が命を絶った日、現場に行って私宛の遺書と三枝京子宛の遺書を回収したわ」
「あの時は既にお前が来た後だったわけだ」
「そうよ」
麗奈が鍵をかざしてみせる。
「確かに……全て終わりのはずだった……」富永がつぶやく。
「私が浩一の遺書を持って京子の元にいくと、そこに彼女はいなかった。テーブルの上に遺書があったわ」
麗奈は京子の遺書を武男に渡した。
「そもそも三枝京子はどこにいたんだ? すでにマンションは処分していたんだろ?」
「私の友人宅……ごめんなさい。彼女に迷惑はかけたくないので、今は言えないの」
「まあいい……」
武男と津島は三枝京子の遺書を読んだ。
遺書の中で、京子は入谷健吾、沢口卓也、南沢修の殺害を動機を含め自供していた。そしてもう一人、自死にあたり、どうせ死ぬのであればと、高橋紀彦の名を挙げていた。
京子は、担任である高橋にもレイプされていた。だから、高橋も殺してから死ぬと記されていた。
「彼女がその遺書を書いた時点では、浩一の死も、もちろん彼の自白も知らなかったの……」
「で? 三枝京子は今どこにいる? まさか死んじゃいないよな?」武男が麗奈を見る。
「…………」
「どんな理由であれ三人殺ってるんだ。情状がついたとしても無期か……下手したら死刑ってとこか? あ? 法律なんてクソだな」小松が言った。
「しかも残虐な殺害方法……裁判官の心象はいいとはいえないわね」
「どうせ無期か死刑なら、高橋も殺させとくんだったな」と小松。
「高橋紀彦は……当時、中学生、三枝京子のクラス担任でした。柿崎凛子、田代香苗、入谷健吾も同じクラス。南沢修は一級上。多良間絵里と沢口卓也はそれぞれ別クラスでした」津島が説明する。
「高橋はエロサイトを運営していて、有料動画をUPしています。そしてそのほとんどが女子中学生ものです」
「ロリコンか?」富永が眉をひそめる。
「高橋は校内では風紀担当教諭、学外では、ホームセンターやスーパーなど、無償で万引きGメンを引き受けています」
「で? まさか……」
「はい。現場を押さえて……まあそういう事かと。実際、サイトの中でそう説明しています」
「カスが!」富永がテーブルを叩く。
「はい。その中に、仁戸名中学の制服を着た女子中学生の動画も数本あり、三枝京子の動画もありました」
「動画の中の相手は高橋なの?」と麗奈。
「相手の男性は全て同一人物ですが、黒い全頭マスクをしているため、特定はできません。ですが背中にわりと大きなホクロと、左太ももに直径三センチ程の痣があります。そこから特定は可能です」
「やっぱり撮影していたのね」
「この手の連中は必ず撮影するさ。金にもなるし脅しにも使えるからな」小松が言った。「クソが」
「これ、少女にはモザイクをかけてネットに拡散します。ネットなら状況証拠だけで十分高橋を抹殺できます。それに、ここまで大がかりな犯罪ですから、必ず警察が動きます」
「そうね。それは津島君お願いね」
しばらくの沈黙の後、小松が立ち上がった。「それでも三枝の罪が消えるわけじゃない。山城、お前どうするつもりだ? 三枝は殺人犯。富永と佐島は死体遺棄と犯人隠匿、俺も犯人隠匿だ……お手柄だな」
「貴様!」武男も立ち上がって小松の胸ぐらをつかんだが、すぐにその手を離した。「まあいい……まだ疑問は山のようにある。俺はその疑問を解きたいだけだ。勘違いするな! それ以外の意味は無い」
「武男……それは……どういう事?」
「あ? そういう事だ」
「そういう事って……」
「犯人は川島なんだろ?」
「武男……」
「津島、お前はどう思う?」
「はい。僕も川島先生が犯人かと……」
その時、いきなり扉が開いて二人の女性が入ってきた。
「違う! 先生は犯人じゃない! もういいの! 本当にもういいの! ごめんなさい。みんなごめんなさい」
京子が鳴きながらその場に崩れおちた。
「え? なんで? ねえ、どうして? どういう事」
明らかに麗奈は動揺している。
「ごめんなさい……どうしても止められなくて……」もう一人の女性が言った。
「あたし、あたし……みんな、ごめんなさい。どうして? どうしてみんなそんなに優しいの? あたし……今まで……絵里しかいなかった……みんな……そんな人、絵里しかいなかったのに……どうして……」
「いつからそこにいた」
小松がため息をつく。
「少し前から……」
もう一人の女性が言った。
「貴女は?」武男が聞く。
「はい。君塚幸恵といいます」
「え? まさか」……津島が指さす。
「はい。有希の母です。私が京子さんを匿っていました」
「私が無理やり頼んだのよ。この人は関係ないわ」麗奈が言った。
「違います。私の意思です」
「まあいい……みんな揃ってしまったか……想定外だな……」
武男は大きく深呼吸をした。
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