ちょとだけ不思議で、ちょとだけ夢のある、ちょとだけ昔の冒険物語

いぬっ

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≪巫女編≫

12.蜂退治のお仕事

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 久し振りに妖怪退治ようかいたいじお仕事です。今回は、妹たちも実戦に参加してもらう事にしました……

 午後9時00分……
 巫女みこ9人は、本殿ほんでんに集まり、3柱みはしらの神のご加護かごもらう……

「今日の仕事ですが、はち妖怪退治ようかいたいじ案件あんけんです」
「場所は行田ぎょうだになります」
「かなえ、情報をお願い……」

「わかったなのだぞ! 今回の対象は巨大蜂きょだいばちで、『ガルーダ』って言うんだぞ! 種類はオオスズメバチなんだぞ……特に毒針どくばりには注意する必要があるんだぞ、毒が体に入ったら、アナフィラキシーショックをおこしちゃうんだぞ! とっても危険なんだぞ! それから、頭と体は鋼鉄の様に硬いから、お腹の弱点を攻撃するのが有効なんだぞ! また、集団で攻撃して来るから、皆んな、気お付けて戦ってほしいんだぞ! 以上なんだぞ!」

「ありがとう! かなえ!」

「今回は、後輩こうはい達にも実戦に参加してもらいます。小枝には桜、かなえはあおい、りんはかりん、そしてルナはゆずと組んでもらいます。それぞれ連携して戦って下さい! そして、わたしは全体の指揮を担当します。後輩の皆さんは、先輩せんぱいの指示をちゃんと聞くように! それでは、出発します!」

……30分後、行田の村に着く

「うあ~、おおきい蜂の巣……」
「すご~い!」
「大っきいね!」
「こわ~い!」
「うい!」

 目の前には巨大蜂ガルーダの巣があって、皆んな唖然あぜんとして見上げていた……

「この中に何匹の蜂が居るんだろ~?」

「数千……いや、このサイズなら数万はいるかも……」

「キャー!」
 ルナは蜂のかずを聞いて悲鳴ひめいを上げた……

「キャー!」
「キャー!」
「キャー!」
「キャー!」
 ルナの悲鳴におどろいて、桜たち4人も一斉いっせいに悲鳴を上げる……

「ち、ち、ちょっとルナ先輩……やめてください」
「だって~怖いんだもん……」
「私達、初めての実戦なんで、緊張して足が震えてるんですから、これ以上怖がらせないでくださいよ~!」

「ごめんね~!」

……

「だけど、どうやって退治しようか?」

「それなら良い方法があるんだぞ!」

「それは?」
 全員で、かなえに注目する……

……

「こんなもんで良いか?」

「この巣のサイズだと、杉の葉っぱがもっと沢山たくさん欲しいぞ!」

 近くの雑木林ぞうきばやしから、よく燃えそうな木材もくざいえだ、それに燃やすと良く煙がでるすぎの葉を集める……

「こんなもんかな?……」

 蜂の巣の真下には、よく燃えそうな枯れ木や枝、それに杉の葉っぱが小高い丘の様に積み上げられる……

の位で良いでしょう! 燃やしましょう!」

「……」

「誰か、火もってないか?」
「持ってないよ」
「私もないよ」

 桜、葵、かりん、ゆずも持ってないと首を横に振る……

「……」

「……わたしもないぞ」
「かなえ! 言い出しっぺのお前が何で持ってないのよ……」

「ごめんなんだぞ!」

「あ! は~い! は~い! オムレットの炎て火を着ける~」

「ルナ、大丈夫なのか? 強力すぎて一瞬で全部はいにならないかな~?」

「大丈夫よ! 私にまかせて~!」
 ルナはオムレットを呼ぶ、『オムレット~どこにいるの~~~? 出て来て~~~!』

 オムレットはルナの胸元むなもとから姿を現す……「オムレット! こんな所にいたの~、ちょっとお願いがあるのよ、良いかな?」

 オムレットはルナの言葉に、『分かった』という感じで手の上へ移動した…… 

「ありがとう! 炎、借りるね!」

 尻尾しっぽを真っ直ぐにして……お腹を押す……

『ボワッ!』

オムレットのはいた炎か積み上げた杉の葉に燃え移り、白煙はくえんが立ち昇る……

「凄いけむり……」

 あたり一面、煙だらけに……
「ゴホゴホ、ゴホゴホ……」
「うわ~、目にみる~!」

 その時、大量の巨大蜂ガルーダが煙に追い出されるように巣から出て来て、私達に襲い掛かって来た……

「きゃ~」
「やばいぞこれは~!」
「みんな~! 逃げて~!」

 数千匹すうせんびき、いや数万匹すうまんびきの蜂が勢い良く巣から出て来て襲ってくる迫力に、彼女達はビビリまくった……それも予想よりもかなり巨大な蜂が襲って来たのだからたまらない……

「かなえ~! 煙、全然ぜんぜん効いてないよ~!」
「おかしいんだぞ? 煙を大量に巣の中に充満じゅうまんさせれば、蜂が気絶きぜつするはずなんだぞ???」
「かなえ~~~! 巨大蜂ガルーダは妖怪だから効かないんじゃない?」
「ごめんなんだぞ! そうかもなんだぞ!」

 全員、蜘蛛くもの子を散らす様に、逃げ回る……
「きゃ~」「いや~!」
「こっち来るな~~~」

 思いっ切り刺されまくって服はボロボロに……
「きゃ~、だめ~~~」

 しかし、3柱の神のご加護を貰っているため、体にはダメージはなく、服だけがボロボロに成っていく……
「いやあ~ん!」

 彼女達の悲鳴が辺りに木霊こだまする……

「くそ! このままじゃ裸にされちまう」
 りんは銃を両手に持ち撃ちまくる……

「みんな、りんに続け~」
 さつきと小枝とかなえは、爆弾で反撃……桜、葵は手裏剣や、くない、投げられそうな物を使い反撃を開始、かりんとゆずは分身しながら刀で斬りまくる。ルナは『百花繚乱ひゃかりょうらん』で攻撃するが……

 流石さすが多勢たぜい無勢ぶぜい……数万の巨大蜂ガルーダに襲われ続けみんな服をボロボロにされて、その場にしゃがみ込んでしまう……

……

「何だ? この煙は?」

 偶然ぐうぜんなのか? 必然ひつぜんなのか? 裕翔は思いっ切り道を間違え、行田へ来ていた……「山火事か? それに半端はんぱじゃない数の妖気も感じる」……裕翔は妖気を強く感じる方向へと走る……

……

 巨大蜂ガルーダの攻撃はまだ容赦ようしゃなく続いている……

「いや~~~、やめて~!」

 もうほとんどはだか状態にされ、その場にうづくまって動けない……

その時、いちばんちっちゃなルナ、桜、葵、かりん、ゆず達を巨大蜂ガルーダが持ち上げはじめる……「いや~~~!」

 ルナは魔法の力を手裏剣に込めて技をはなち抵抗ていこうするが全てはじかれてしまう……

「やばいぞ! 巣の中に運ぶつもりか? ルナ~~~!」

 りんは銃を構え、連れ去ろうとしている巨大蜂ガルーダ照準しょうじゅんを合わせて撃つ! 弾は蜂の目に当たるも、弾かれる……

「くそ~、だめか~硬すぎる……」

 まわりをみると、さつきにかなえ、小枝の3人を巨大蜂ガルーダがそれぞれ2匹がかりで持ち上げようとしているのが見えた……もう駄目かと思ったそのとき……

「奥義、『烈風れっぷう!』」

 ルナを持ち上げ巣の中へ連れ去ろうと、飛んでいた巨大蜂ガルーダが消えた……

「え!」一瞬の出来事で何が起こったのか分からなかったりん……放心状態ほうしんじょうたいで空を見上げていると、ルナが落下して来るのが見え、助けなきゃと頭で思うも、体が動かない……りんは悲鳴ひめいを上げていた……

「うあ~~~~~!」

 その瞬間、ルナを空中で受け止める何もかの陰が目に映った……その何者かは、私を襲っていた巨大蜂ガルーダ一刀両断いっとうりょうだんすると、私にルナを預けて、他の仲間達を助けに身をひるがえし走り出した……次々と切られる巨大蜂ガルーダ……あっと言う間に、仲間達は全員無事に助けられた。

 しかし、巨大蜂ガルーダは切っても切っても次々と巣の中から出て来て襲いかかってくる。彼は私達を守りながら戦ってくれているが……

「お前達! 走れるか? 逃げるぞ!」

「はい!」私達は、タイミングを合わせて林の方へ走り出す……

……

「何とか逃げられたな……」

「あ! かたな泥棒!」
「あ! 巫女!」お互いに顔をみて驚く!

ひどいな、刀泥棒じゃないし……ちゃんと返しに来たんだから……それよりも、服ないのか? 目のやり場に困るんだが……」

「きゃ~! ばか、見るな~!」
 裕翔の左頰ひだりほほは赤く腫れていた……

「エッチ!」「人で無し!」「しね!」「……ばか」「うぃ!」

「ちょとまて! そこまで言うか?」
「私達の裸みて、欲情よくじょうするなば~か! 後ろ向け!」

「あ! ごめん……」裕翔は素直に後ろを向く……
「てっ言うか、欲情するかってんだよ」
 
……うしろから、彼女達の殺気さっきを感じた裕翔、少し焦る……

「もういいよ、こっち見ても」……予備よびの服に着替えている。

「服あったのか……」
「忍者は何があるか分からないから、予備の服ぐらい持って来てるのよ!」

「そうなのか……」

「……それで~……ちょっとお願いがあるんだけど……聞いてくれるかな~?」

「さつき、ちょっとまて! こいつ、信用して良いのか?」

「りんの気持ちもわかるわ、無断で御神刀ごしんとうを持ち出した人みたいだしね……だけど、まだ巨大蜂ガルーダの退治が終わってないでしょ! だから、協力してもらえないかな? っておもったのよ! 私達じゃ無理そうだしね……それに、ちょとイケメンだし!」

「……たしかに……ちょ……ちょとさつき! なに言ってるの?」

……

「だけど、あの数はな……マリンが居ればな……」

「誰? マリン?」

「マリンは魔法が使えるんだよ、その力があれば俺の技も強力になるんだが……」

「え! 魔法! ルナも使えるわよ!」
「本当か?」
「ん! 使えるよ!」

「その力を俺に流し込むことは出来る?」
「出来るかも……手裏剣しゅりけんに魔法を与える感じかな?」

「今、ちょっとやってみて!」
「うん、分かった!」
 裕翔の手を握って魔法の力を流す……

「どうかな?」
「凄い! マリンと同じ力を感じるぞ……これならば」

「大丈夫なの?」
「問題ないぞ! 早速さっそく行こう!」

……巨大蜂ガルーダの巣の前に戻る

「1匹も外にいないわ! 巣の中に戻ったみたいね!」

「それは好都合こうつごうだ! それじゃ始めるか!」

 裕翔はルナの力をもらい、奥義を放った!

「奥義『烈風れっぷう!』」

 その時、オムレットも姿を現し、炎を裕翔の技に巻き付ける。放たれた技は、風に炎を巻き込み巨大蜂ガルーダの巣を粉々に切り裂きながらき尽くした……

「かっこいい……」
「素敵!」「あっ!」「すげ~」
「うわ~目が回る~~~」
 ルナは大量の力を持っていかれて、目を回して、座り込んでしまった……

「ルナちゃん大丈夫か? ありがとう、俺の技とかなり相性が良かった見たいだ! 炎まで出たし!」

「この子の力よ! オムレットって言うのよ!」

「初めて見るが……龍なのか?……ありがとう、力を貸してくれて!」

 オムレットは得意気とくいげな顔をしなから、姿を消した……

……

「これで、巨大蜂ガルーダの退治完了ね! 助けてくれて、ありがとう! だから、御神刀を無許可むきょかで持ち出した事は許そうと思います!」

『本当か? それは有り難い!』

「実は、貴方あなたの神から御神刀の事で連絡があってね、正式に貸し出すことになったのよ! それに、私達も特に怒られなかったし……」

「そうだったのか……迷惑を掛けてしまったな……申し訳ない、ごめん……」

「私達も助けてもらったしね……仲直りね!」

……『しずか、ちゃんと連絡してくれたんだな……良かった! 巫女さん達とも仲良くなれたよ、ありがとう』……裕翔は心のなかで御礼を言った。

「これから宜しくな!……ところで、鷲宮神社わしのみやじんじゃはどっちだ?」

「え~! ここは行田ぎょうだよ! 全然ぜんぜん違う方向よ!」

「そうだったのか……行田か……どこだ?」

「それじゃ、一緒に帰ろ」

……

 裕翔は、疲れて目を回して座り込んで動けないルナを背中に、巫女達と一緒に鷲宮神社へ向かっていた……

 途中で裕翔は、ルナの体調が気になり、マリンから貰っていた、回復魔法の力が込められた御札おふだを1枚持っていたので、ルナに貼った……

「ありがとう、心地よい力が流れん込んで来るわ!」

 ルナのオデコには、御札が貼り付けてあった……

……

「ルナ先輩、いいなー! 私もおんぶ!」
「ずるいぞ、私も疲れたよ~~~!」
「ね~~~! ずるいぞ~~~!」
「うぃ!」
「こらこら、ルナの足を引っ張るな~!」

……

 数時間後、無事に鷲宮神社神社へ到着する。

……

「御神刀を持ち出したお詫びに、美味しいお菓子を買ってきたんだ、みんなで食べてくれ……」

「ありがとう!」
「見直したぞ!」
「そう言えば、まだ名前を聞いてなかったわね……教えてもらえますか?……」

「俺は裕翔、小早川裕翔こばやかわゆうとだ!」

「私は、さつき」

「小枝」「かなえ」「りん」「桜」「葵」「かりん」「ゆず」

「そしてこの子はルナ」
「宜しくね!」

「ルナちゃん、寝ちゃったね!」
「怖い目に合わせちゃったしね……疲れたのよ!」

「ゆっくり休ませてやってくれ……それじゃ俺は、此方こちらの神さまへご挨拶あいさつをしてから帰るよ!」

「もう帰っちゃうの?」

「ちょっと急ぎで! 日光にっこうまで行く大事な用事があるんだ」

「そうなの……ルナ起きたらがっかりするかも……」
「また来てくれよな……」
「待ってるよ! 格好いいお兄さん!」
「うぃ!」
「そうだな! また、御神刀を借りなきゃならない場合があるかも知れないから、その時には神様経由で正式な連絡を入れてから来るよ!」

「そうね! 連絡はお願いします」
「そうだ、少し時間ある? お腹すいてるよね、妖怪退治も手伝ってもらっちゃたし、御礼にお弁当作ってあげる……ちょっとまってて!」

……

 別れ際、手作りのお弁当をもらい「必ずお弁当の入れ物は返しに来てね」と念を押され別れた……

……

「もうこんな時間か、早く帰らないとな……今日は、古河城こがじょうへ行く約束だったからな……」

……
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