ちょとだけ不思議で、ちょとだけ夢のある、ちょとだけ昔の冒険物語

いぬっ

文字の大きさ
11 / 29
≪蒸気船編≫

11.しずかの修行

しおりを挟む
 マリンの魔法も、村の周囲に張った結界も効きが悪く、稲穂いなほちゃんとおばあさんの容体ようたい悪化あっか、熱が下がらずに苦しんでいる……

水面みなも君は大丈夫?」

「僕は大丈夫です! マリンおねーさんがってくれた御札おふだのおかげですね、有難うございます」

御札おふだ直接ちょくせつ体に貼り付けてあれば、まだ効くみたいね!」

水面みなも君、そんな所に御札おふだ貼られたけど、邪魔じゃまじゃないか?」

「大丈夫です! 裕翔ゆうとさんも、気を使って頂き有難うございます」

水面みなも君はしっかりしてるんだな、何歳いくつなんだ?」

「僕はもう、6歳です!」

「……そうか6歳か……1人でおばあさんと妹の看病かんびょうをしてえらいぞ!」

「そんな事はありませんよ、僕がもっとしっかりしないといけないんですけど……」

「すごいぞ~! みなもく~ん! 可愛すぎる~!」マリンは母性本能ぼせいほんのうくすぐられたのか、水面みなも君に抱きついて、スリスリしている……

「こら~マリン、どさくさにまぎれて、その行動はどっちなんだ?……」

感動かんどうしたのよ!」

「本当なのか?」

『ニャー』

「ミーシャ、 どうした?」……村の回りにった御札をくわえている。

「それって! さっきった結界けっかい御札おふだじゃないの?」

「なんか? げてる? 黒くなってないか?」

多分たぶんこれって、何かの妖気ようきに結界が負けたのよ!」

「ミーシャ! 他の御札おふだもなの?」

『ニャー』

「それは、まずいわね! 原因げんいんを突き止めないと!」

「でも、どうやって?」

「私に考えがあるわ! けど、その前に、稲穂いなほちゃんと、おばあちゃんを治療ちりょうしないと……熱が高すぎるわ……」

……

 マリンは、治癒魔法ちゆまほうを使うも、思うように治療ちりょうが出来ない……何とか力を振り絞り、御札を作り上げて、おばあさんと稲穂ちゃんに貼り付ける……

「これで大丈夫よ! 良くなって来るからね……たぶん…… 」マリンは少し自信じしんがなさそうだ……

「マリンおねーさん、有り難う! でも、ちょつと違う場所に御札おふだ、貼って欲しいです……」

「あ、ごめんなさい、それじゃ……ここね!」

「……ありがとう……」

水面みなも君、なんかね、御札の力が弱まっていて、直ぐには熱は下がらないから、冷たい水で冷やしてあげてね!」

「はい、わかりました」

「それじゃ! 裕翔! ミーシャ! 原因を突き止めに行くわよ!」

「わかった、急ごう!」

……

 御札おふだを貼った場所まで戻ると、異様いよう景色けしきに変わり果てていた……草はれ、木々の葉は黒く変色へんしょくしている。結界を張った時には綺麗きれいな水をたたえていた池も汚れて、死んだ魚が浮かんでいる……

「何があったんだ?」

「裕翔、これを見て!」

「ん? 北側きたがわに貼った御札が真っ黒だ!」

「この辺りに、何かいるわよ!……しずかの力を借りれば浄化魔法じょうかまほう、使えるかな?」

 マリンは水色に輝く特大の魔法陣を出現させる……

『なに!? ま、まつのじゃ! マリン! いきなりその様な特大の浄化魔法を使うとは! 心の準備が~~~……』

 しずかは、妖気の毒気どくけに当たって調子ちょうしが悪そうで、顔色かおいろが悪い……

「しずか! ごめんなさ~い、もう、まてないわ~! められな~い!」

 マリンは特大の浄化魔法をはなつ!

「やった! 使えた!」

『うあ~~~~~~』

 しずかは、かなりの神通力じんつうりきを持って行かれて、ぐるぐる目を回す……

「マリン、『私に考えがあるわ!』って言ってたけど、強引ごういんに浄化魔法を使う事だったのか……」

……

 しばらくすると、浄化魔法が効いたのか、地中ちちゅうから妖気ようきかたまりがあらわれる!

「なんだ? あれは!」

『こら~! マリン! 突然すぎるぞ、ドキドキがまらないぞ、 神通力の半分以上持って行きよって! この村に来てから調子が悪くて寝込んでおったのじゃ~』

「そんな事より、大変! しずかも見て!」

 妖気の塊は次第しだいに、 妖刀ようとう顕現けんげんした。

『な! なんじゃ! あれは? 妖刀か? 凄まじいほどの妖気を感じるぞ! 浄化魔法が効かなかったとはな~、これはまずいのではないか……』

「そうだな、でもなんで? こんな場所に妖刀が居るんだよ?」

『このあたり乱世らんせの頃、結城合戦ゆうきかっせんと言われる大きないくさがあってな、その時にこのあたりでち死にした武将達ぶしょうたち怨念 おんねんかたまり妖刀ようとうになったのじやろうな……』

此奴こいつのせいで、この村の人達がひどい目に合っているのね! 裕翔、退治しちゃて!」

「無理言うなよ! マリンの魔法で浄化出来ないのか?」

「無理!」

「無理? って、なんで?」

此奴こいつ、かなり手強てごわいわ、それにさっき、しずかの神通力の半分はんぶん使っちゃたからが悪いのよ……」

『そうじゃな! わしも勝てる気がせぬぞ……』

「それなら、一旦いったん引いて作戦を立てるぞ!」

……

 村に戻ると、水面みなも君や稲穂いなほちゃんも、また熱をだして寝込んでいた。

「ちょと、さっきの妖刀ようとう、怒らせちゃたみたいね……」

「どうする?」

「そうね、 強力な御札は作れないけど、応急措置おうきゅうしょちで、防御ぼうぎょの御札を家の扉に貼り付けましょう。それで、一時的だけど妖気を弱めるわ、手分けして村全部の家に貼るのよ! しずか、少し神通力もらうね!」

『うわ~~~、これ以上は無理じゃ~~~』

 しずかはまた、ぐるぐる目を回す……

……しばらくして

「貼り終わったよ!」

「これで、少しは妖気を弱められるはず……」

 暫くすると、水面君、稲穂ちゃんの熱が下がってきたのか、少し落ち着いて会話が出来る様になった。だけど、おばあさんはまだ少し熱があるので冷たい水で、おでこを冷やしてあげる……

「おねーちゃん……」

「あ! 稲穂ちゃん、 ごめんね! 病気の根源こんげんが分かったけどね! 強力な奴でね、今のままじゃ勝てないから、一旦帰ってきたのよ」

妖怪ようかい? そうね! 妖刀ようとうってやつね!」

こわい……」

「大丈夫よ! 稲穂ちゃん、落ち着いて、私に任せなさい!」

……

「マリン! そんな約束やくそくして、大丈夫なのか?  勝てるのか?」

「そうね、今のままだとちょっときびしいかな……でもね! もう少し浄化魔法の力をアップ出来れば勝てると思うのよ」

「どうするんだ?」

修行しゅぎょうするわ!」

「え、修行?」

「そうよ、修行!」

「そうか分かった、俺も協力するよ、で! 何の修行をする? 滝行たきぎょうか? あれは流木りゅうぼくに注意しないと死ぬぞ……」

「裕翔、 心配してくれて有り難う! でもね、私じゃなくてね、しずかにね、修行してもらうのよ!」

『なに~!?  なぜわしなのじゃ?  マリン?』

「だってしずか様~、私の力は微々びびたる物じゃないですか~、ほとんどが、しずか様の神通力に頼ってるし~、だからね、ここはしずか様の神通力を上げるのが一番の近道かと思って~……」

『なんじゃマリン、その喋り方は? 語尾ごびを伸ばすでない、可愛かわいいがの! それからなぜ急に『さま』を付けて呼ぶのじゃ?  友達なのだから不用なのじゃ! しかしな、確かに理屈りくつはそうかもなのじゃが……修行はお断りなのじゃ!』

「そんなこと言っても良いんですか? この辺りはまさに、しずかの本拠地ほんきょちではないですか! 守護神しゅごしんなのに病気で苦しんでいる人々ひとびとを助けないんですか?」

『うー! マリン、痛い所をついてくるな! しかしな~ 私は実体じったいがないぞ! どうやるのじゃ?』

「大丈夫よ! 式神しきがみ憑依ひょういさせるわ!」

『そんな事で神通力がきたえられるのか~?』

「も~! 何時いつまで駄々だだをこねているんですか! やる? やらない? どっちにしますか?」

……

『わかった、やる! 修行やる!』しずかは渋々しぶしぶながら、修行に同意する……

「時間がないわ! 早速さっそくはじめましょう」

 裕翔はマリンとしずか、2人のやり取りを見ていたが……しずかの姿は他の人には見えない……ちょっと気になり横を見ると、水面君と稲穂ちゃんとおばあちゃんが冷めた目でマリンの事を見ていた。

「やっぱりな! あれは、儀式ぎしきの様なものだから、気にしないでね!」……傍目はためからは、やっぱり1人で騒いでいる様にしか見えないよな……

 しばらくすると、しずかが憑依ひょういした式神しきがみが動き出した。

すご~い!」

 水面君と稲穂ちゃん、おばあさんの目がおどろきに変わった!

「しずか! その姿は?」

 マリンの式神は人と見紛みまごうほどの高性能になっていた……

『どうじゃ! 裕翔よ! この様な女は好きか? 美人じゃろ! どうやら、見た目が変えられる様じゃ!』

「 凄い! 美人だ!……」

『裕翔! 気に入ったか? マリンの姿にもなれるぞ! ほれ! どうじゃ?』

「しずか! 遊ばないで!」

『わかった、わかった! じゃがなマリン、この式神は重さが無いぞ! 修行になるか?』

「大丈夫です! 最初はミーシャと水面君に手伝てつだってもらいましょ!」

 そう言うと、まきを運ぶ背負子しょいこを持って来て、しずかに背負ってもらい、水面君とミーシャに乗ってもらう!

『う! これは重い……』

「それじゃ! 村の中を走ってもらいます」

「裕翔も護衛ごえいで一緒に走って!」

「え! 俺もか!?」

……

 地獄じごく猛特訓もうとっくんが始まり数時間が経過した。

ふとももが~』

「しずか! まだまだ! 続けて、腕立て伏せ100回!」

『これは楽じゃ! 重さが無いからな!』

「ミーシャ! 背中に乗って!」

『え~~!』

 しずかの手足は『ぷるぷる』と小鹿こじかのようにふるえている。

『ちょっと、そろそろ、休ませてくれ~!』

……

 しずかはマリンから治療魔法ちゆまほうをかけてもらっている。

『あ~! 気持ちがいい~』

「どうですか? 修行と治療を繰り返せば、かなり早く神通力がパワーアップ出来るはずよ!」

『そうかの~、楽しみじゃな~!』

「それでは、特訓開始~!」

『え~、もう少し休みたいのじゃ~~~』

 徹夜てつやの特訓は続く……

 次の日……
……『コケコー』

『もうだめじゃ~、早く治癒魔法を掛けてくれなのじゃ~!』しずかは足腰あしこしが立たなくなっていて、座り込んでいる姿が可愛い!

「しずか、横になってらくにして! 」 

 治療魔法を掛ける……

「どう?」

『かなりよいぞ! 神通力も上がった気がするぞ! そろそろ、たたかいに行くか?』

「そうね! これならば勝てるかも!」

「準備は出来たんだな! よし! 俺も新しい技を試してみるかな!」

『なんじゃ! 裕翔も修行してたのか?』

「これは俺の剣術けんじゅつ流派りゆうは奥義おうぎの一つでな、修行は大変だったが、この鷲宮神社わしのみやじんじゃかたながあれば……」

……

一旦いったんマリンの中に戻って神通力を全開にしてから戦いたいのじゃが? どう思う?』

「そうしましょう!」

 2人とも、裕翔の話は途中から聞いていなかった……

……つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ
ファンタジー
 ハートとお気に入り登録、ぜひぜひお願いいたします!  ↓簡単なあらすじは''もっと見る''へ!↓  ここは、剣と魔法の異世界グリム。  ……その大陸の真ん中らへんにある、荒野広がるだけの平和なスラガン地方。  近辺の大都市に新しい冒険者ギルド本部が出来たことで、辺境の町バッファロー冒険者ギルド支部は無名のままどんどん寂れていった。  そんな所に見習い冒険者のナガレという青年が足を踏み入れる。  無名なナガレと崖っぷちのギルド。おまけに巨悪の陰謀がスラガン地方を襲う。ナガレと仲間たちを待ち受けている物とは……?  チートスキルも最強ヒロインも女神の加護も何もナシ⁉︎ ハーレムなんて夢のまた夢、無双もできない弱小冒険者たちの成長ストーリー!  努力と友情で、逆境跳ね除け成り上がれ! (この小説では数字が漢字表記になっています。縦読みで読んでいただけると幸いです!)

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

処理中です...