14 / 14
知らなくていいこと
しおりを挟む
あくまでも想像に過ぎないのも事実だが、14才と15才のふたりの江藤結衣は同じタイミングで別世界にいたのだ。
別世界で僕が会ったのは14才の結衣で、15才の結衣は別の場所にいた。だから日記やノートを書いたのは14才の結衣で間違いはないのであろう。
このふたりが現実世界に戻ることになっあタイミングが運の悪いことに同じだったのかも知れない。
おそらく別世界にいる間の時間も、現実世界での時間はそのままであることから、現実世界に戻るときに2人の身体は以前のままで中身(精神)は、別々に戻ってしまったのだろう。
14才の結衣の身体には15才の結衣の中身が、15才の結衣の身体には14才の結衣の中身が戻ったと考えると、現実世界に戻った以降のふたりのおかしな現象は全て納得がいく。
この目の前にいる15才の結衣の中身は、別世界で会っていたであろう14才の結衣なのだ。
現実世界に戻って別世界の記憶が定かではないが、僕が15才の結衣に会いに行った時にノートを持っていたのは、別世界で14才の結衣のあとに15才の結衣が入ったことで手にしたものではなく、もともと14才の結衣が別世界から持ち帰ったときに、15才の結衣の身体に入ってしまったから手元にあったのだろう。
現実世界に戻ってから、そのノートを読んだことで記憶の混乱が起きていたのではないかと想像する。
「どう思う。」
「そうだと思う。けど。私はどうしたらいいの。」
うつむいた表情を見せたと思ったと同時に取り乱したように、
「誰よ。こんなことしたの。私と彼女の人生を返してよ。見つけたら殺してやりたい。」
その言葉を聞いた瞬間僕はハッとした。
目の前の少女が消えてしまうのではないかと思った。
誰かの死を願ったときに別世界に飛ばされてしまうからた。彼女自身もそのことに気づいたようだったが何も起こっていないようだった。
対象が特定できず漠然としすぎていたためかも知れないが、いずれにしても何も起こらなくて良かった。
しかし彼女の心情は察する。どう声をかけていいかもわからない。
それにこれが何も起こらなかったのか、起こっていたが現実世界が続いているから確認ができない。
ひとつ言えることは、目の前の彼女は少なくとも生きている。別世界がどんなものかを知る必要はないように思える。
人それぞれに多くの人が関わって生きている。簡単に人の死を願ってはいけないことだけは理解できた。
「行こうか。」
彼女の手をとって歩き始めた。
「もう調べるのやめよう。」
「なにを。」
「なんでもないさ。」
別世界で僕が会ったのは14才の結衣で、15才の結衣は別の場所にいた。だから日記やノートを書いたのは14才の結衣で間違いはないのであろう。
このふたりが現実世界に戻ることになっあタイミングが運の悪いことに同じだったのかも知れない。
おそらく別世界にいる間の時間も、現実世界での時間はそのままであることから、現実世界に戻るときに2人の身体は以前のままで中身(精神)は、別々に戻ってしまったのだろう。
14才の結衣の身体には15才の結衣の中身が、15才の結衣の身体には14才の結衣の中身が戻ったと考えると、現実世界に戻った以降のふたりのおかしな現象は全て納得がいく。
この目の前にいる15才の結衣の中身は、別世界で会っていたであろう14才の結衣なのだ。
現実世界に戻って別世界の記憶が定かではないが、僕が15才の結衣に会いに行った時にノートを持っていたのは、別世界で14才の結衣のあとに15才の結衣が入ったことで手にしたものではなく、もともと14才の結衣が別世界から持ち帰ったときに、15才の結衣の身体に入ってしまったから手元にあったのだろう。
現実世界に戻ってから、そのノートを読んだことで記憶の混乱が起きていたのではないかと想像する。
「どう思う。」
「そうだと思う。けど。私はどうしたらいいの。」
うつむいた表情を見せたと思ったと同時に取り乱したように、
「誰よ。こんなことしたの。私と彼女の人生を返してよ。見つけたら殺してやりたい。」
その言葉を聞いた瞬間僕はハッとした。
目の前の少女が消えてしまうのではないかと思った。
誰かの死を願ったときに別世界に飛ばされてしまうからた。彼女自身もそのことに気づいたようだったが何も起こっていないようだった。
対象が特定できず漠然としすぎていたためかも知れないが、いずれにしても何も起こらなくて良かった。
しかし彼女の心情は察する。どう声をかけていいかもわからない。
それにこれが何も起こらなかったのか、起こっていたが現実世界が続いているから確認ができない。
ひとつ言えることは、目の前の彼女は少なくとも生きている。別世界がどんなものかを知る必要はないように思える。
人それぞれに多くの人が関わって生きている。簡単に人の死を願ってはいけないことだけは理解できた。
「行こうか。」
彼女の手をとって歩き始めた。
「もう調べるのやめよう。」
「なにを。」
「なんでもないさ。」
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
作品登録しときますね♪