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≪蒸気船編≫
13.鴻巣御所
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「マリンおねーちゃん! おねーちゃん! 朝だよ! 起きて!」……小鳥の囀りが聞こえる何時もと変わらない平和な朝……マリンは少女の声で目覚める……
「……稲穂ちゃん…… もう少し、後、10分だけ……う~、まだねむいよ~!」
「今日は、古河のお城へ行くんじゃなかったんですか?」
「あ! いけない! そうだったわ! 裕翔! 起きて!」
「裕翔お兄ちゃんは出掛けてるよ!」
「何処に行ったのかしら?」……ミーシャを抱っこしながら、眠そうに目を擦っている。
……
「おねーちゃん、朝ご飯の準備ができたよ~!」マリンは稲穂ちゃんに呼ばれ、身支度を整えて、ミーシャを抱っこしながら、茶の間へ……朝食を頂く。
「稲穂ちゃん、ご飯とても美味しいわ!」
「琴おばあちゃんが、ご飯を炊いてくれたの、おばあちゃんは炊き方上手だから!」
おばあさんの名前は『琴』さんと言うらしい、今まで妖刀やら鎧武者らの討伐で忙しかったから名前は特に聞いていなかったのだけど、とても可愛いらしい名前のおばあさん……水面君と稲穂ちゃんの両親が数年前に行方不明になってからは、おばあさん1人で、幼い2人の孫を育てて来たらしいの……
とてもしっかり者のおばあさんだと思うわ……
「ありがとう~! 琴おばーちゃん!」
「あとね、お魚はお兄ちゃんが釣ったのを、私が焼いたの!」
「ん! これも美味しい! ありがとうね、こんなにたくさん頂いちゃって!」
「いいえ、マリンさんは命の恩人ですから、このくらいは当たり前です!」
「そんな~、命の恩人だなんて、照れるわ~! 稲穂ちゃんは可愛くて良い子だから、私がスリスリしてあげる」
「スリスリ?……」
……裕翔が戻って来た。
「おーねーちゃん、くすぐった~い、やめて~」
「マリン、稲穂ちゃん、何してしてるんだ?……」
「そんなことよりも裕翔、私を1人にして何処に行ってたのよ?」
「あ~ごめん、ちょと刀を返しに鷲宮神社まで行って来た……」
「そうなの? 私も鷲宮神社行きたかったのに……」
……マリンは少し残念そうにしている。
「こんど連れて行ってね!」
「わかったよ、この次に行くときな!……それじゃ、そろそろ出掛けようか!」
「そうね! 水面君と稲穂ちゃん、それに、琴おばーちゃんにはとてもお世話になったので、私から3人へプレゼントをしたいと思います!」そう言うと、ポケットから取り出した御守りを渡した。
「この御守りの中には式神が入ってるの、私の魔法を込めたものよ! 危険が迫って来たら助けてくれるわ、必ず身に付けておいてね!」
「ありがとう! マリンおねーちゃん! 大好き!」
マリン達は、村人に見送られながら、村を後にした。……別れ際に裕翔は、稲穂ちゃんが作ったお弁当を受けとっていた。
「美味しそうだ。有り難う!」
……古河城へ
古河の町を抜け、しばらく歩いた場所に、渡良瀬川を防御に使用した水城が姿を表す……はずだった。
「え~! お城が無いじゃない!」
「仕方ないよ、政府の廃城令で、お城は壊されてもう無いからな!」
「でも凄く大きなお城だったのね、これなら沢山お宝もあったはずよ~!」……マリンは少し悔しがっている。
「政府の方針だからな……それじゃ、ここは景色も良いし作ってもらった、お弁当でも食べようかな……」
「どうしたの、2つもお弁当があるじゃない?」
「こっちは稲穂ちゃんからもらったお弁当で、こっちのは巫女さんが作ってくれたお弁当だ」
「どうして? 巫女さんと仲良くなったの?」
「刀を返しに行く途中で会ったんだが、蜂と戦って酷い目にあってたから、助けただけなんだけどな、帰るときにはお弁当を作ってくれたんだよ! 仲良くなれたと思うよ!」
「ふ~ん! そうなの~……美味しそうね……」
「食べるか? 美味しいぞ!」
「いらな~い、今度、私もお弁当作ってあげようかな~? 裕翔、私のお弁当食べたい? 作って欲しい?」
「いいよ、旅先だし、大変だろ~!」
「大丈夫、作るわよ」
「大変そうだし、茶店で一緒に食事すればいいじゃん?」
「そうだけど……」
「巫女の作ったお弁当、美味しいぞ、食べないのか?」
「そんなの、いらない……」
「稲穂ちゃんのは?」
「食べる……」
……マリンはご機嫌ななめだ……なぜだ?
「どうしたんだ? 怒ってる?……せっかく古河城まで来たんだし、城がなくても、調べてみないと分からないんじゃないのか?」
……裕翔はお城が無くて、お宝の可能性が無くなった事に怒ってるのかと思い、マリンの能力で探知してみる事を勧めてみる。
「そうね!」マリンは白銀色の綺麗な光を放つ魔法陣を転回させて、探知魔法を思いっ切り発動させる……「私この色好きなのよね、ダイヤモンドダストみたいでキラキラして綺麗だから……」
「すごい派手な魔法陣だな……それでどうだ? 何かわかった?」
「うわ~っ! なんか良くない妖気を感じる……」
「ここでも戦があったのか?」
……不快な妖気を感じ、この場所には手を出さない方が賢明だと判断して諦め、退散する事にした。……お宝も無さそうだしね……
「で、どうするんだ?」
「そうね、お城の他にも、最後のお姫様が住んでいた館があるはずなのよ、そこへ行って見ましょう。そっちの方に、お宝が眠っている可能性があるわ!」
……
また古河の町を通り、アイスクリンを食べながら歩く……「古河の町でアイスクリンが買えるとは、良かったなマリン!」
「うん! 美味しい! 元気が出るわ!」
……しばらく歩くと、桃の花が綺麗に沢山咲く場所に着いたが……
「この辺りのはず? でも、お寺しかないわね? 」
「本当にここなのか?」
お寺の門前で、ウロウロしていると、ちょと格好良いお坊さんが通りかかる……
「あの~、お訪ねしても宜しいでしょうか? お坊様」
「はい、何でしょか? これは珍しい、異国の方ですね」
「はい、私は魔法使いで忍者のマリンと言います。アメリカから来ました」……マリン緊張してるのか? なんで自己紹介してる? それに『魔法使いで忍者』って、お坊様も困ってるぞ……
「……それはそれは、遠い所からようこそおいでくださいました。何かお探しなのですか?」
「この辺りに古河公方館があったはずなのですが?」
「それでしたら、ここで間違いありません、この奥に行くとあります。こちらから入って頂いて構いませんので、本堂の横を通り抜けて行くと、近道ですよ!」
「やった! 有り難うございますお坊様!」
「しかし、建物などはもうありませんよ」
「え~、そうなんですか? 残念だわ!」
「けど、マリン、せっかく来たんだから行ってみない?」
「そうね! お坊様有り難うございました」
マリンは丁寧にお辞儀をして、イケメンのお坊様に御礼を言い、お寺の門をくぐって境内へ……
「ねー裕翔! ここのお寺のお坊さん、イケメンばっかりじゃない!」
「本当だ!……」
「でも裕翔もそこそこ格好良いわよ!」
「俺はそこそこかよ……」
……お寺の本堂の横を通り抜けて行くと、その先には、回りを沼に囲まれた半島状の場所があった。この沼は古河城のお堀と繋がっていて、舟を使ってお城と館を行き来していたらしい……
「ここね! ちょっと調べてみるわね!」マリンは白銀色の魔法陣を転回させて、探知魔法を発動させお宝を探す……
「どうだ? 何かわかったか?」
「そうね~……無いわね~」
その時、突然辺りが派手に光輝き、1人の幼女が現れる……
「これって? しずかの時と一緒?」マリンは、御札を投げ付けてみた!
『きゃ!』その幼女は、投げられた御札を避けようと、慌てふためいて、派手に転んだ。
「やっぱり! 同じ反応だわ!」
「マリン、大丈夫なのか? 神様だよな?」
「大丈夫よ!」
「もー! なにするんですか、いきなり御札を投げ付けるなんて、危ないでしょう💢」気まずそうに、裾を払いながら起き上がる。
「あなた達、ここで何をしているのですか? この場所は鴻巣御所があった場所ですよ! 勝手なことは許しませんよ!」
「やった! 裕翔、ここで間違いなさそうよ! もう一度、お宝があるか調べてみるわね!」マリンは、魔方陣を転回させる……
『こら~! 無視するな~!』幼女の神様は顔を真っ赤にして地団駄を踏んでいる。
そこへしずかが洋風のドレスを身にまとい現れた!……マリンの体の中は、なにやらマリンが着たがっている服のイメージが沢山あり、しずかはそのイメージを具現化させて楽しんでいるようだ……
「しずか! またそんな格好で!」
『洋服は良いな~! ドレスは華やかでとても美しいのじゃ!』……なにやらしずかは、洋服のコーディネートを楽しんでいるようだ……
『あ! お姉さま~!』幼女は現れたしずかに飛びつく様に抱きついた!
『うー?!』
「会いたかったです!」
『と言うことは……ここは古河? お前達、何がどうなって、ここにいるのじゃ?」
……これこれ然々……
「そうじゃたのか? お宝探しか~、面白そうじゃ! わしも混ぜてほしいのじゃ!」
『この人達は、お姉さまのお知り合いでしたか! しかし、もうこの館には、お宝と呼べる物は何もありませんよ……お城も、ボロボロに壊されてしまい何もありません……』
「そうよね! お城無かったもの……」
『度重なる戦で無くなっちゃいました! だけど、最後の秀吉との戦いの時に、軍資金を栗橋城へ持って行ったからそこに残っていれば、可能性はありますが……』
「うーちゃん、有り難う!」マリンはうーちゃんに抱き付こうとしたが、あっさりと交わされてしまった。
「うーちゃん、抱っこさせて!」
『やだです! お姉さま、助けて!』
『これマリン! 止めるのじゃ! うーが嫌がっておるぞ!』
「だって、可愛いんだもの! ちょとだけ! だめ?」……しばらくマリンとうーちゃんの追っかけっこと言う攻防戦が行われた……
『しつこ~い! お姉さま、この人は何なのですか? 助けて~!』
『あ! うーにも来て欲しい場所があるぞ、一緒に来ぬか?』
『お姉さまとなら行きます! でも、何方へ?』そう言うと、しずかはうーの手を引いてマリンの中へ逃げるように入って行った。
「逃げられちゃたわ……だけど良い所って、私の中なの?」
「2人も神様がマリンの中に入って行ったが、大丈夫なのか?」……マリンは暫くお腹を擦りながら考えていていたが……
「うん~? 特に何ともないわ!」とあっけらかんに応える……
「それならば良いが……それで、これからどうする?」
「勿論、栗橋の城へ行くわよ!」
……
日光街道を栗橋の城へ向かって歩きはじめる……
……
「裕翔! 遅いわよ! 早く!」
「そんなに急ぐと疲れるぞ!」
「私なら平気、大丈夫よ! 急ぎましょう!」マリンは、先頭をどんどん歩いて行く……
20分経過
「ね~! 裕翔! 疲れた~」
……マリンは、少し遅れはじめる。
30分経過
「ね~! 裕翔! もう歩けない~!」
……全然ついて来れていない。
40分経過
「ね~ね~! 裕翔! おんぶして! 神様が2人も私の中に居るせいかしら? もう歩けないわ」
……歩みが止まる。
「もう少しで目的地なんだけどな、かなり頑張って歩いたから、仕方がないか」……マリンをおんぶする。
……
古河から栗橋へ行くには、利根川を渡る必要があり、2人は渡し舟に乗っていた……
「川の真ん中は流れが早くてちょと揺れるわね、少し怖いわ……」
「もう少しで、岸に着くから頑張れ!」……裕翔はマリンが舟から落ちないように、手を繋ぎ支える……川の流れの早い場合を通過すると、恐さも少し揺るやぎ、景色を楽しむことも出来た。「そろそろ岸につくぞ!」裕翔はマリンの手を引いて舟を下りる。
「有り難う!」
「足元に気を付けて!」
「ちょとだけ茶店で休まない?」
「そうだな! 少し休もうか」
「五家宝だって? 美味しいかな?」
「お茶と、団子、それと、五家宝も下さい!」
……五家宝、もち米を蒸して水飴や砂糖で棒状に固めて、きな粉を表面にまぶしたお菓子、ちょうど良い甘さで疲れがとれる。マリンは、美味しいお菓子に癒される……
「美味しい!」
…………夕方
「マリン、そんなに落ち込むなよ!」
「だって、栗橋城、無かったのよ! それに、城跡の半分は、徳川家康に削られて、お宝が失くなってたのよ!」
「いや、それは、利根川東遷事業の河川工事のためで、お宝を掘り返したわけではないかと……?」
……利根川東遷事業とは、徳川家康が江戸を洪水から守るために、利根川の流れを東へ変えた大工事のことである……
「絶対に許さないんだからね! きっと、削り取られた場所にあったのよ!」
「そ~かな~?」
「裕翔! こうなったら、日光に行って、家康のお宝をゲットするわよ!」
「おー! 理由はともかく、日光に行く気が出たのは有難い……」
「早く行きましょう!」
「わかった! 栗橋から蒸気船だな!」
「裕翔! 遅いわよ! 早く!」
「今回は、気合い入ってるな!」
……
マリンが裕翔におんぶされて栗橋に着いたのは夜になっていた。「I'm back マロンブリッジ!」……しかし、今日は蒸気船の運航はもう終了していたため、栗橋で一泊する事になった。
……一夜明けて……
『コケコー』
「うん~!」マリンは布団から起き上がり、大きく背伸びをした。
「裕翔! 起きて! あれ? もう起きてるのかな?」
『ニャー!』
「ミーシャおはよう! 裕翔は何処にいるか知ってる?」……ミーシャは利根川の方を見た。
「ミーシャ! 私の言葉が分かってるわよね!」
『ニャー!』
「ん~」マリンは少し考え込んだ。
「そうだわ!」
……
裕翔は宿の近くにあった関所跡で剣術の鍛練をしていた。
「裕翔~! 探したのよ!」
「マリン! この場所が良く分かったな?」
「ミーシャが教えてくれたのよ!」
『僕にまかせて! マリンの為だからね!』
「え! え、えーーー! しゃべった?!」
「どう! 驚いたでしょ?」
「どうしたんだ!」
裕翔はミーシャを持ち上げて色々調べた!
『やめて~! 裕翔! 恥ずかしいよ!』
「あ! ごめんな!」
「ミーシャに陰陽道の御札で作った、首輪を付けたの! 首輪はね、体に浸透していって、ミーシャの喉の代わりをしているのよ!」
「仕組みは良く分からないが、凄いぞこれは! 猫の世界はどんな感じなんだ? 何か話を聞かせてくれ」
『わかっよ裕翔、それよりも、お腹へったよ!』
「わかった! わかった! 宿に戻ろう、マリン帰るよ!」
「は~い! ご飯食べて、早く日光へ行きましょう!」
……
「……稲穂ちゃん…… もう少し、後、10分だけ……う~、まだねむいよ~!」
「今日は、古河のお城へ行くんじゃなかったんですか?」
「あ! いけない! そうだったわ! 裕翔! 起きて!」
「裕翔お兄ちゃんは出掛けてるよ!」
「何処に行ったのかしら?」……ミーシャを抱っこしながら、眠そうに目を擦っている。
……
「おねーちゃん、朝ご飯の準備ができたよ~!」マリンは稲穂ちゃんに呼ばれ、身支度を整えて、ミーシャを抱っこしながら、茶の間へ……朝食を頂く。
「稲穂ちゃん、ご飯とても美味しいわ!」
「琴おばあちゃんが、ご飯を炊いてくれたの、おばあちゃんは炊き方上手だから!」
おばあさんの名前は『琴』さんと言うらしい、今まで妖刀やら鎧武者らの討伐で忙しかったから名前は特に聞いていなかったのだけど、とても可愛いらしい名前のおばあさん……水面君と稲穂ちゃんの両親が数年前に行方不明になってからは、おばあさん1人で、幼い2人の孫を育てて来たらしいの……
とてもしっかり者のおばあさんだと思うわ……
「ありがとう~! 琴おばーちゃん!」
「あとね、お魚はお兄ちゃんが釣ったのを、私が焼いたの!」
「ん! これも美味しい! ありがとうね、こんなにたくさん頂いちゃって!」
「いいえ、マリンさんは命の恩人ですから、このくらいは当たり前です!」
「そんな~、命の恩人だなんて、照れるわ~! 稲穂ちゃんは可愛くて良い子だから、私がスリスリしてあげる」
「スリスリ?……」
……裕翔が戻って来た。
「おーねーちゃん、くすぐった~い、やめて~」
「マリン、稲穂ちゃん、何してしてるんだ?……」
「そんなことよりも裕翔、私を1人にして何処に行ってたのよ?」
「あ~ごめん、ちょと刀を返しに鷲宮神社まで行って来た……」
「そうなの? 私も鷲宮神社行きたかったのに……」
……マリンは少し残念そうにしている。
「こんど連れて行ってね!」
「わかったよ、この次に行くときな!……それじゃ、そろそろ出掛けようか!」
「そうね! 水面君と稲穂ちゃん、それに、琴おばーちゃんにはとてもお世話になったので、私から3人へプレゼントをしたいと思います!」そう言うと、ポケットから取り出した御守りを渡した。
「この御守りの中には式神が入ってるの、私の魔法を込めたものよ! 危険が迫って来たら助けてくれるわ、必ず身に付けておいてね!」
「ありがとう! マリンおねーちゃん! 大好き!」
マリン達は、村人に見送られながら、村を後にした。……別れ際に裕翔は、稲穂ちゃんが作ったお弁当を受けとっていた。
「美味しそうだ。有り難う!」
……古河城へ
古河の町を抜け、しばらく歩いた場所に、渡良瀬川を防御に使用した水城が姿を表す……はずだった。
「え~! お城が無いじゃない!」
「仕方ないよ、政府の廃城令で、お城は壊されてもう無いからな!」
「でも凄く大きなお城だったのね、これなら沢山お宝もあったはずよ~!」……マリンは少し悔しがっている。
「政府の方針だからな……それじゃ、ここは景色も良いし作ってもらった、お弁当でも食べようかな……」
「どうしたの、2つもお弁当があるじゃない?」
「こっちは稲穂ちゃんからもらったお弁当で、こっちのは巫女さんが作ってくれたお弁当だ」
「どうして? 巫女さんと仲良くなったの?」
「刀を返しに行く途中で会ったんだが、蜂と戦って酷い目にあってたから、助けただけなんだけどな、帰るときにはお弁当を作ってくれたんだよ! 仲良くなれたと思うよ!」
「ふ~ん! そうなの~……美味しそうね……」
「食べるか? 美味しいぞ!」
「いらな~い、今度、私もお弁当作ってあげようかな~? 裕翔、私のお弁当食べたい? 作って欲しい?」
「いいよ、旅先だし、大変だろ~!」
「大丈夫、作るわよ」
「大変そうだし、茶店で一緒に食事すればいいじゃん?」
「そうだけど……」
「巫女の作ったお弁当、美味しいぞ、食べないのか?」
「そんなの、いらない……」
「稲穂ちゃんのは?」
「食べる……」
……マリンはご機嫌ななめだ……なぜだ?
「どうしたんだ? 怒ってる?……せっかく古河城まで来たんだし、城がなくても、調べてみないと分からないんじゃないのか?」
……裕翔はお城が無くて、お宝の可能性が無くなった事に怒ってるのかと思い、マリンの能力で探知してみる事を勧めてみる。
「そうね!」マリンは白銀色の綺麗な光を放つ魔法陣を転回させて、探知魔法を思いっ切り発動させる……「私この色好きなのよね、ダイヤモンドダストみたいでキラキラして綺麗だから……」
「すごい派手な魔法陣だな……それでどうだ? 何かわかった?」
「うわ~っ! なんか良くない妖気を感じる……」
「ここでも戦があったのか?」
……不快な妖気を感じ、この場所には手を出さない方が賢明だと判断して諦め、退散する事にした。……お宝も無さそうだしね……
「で、どうするんだ?」
「そうね、お城の他にも、最後のお姫様が住んでいた館があるはずなのよ、そこへ行って見ましょう。そっちの方に、お宝が眠っている可能性があるわ!」
……
また古河の町を通り、アイスクリンを食べながら歩く……「古河の町でアイスクリンが買えるとは、良かったなマリン!」
「うん! 美味しい! 元気が出るわ!」
……しばらく歩くと、桃の花が綺麗に沢山咲く場所に着いたが……
「この辺りのはず? でも、お寺しかないわね? 」
「本当にここなのか?」
お寺の門前で、ウロウロしていると、ちょと格好良いお坊さんが通りかかる……
「あの~、お訪ねしても宜しいでしょうか? お坊様」
「はい、何でしょか? これは珍しい、異国の方ですね」
「はい、私は魔法使いで忍者のマリンと言います。アメリカから来ました」……マリン緊張してるのか? なんで自己紹介してる? それに『魔法使いで忍者』って、お坊様も困ってるぞ……
「……それはそれは、遠い所からようこそおいでくださいました。何かお探しなのですか?」
「この辺りに古河公方館があったはずなのですが?」
「それでしたら、ここで間違いありません、この奥に行くとあります。こちらから入って頂いて構いませんので、本堂の横を通り抜けて行くと、近道ですよ!」
「やった! 有り難うございますお坊様!」
「しかし、建物などはもうありませんよ」
「え~、そうなんですか? 残念だわ!」
「けど、マリン、せっかく来たんだから行ってみない?」
「そうね! お坊様有り難うございました」
マリンは丁寧にお辞儀をして、イケメンのお坊様に御礼を言い、お寺の門をくぐって境内へ……
「ねー裕翔! ここのお寺のお坊さん、イケメンばっかりじゃない!」
「本当だ!……」
「でも裕翔もそこそこ格好良いわよ!」
「俺はそこそこかよ……」
……お寺の本堂の横を通り抜けて行くと、その先には、回りを沼に囲まれた半島状の場所があった。この沼は古河城のお堀と繋がっていて、舟を使ってお城と館を行き来していたらしい……
「ここね! ちょっと調べてみるわね!」マリンは白銀色の魔法陣を転回させて、探知魔法を発動させお宝を探す……
「どうだ? 何かわかったか?」
「そうね~……無いわね~」
その時、突然辺りが派手に光輝き、1人の幼女が現れる……
「これって? しずかの時と一緒?」マリンは、御札を投げ付けてみた!
『きゃ!』その幼女は、投げられた御札を避けようと、慌てふためいて、派手に転んだ。
「やっぱり! 同じ反応だわ!」
「マリン、大丈夫なのか? 神様だよな?」
「大丈夫よ!」
「もー! なにするんですか、いきなり御札を投げ付けるなんて、危ないでしょう💢」気まずそうに、裾を払いながら起き上がる。
「あなた達、ここで何をしているのですか? この場所は鴻巣御所があった場所ですよ! 勝手なことは許しませんよ!」
「やった! 裕翔、ここで間違いなさそうよ! もう一度、お宝があるか調べてみるわね!」マリンは、魔方陣を転回させる……
『こら~! 無視するな~!』幼女の神様は顔を真っ赤にして地団駄を踏んでいる。
そこへしずかが洋風のドレスを身にまとい現れた!……マリンの体の中は、なにやらマリンが着たがっている服のイメージが沢山あり、しずかはそのイメージを具現化させて楽しんでいるようだ……
「しずか! またそんな格好で!」
『洋服は良いな~! ドレスは華やかでとても美しいのじゃ!』……なにやらしずかは、洋服のコーディネートを楽しんでいるようだ……
『あ! お姉さま~!』幼女は現れたしずかに飛びつく様に抱きついた!
『うー?!』
「会いたかったです!」
『と言うことは……ここは古河? お前達、何がどうなって、ここにいるのじゃ?」
……これこれ然々……
「そうじゃたのか? お宝探しか~、面白そうじゃ! わしも混ぜてほしいのじゃ!」
『この人達は、お姉さまのお知り合いでしたか! しかし、もうこの館には、お宝と呼べる物は何もありませんよ……お城も、ボロボロに壊されてしまい何もありません……』
「そうよね! お城無かったもの……」
『度重なる戦で無くなっちゃいました! だけど、最後の秀吉との戦いの時に、軍資金を栗橋城へ持って行ったからそこに残っていれば、可能性はありますが……』
「うーちゃん、有り難う!」マリンはうーちゃんに抱き付こうとしたが、あっさりと交わされてしまった。
「うーちゃん、抱っこさせて!」
『やだです! お姉さま、助けて!』
『これマリン! 止めるのじゃ! うーが嫌がっておるぞ!』
「だって、可愛いんだもの! ちょとだけ! だめ?」……しばらくマリンとうーちゃんの追っかけっこと言う攻防戦が行われた……
『しつこ~い! お姉さま、この人は何なのですか? 助けて~!』
『あ! うーにも来て欲しい場所があるぞ、一緒に来ぬか?』
『お姉さまとなら行きます! でも、何方へ?』そう言うと、しずかはうーの手を引いてマリンの中へ逃げるように入って行った。
「逃げられちゃたわ……だけど良い所って、私の中なの?」
「2人も神様がマリンの中に入って行ったが、大丈夫なのか?」……マリンは暫くお腹を擦りながら考えていていたが……
「うん~? 特に何ともないわ!」とあっけらかんに応える……
「それならば良いが……それで、これからどうする?」
「勿論、栗橋の城へ行くわよ!」
……
日光街道を栗橋の城へ向かって歩きはじめる……
……
「裕翔! 遅いわよ! 早く!」
「そんなに急ぐと疲れるぞ!」
「私なら平気、大丈夫よ! 急ぎましょう!」マリンは、先頭をどんどん歩いて行く……
20分経過
「ね~! 裕翔! 疲れた~」
……マリンは、少し遅れはじめる。
30分経過
「ね~! 裕翔! もう歩けない~!」
……全然ついて来れていない。
40分経過
「ね~ね~! 裕翔! おんぶして! 神様が2人も私の中に居るせいかしら? もう歩けないわ」
……歩みが止まる。
「もう少しで目的地なんだけどな、かなり頑張って歩いたから、仕方がないか」……マリンをおんぶする。
……
古河から栗橋へ行くには、利根川を渡る必要があり、2人は渡し舟に乗っていた……
「川の真ん中は流れが早くてちょと揺れるわね、少し怖いわ……」
「もう少しで、岸に着くから頑張れ!」……裕翔はマリンが舟から落ちないように、手を繋ぎ支える……川の流れの早い場合を通過すると、恐さも少し揺るやぎ、景色を楽しむことも出来た。「そろそろ岸につくぞ!」裕翔はマリンの手を引いて舟を下りる。
「有り難う!」
「足元に気を付けて!」
「ちょとだけ茶店で休まない?」
「そうだな! 少し休もうか」
「五家宝だって? 美味しいかな?」
「お茶と、団子、それと、五家宝も下さい!」
……五家宝、もち米を蒸して水飴や砂糖で棒状に固めて、きな粉を表面にまぶしたお菓子、ちょうど良い甘さで疲れがとれる。マリンは、美味しいお菓子に癒される……
「美味しい!」
…………夕方
「マリン、そんなに落ち込むなよ!」
「だって、栗橋城、無かったのよ! それに、城跡の半分は、徳川家康に削られて、お宝が失くなってたのよ!」
「いや、それは、利根川東遷事業の河川工事のためで、お宝を掘り返したわけではないかと……?」
……利根川東遷事業とは、徳川家康が江戸を洪水から守るために、利根川の流れを東へ変えた大工事のことである……
「絶対に許さないんだからね! きっと、削り取られた場所にあったのよ!」
「そ~かな~?」
「裕翔! こうなったら、日光に行って、家康のお宝をゲットするわよ!」
「おー! 理由はともかく、日光に行く気が出たのは有難い……」
「早く行きましょう!」
「わかった! 栗橋から蒸気船だな!」
「裕翔! 遅いわよ! 早く!」
「今回は、気合い入ってるな!」
……
マリンが裕翔におんぶされて栗橋に着いたのは夜になっていた。「I'm back マロンブリッジ!」……しかし、今日は蒸気船の運航はもう終了していたため、栗橋で一泊する事になった。
……一夜明けて……
『コケコー』
「うん~!」マリンは布団から起き上がり、大きく背伸びをした。
「裕翔! 起きて! あれ? もう起きてるのかな?」
『ニャー!』
「ミーシャおはよう! 裕翔は何処にいるか知ってる?」……ミーシャは利根川の方を見た。
「ミーシャ! 私の言葉が分かってるわよね!」
『ニャー!』
「ん~」マリンは少し考え込んだ。
「そうだわ!」
……
裕翔は宿の近くにあった関所跡で剣術の鍛練をしていた。
「裕翔~! 探したのよ!」
「マリン! この場所が良く分かったな?」
「ミーシャが教えてくれたのよ!」
『僕にまかせて! マリンの為だからね!』
「え! え、えーーー! しゃべった?!」
「どう! 驚いたでしょ?」
「どうしたんだ!」
裕翔はミーシャを持ち上げて色々調べた!
『やめて~! 裕翔! 恥ずかしいよ!』
「あ! ごめんな!」
「ミーシャに陰陽道の御札で作った、首輪を付けたの! 首輪はね、体に浸透していって、ミーシャの喉の代わりをしているのよ!」
「仕組みは良く分からないが、凄いぞこれは! 猫の世界はどんな感じなんだ? 何か話を聞かせてくれ」
『わかっよ裕翔、それよりも、お腹へったよ!』
「わかった! わかった! 宿に戻ろう、マリン帰るよ!」
「は~い! ご飯食べて、早く日光へ行きましょう!」
……
0
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順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
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