ちょとだけ不思議で、ちょとだけ夢のある、ちょとだけ昔の冒険物語

いぬっ

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≪蒸気船編≫

12.妖刀との戦い

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……数時間後すうじかんご

 徹夜てつやでの修行の成果で、神通力をパワーアップさせる事に成功したしずか、一度マリンの中に戻って力を復活させる……

『マリン、裕翔ゆうと! 出陣しゅつじんなのじゃ~!』

すごい! 強力な神通力を感じるわ!」

『どうじゃ! 凄かろ~、つら修行しゅぎょうを耐え抜いたからの~……自分でも良くやったなのではないかと思うほどじゃ! それでマリン、ご褒美ほうびは無いのか?』

「何か欲しい物があるの?」

『そうじゃな~! 団子だんご……みたらし団子が食べたい……それから……こしあんにつぶあん、抹茶まっちゃ団子も食べたいの~! 神になってからは、何百年なんびゃくねんもご無沙汰ぶたさじゃたからな~……』

「団子だったら、おそなえとか、奉納ほうのうとかはなかったのか?」

裕翔ゆうとよ! 分かっておらんな~、奉納やお供え品は駄目だめじゃ! カッサカサのがっちがっちで食えたものではないのじゃ……たまに蛞蝓ナメクジありも付いていて食べられん……』

「確かに、美味しくなさそ~」

『分かってくれるか! お店に行って食べるのが1番美味おいしいのじゃ!……けどな、神になってからは行けなくなった……』両手の人差し指を突き合せ、『ツンツン』させながら、含羞はにかんでいる……

「分かったわ! 戦いが終わったら、美味しいお団子、一緒に食べましょうね!」

俄然がぜんやる気がでたのじゃ! それでは、直ぐに終わらせて、団子を食べるとするのじゃ!』

 修行のご褒美ほうびに、美味しい団子を食べさせてもらうと言う確約かくやくを取り、嬉しそうにはしゃぐ……

「しずか! もうすぐ戦いの場所に着くわよ、気合を入れないと駄目よ!」

『そうじゃな! 妖刀におくれを取るわけにはいかんからな……わかったのじ! 気合を入れるのじゃ!……団子は沢山食べても良いのか?』

……しばらく歩くと村外れの池が見えて来た……妖刀のいる場所に到着すると、不穏ふおんな空気がただよい、不快で強力な妖気がそこにることが感じられる……

「御札がもう真っ黒になって、これじゃ効力こうりょくが失くなっているわね……」

「なんか変じゃないか、錯覚か? 妖刀が2つになってるぞ……」

分列ぶんれつしたの?……」

『そうじゃな! 妖刀め、分列しよったな……』

「でも大丈夫よ! しずか! 浄化魔法で攻撃するわよ!」

『わかったのじゃ! 何時いつでも良いぞ! マリンってしまえ!』

 マリンは水色に輝く魔法陣を出現させ、浄化魔法を発動! 魔方陣は回転しながら巨大化して、妖刀を飲み込む……

「凄いわ! いままでの浄化魔法とは比べようもないくらいパワーアップしてる!」

「どうじゃ! 修行の成果じゃな!」

 しかし、妖刀の力も2倍になっていて、直ぐには浄化出来ない……

「しぶといわね、でも効いてるみたい……」

『う~~~、神通力がどんどん吸い取られる~~~』

「大丈夫? しずか!」

『みたらし団子~~~! いっぱい食べる~~~!』

「大丈夫そうね……」

……

 はげしい攻防こうぼうすえに妖刀は魔方陣に飲み込まれて浄化されて行った……

「やった! 凄いわ、しずか有り難う!」

『マリンもよくやった! 素晴らしいぞ!』

 妖気の影響で枯れていた草木くさき……しずかの神通力で新芽しんめ芽吹めぶきき始め、元の状態に戻ろうとしている……池も綺麗きれいな水になるが……

「死んだ魚は可哀想かわいそうね……」

 マリンは魚のお墓を作り埋葬まいそうする……

「マリンは優しいんだな!」

「そうよ、私は慈愛じあいちている魔法使いで忍者なのよ!」

……

「この感じなら、村の人達も元気になりそうね!」

「なんだ、俺の出番は無かったな! せっかく鷲宮神社わしのみやじんじゃかたなを借りて来たのに!」

『裕翔よ、何時いつの間に、そのかたな巫女みこ達が守ってなかったか? 巫女達がそのかたなをよく貸してくれたな?』

「あ~! 何か文句を言って来る巫女みこがいたが、『強い妖刀が出て村の人々が困っているから、このかたなちからが必要なんだ』と何度も説明したが、かたくなに駄目だめだとの一点張りだったから、無視むしして借りて来た。」

『……』

「裕翔、それって神様の許可が必要だったんじゃないの?」

『許可は必要じゃな! たしか……鷲宮神社の主祭神しゅさいじんは、天穂日命あめのほひのみこと武夷鳥命たけひなとりのみこと大己貴命おおなむぢのみこと3柱みはしらだったかな……その神の許可が必要だな』

「そうだったのか……その巫女みこは俺が刀を持って行ったあと、床に崩れ落ちて泣いてたけどな……」

巫女みこかわいそう~」

「いや、そんなつもりじゃ……終わったら返すし……」

仕方しかたないの~、その巫女みこ、今頃、3柱みはしらの神に、すっごく怒られているじゃろうから、わしの使いで裕翔が刀を借りに行った事にしてやるのじゃ! 後で連絡しておくから、心配はいらぬぞ!』

「有り難う、しずか!」

『わしは疲れた、神通力もまた半分以上使ったしな、回復するまで、少し休ませて貰うのじゃ! 団子はしばしお預けにするのじゃ!……』しずかは、そう言うとマリンの中から出て来なかった。

……

「私達は村に帰りましょう!」

 ミーシャが慌てたようにマリンの腕に乗って来た。

「どうしたの? ミーシャ?」

……突然、地震が起こった。

「大丈夫かマリン!」

「凄いわ! 揺れてる! こんなの初めてよ!」

「怖くないのか?」

「えー! 大丈夫よ! 私の住んでいた所では、地震が無かったから初体験なのよ! すご~い! 大地が揺れてるわ、 でもちょっと揺れすぎね、怖くなってきたわ……」

「ちょとまった! 何かへんだぞ?」

 さっき倒した妖刀ようとうの近くからまた、妖気ようきが感じられた。

うそでしょ! この地震は妖刀のせいなの?」

「どうする? 戦えるか?」

「しずか、しずか……」

「どうだ?」

「寝ちゃってるのかな?」……しずかに助けを求めるも、返事がない……

「俺たちだけで戦うしかないな……御札おふだはまだ持ってるか?」

「大丈夫よ! いっぱいあるわ! 強力な魔法を使わなければ、しずかがいなくても何とかなると思うわ……たぶん……」少し自信がなさそうに話す……

……

 地震の揺れが落ち着くと同時に、地中から大量の妖気が出現、次第しだい鎧武者よろいむしゃの形に顕現けんげんした。その数3千の妖気が地中から現れ鎧武者になった……

「これは!? 妖怪? 妖力ようりょくはさっきの妖刀ようとう程ではないが、れなりに強い……それに、数が多すぎるだろ~~~!」

……

 文句もんくを言ってても仕方ない、裕翔は鷲宮神社わしのみやじんじゃから借りた刀を使い、奥義を放つ!『奥義、烈風れっぷう!』 ……

 数体すうたいの鎧武者は攻撃をくらい吹き飛ばされる……

「凄い威力いりょくだ! 流石さすが神の刀だ、奥義の威力が桁違けたちがいに上がってる!」

……しかし先頭で裕翔の攻撃を受けた鎧武者1体は消し飛んだが……他の、吹き飛ばされた鎧武者はまた起き上がって来た……

駄目だめか……マリンの力をもらわないと!」

「わかたわ!」

……そのとき、しずかが話し掛けて来た……

『すまぬ、少し寝ておった……それにしてもなんじゃこの妖気の数は、あまりの不快ふかいさに飛び起きたぞ!』

「あれから直ぐに、大量の鎧武者が現れたのよ……でも、しずかが起きてくれて良かったわ!」

『こんな不快ふかいな中、寝てもいられないのじゃ! そうじゃマリン! 陰陽道おんみょうどう九字くじとなえるのじゃ! そうすれば、少ない神通力でも強い力が使えるのじゃ!』

「わかったわ! でも、しずか大丈夫? また神通力を貰っちゃうけど……」

『大丈夫じゃ! 少し休ませて貰ったからな、少しじゃが神通力が復活したのじゃ!」

「それじゃ戦うわよ! マリンは御札おふだを左手で持ち、右手で九字を空中に切る。

りんぴょうとうしゃかいじんれつざいぜん

「もう! 式神に使う神通力がもったいないわ!」力を与えた御札をミーシャにくわえさせて、ミーシャごと空中に投げる。

「頼んだわよ、ミーシャ!」

『ニャー!』

 ミーシャは空中へ投げられ楽しそうだ!

『ニャー!』

 ミーシャは丁度良い高さで、御札を放す!

「ミーシャ、 上手じょうず!」

 裕翔は奥義を、御札を狙うように、上空に放つ!
「奥義! 『波紋はもん!』」……神道無念流の8番目の奥義、一度に10個程の衝撃波しょうげきはを波紋の様に打ち出せ、遠距離攻撃えんきょりこうげきも可能だ。

 上空に向けて奥義が放たれ、御札に当たって10個ほどの衝撃波に分裂ぶんれつ、鎧武者の頭上に降り注いだ。

 鎧武者は浄化され消えて行く……

「よし! 効果こうかあり、マリン次頼つぎたのむ!」

 10体の鎧武者が一度に浄化され、危険を察知さっちしたのか、複数の鎧武者がマリンに襲いかかる……

「『キャー』、 気持ち悪いわ! こっちに来ないでー!」マリンは両腕をぐるぐる回して、鎧武者を追い払おうとしていて、御札に力が込められない……

「俺がマリンを守るから、そのすきに次の御札を頼む!」

 裕翔は、奥義『無双むそう』で応戦する……神道無念流の4番目の奥義、力の剣、おもさを自由に操り鎧武者をぎ払う……

「『キャー!』 こっちに来るな~! 裕翔、しっかりし守ってよね💢」

「ごめん、やってはいるが……鎧武者が相手ではマリンの力が無い奥義は効かないな……」裕翔は苦戦しながらも、マリンを守っている!

「 出来たわ! ミーシャ、 裕翔、次お願い!」

『ニャー!』

「奥義! 『波紋!』」

……数時間の攻防が続いた。

「マリン、次だ! 頼む」

「はい!」マリンは御札に力を込める。

「ミーシャ! お願い!」

「マリン、最後だ! 頼む」

「ミーシャ! 最後よ! お願い!」

『ニャー!』

「奥義! 『波紋!』」

 最後の鎧武者が浄化され消えて行った。

「やったわ! 終わった~!」

 しずかはかなりやつれてぐったりしていて、もう式神に憑依ひょういして、外の世界を楽しむ余裕よゆうは無くなっていた……

 マリンも力が抜けたように座り込んでしまった。

「ミーシャも有り難う!」そう言うと、ミーシャを『ぎゅ』と抱き締める……

「大丈夫かマリン、村に帰ろう!」

「大丈夫じゃないわ! もう足に力が入らない! 裕翔! おんぶして!」……裕翔はマリンをおんぶして帰る事になった。

……

「裕翔! お願いがあるの!」

「どうした?」

「このあたりは、古河公方こがくぼうのお膝元おひざもとでしょう! 足利家あしかがけのお宝があるはずなのよ!」

「そうなのか?」

「だからね! 古河こがのお城へ行ってみたいな! ね~、良いでしょ! お願い!」

「はは~ん! そう言う事か、急に蒸気船を下りるって言うから、おかしいと思ったんだよ! 最初からそれが目的だったんだな!」

「だって仕方ないじゃない、『古河こが』って聞いて、思い出したのよ!」

 マリンは手帳に、調べた日本の情報を沢山たくさん書き込んでいるらしい、それによると、『古河城こがじょう足利幕府あしかがばくふ(室町幕府)の偉い人の弟の城で、北関東にあるおっきな水城みずじろ……その後も、徳川幕府とくがわばくふ譜代大名ふだいだいみょうが何代にもわたって城主を勤めた凄いお城でお宝の可能性あり』と書いてあるのを見ながら、説明してくれた……

「分かったよ、仕方ないな~、結果的に、この村の人達を救う事になったんだからな! 古河城こがじょうに明日行って見よう」……マリンは戦いの疲れからか、裕翔の背中で眠ってしまう。

……

 村に帰ると、村人全員が、出迎えてくれていた。

「おねーちゃん有り難う!」

「 稲穂ちゃんも、みんな元気になったのね! よかったわ!」

 その後、村長さんからもお礼を言われ、その夜は盛大せいだい歓迎かんげいを受けた。

「裕~翔~! これ美味しい~!」

「マリン、食べ過ぎだぞ!」

「だって~美味しいんだもん!」

……
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