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祭りだ!大騒ぎだ
アトラクションエリア
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すでに屋台エリアから出ている。
アローさんが親分をボコボコにするからだ。
周りの人間に畏怖の目を向けられ、居心地が悪くなったため逃げ出してきた。
「いや。一番怖がられたのはあなただと思うんだけど」
「はっはっはっ。そんなまさか。僕が倒したのは一人だけだよ」
「あんな大男を一撃で瀕死にしたからでしょ」
「正当防衛だよ」
アローさんは僕に罪を押し付けようとしているけど、絶対アローさんのせいだと思う。
現在地はコロシアム前。大会参加者や観戦者たちで屋台エリアより賑わっていた。
「個人戦やってるけど、見に行かないの?」
僕が問いかけると、パッション君が目に見えて落ち込んでいた。
さっきまで元気だったのに。何があったんだろう。
「リコにいいところ見せようと思って、個人戦の予選にエントリーしたんだけど、惨敗したのよ」
「馬鹿だなぁ」
「ええ。馬鹿よ。まだ始めたばかりなのに、勝てるわけがないじゃない」
個人戦は古参プレイヤーの独壇場だ。最近始めた人が出たら、ただのカモ。
機体が壊されるだけだから、普通なら出ない。
リコリスさんたちはパッション君の苦い記憶が蘇るので、個人戦は見に行けないそうだ。
「スワロはどうするの?」
「僕はアトラクションエリアに行こうかな」
「一人であそこに行くのはハードルが高くない?」
アトラクションエリアは一人で行くと、完全にアレな人になる。しかし、行く価値はある。
イカサマ店潰しはクエストだったのだ。
このクエストの報酬はお祭り中にしか発生しないためなのかかなり良くて、称号とSPP5ポイントだった。
これだけなら少し良いぐらいだけど、称号の効果が良かった。
屋台エリアの解放者
悪質業者に支配されていた屋台エリアを解放した者。
効果:精神系状態異常耐性微小上昇
もし同系統の称号が他にも手に入るなら、積極的に狙っていきたい。
「屋台エリアにクエストがあるなら、他のエリアにもクエストがあると思うんだ。それを探しに行くよ」
「私たちも一緒に行っていい?」
「もちろん」
一人で行くより、五人で行く方が楽しいし。
アトラクションエリア。
ここはまさしく遊園地だ。ジェットコースターや観覧車。お化け屋敷などがある。
コネコも誘ったんだけど、「忙しい!」と一言言い放って、音声チャットを切られた。
探索のためにチーム分けをする。
パッション君はリコリスさんと一緒に行きたがると思っていたけど、何故か僕と一緒に行くことになった。
リコリス、アロー、ピギ組。
僕、パッション、メービ組
ピギが向こうなのはリコリスさんが手放さなかったから。
もう諦めたのか、ピギはおとなしく抱かれている。
最初に乗ったのはコーヒーカップ。
これにしたのは一番近くて並ばずに乗れたからだ。
「ねえ。なんでパッション君はリコリスさんと一緒に行かなかったの?」
「それは……」
パッション君は答えたくないのか、言葉を詰まらせた。
その答えをくれたのはメービ君だった。
「それはですね。こうすればよくわかりますよ!」
メービ君はコーヒーカップのハンドルを高速で回し始めた。
それに連動し、ゆっくりと回っていたコーヒーカップは高速で回転を始める。
パッション君の顔が恐怖に引きつり、悲鳴を上げ、最終的に失神した。
失神から目覚めたパッション君はベンチで休憩中。
「うちの姉は絶叫とかお化け屋敷が好きなんです。でも、パッションは苦手で」
「なるほど。じゃあそれ系は彼女たちに任せて、僕たちは他のを調べようか」
遊園地でメインなのは絶叫系アトラクション。
僕らが乗った乗り物系アトラクションは身長制限がない未就学児が乗るようなゆっくりとしたものばかりだったけど、パッション君は実に楽しそうだった。
メービ君はショー系のアトラクションを楽しんでいた。
適当に探索したが、クエストが発生する気配はない。
とりあえず、リコリスさんたちと合流しよう。
合流地点はアトラクションエリア中央のお城。
お城の前に行くと、すでに彼女たちは待っていた。
「なにか成果はあった?」
「こっちはゼロ。そっちも同じみたいだね」
調べた箇所を確認すると、二組ともまだ行っていないのは、このお城と観覧車だけだ。
お城はいかにもクエストが発生しそう、最後に全員で行くことにして、観覧車に乗った。
僕とリコリスさんとピギ。アローさんとメービ君だ。
パッション君は観覧車も駄目らしい。
観覧車に乗ったけど、なにを話せばいいんだろう。彼女と二人きりになったことがないので話題に困る。
「そういえば、ペットってまだいないの?」
「ふっふっふっ。じゃじゃん!ワンダーエッグ―!」
「へぇー。これがそうなのか。それって滅茶苦茶高かったじゃないの?」
「うん。可愛いペットのために頑張ったんだ~」
ワンダーエッグの値段はたしか機獣一体より高かったはず。
しかも何が生まれるか分からない。
もっと安くて生まれるのが何か分かっている卵もあるはずなのに、ワンダーエッグ買うとは凄い熱意だ。
「ピギちゃんみたいに可愛い子が生まれればいいのに」
ワンダーエッグをピギに近づけると餌と勘違いしたのか、ピギが食べてしまった。
「こら!吐き出せ!」
ようやく吐き出したワンダーエッグは唾液まみれだ。
なんか変な紋様が浮かんでいる。この紋様、どこかで見たことがある気がする。
「ごめん。こんなことになっちゃって」
「大丈夫だよ。ピギちゃん。ダメじゃない。こんなことして」
リコリスさんの手に戻ったワンダーエッグが細かく振動している。
どうやら孵化するみたいだ
誕生したのは今は懐かしき初期ピギだった。
「こんな子初めて見た。ひょっとして新種?」
「違うよ。これはピギと同じ種類だと思う」
保存していた初期ピギの画像を見せる。
「もしかしてピギちゃん私のために?」
「ぴぎ!」
「ピギちゃん!ありがとう!大好き」
「ぴぎゅううううう」
強く抱きしめられて、ピギが苦しげな声を上げていた。
ピギにこんな能力があったとは。
アローさんが親分をボコボコにするからだ。
周りの人間に畏怖の目を向けられ、居心地が悪くなったため逃げ出してきた。
「いや。一番怖がられたのはあなただと思うんだけど」
「はっはっはっ。そんなまさか。僕が倒したのは一人だけだよ」
「あんな大男を一撃で瀕死にしたからでしょ」
「正当防衛だよ」
アローさんは僕に罪を押し付けようとしているけど、絶対アローさんのせいだと思う。
現在地はコロシアム前。大会参加者や観戦者たちで屋台エリアより賑わっていた。
「個人戦やってるけど、見に行かないの?」
僕が問いかけると、パッション君が目に見えて落ち込んでいた。
さっきまで元気だったのに。何があったんだろう。
「リコにいいところ見せようと思って、個人戦の予選にエントリーしたんだけど、惨敗したのよ」
「馬鹿だなぁ」
「ええ。馬鹿よ。まだ始めたばかりなのに、勝てるわけがないじゃない」
個人戦は古参プレイヤーの独壇場だ。最近始めた人が出たら、ただのカモ。
機体が壊されるだけだから、普通なら出ない。
リコリスさんたちはパッション君の苦い記憶が蘇るので、個人戦は見に行けないそうだ。
「スワロはどうするの?」
「僕はアトラクションエリアに行こうかな」
「一人であそこに行くのはハードルが高くない?」
アトラクションエリアは一人で行くと、完全にアレな人になる。しかし、行く価値はある。
イカサマ店潰しはクエストだったのだ。
このクエストの報酬はお祭り中にしか発生しないためなのかかなり良くて、称号とSPP5ポイントだった。
これだけなら少し良いぐらいだけど、称号の効果が良かった。
屋台エリアの解放者
悪質業者に支配されていた屋台エリアを解放した者。
効果:精神系状態異常耐性微小上昇
もし同系統の称号が他にも手に入るなら、積極的に狙っていきたい。
「屋台エリアにクエストがあるなら、他のエリアにもクエストがあると思うんだ。それを探しに行くよ」
「私たちも一緒に行っていい?」
「もちろん」
一人で行くより、五人で行く方が楽しいし。
アトラクションエリア。
ここはまさしく遊園地だ。ジェットコースターや観覧車。お化け屋敷などがある。
コネコも誘ったんだけど、「忙しい!」と一言言い放って、音声チャットを切られた。
探索のためにチーム分けをする。
パッション君はリコリスさんと一緒に行きたがると思っていたけど、何故か僕と一緒に行くことになった。
リコリス、アロー、ピギ組。
僕、パッション、メービ組
ピギが向こうなのはリコリスさんが手放さなかったから。
もう諦めたのか、ピギはおとなしく抱かれている。
最初に乗ったのはコーヒーカップ。
これにしたのは一番近くて並ばずに乗れたからだ。
「ねえ。なんでパッション君はリコリスさんと一緒に行かなかったの?」
「それは……」
パッション君は答えたくないのか、言葉を詰まらせた。
その答えをくれたのはメービ君だった。
「それはですね。こうすればよくわかりますよ!」
メービ君はコーヒーカップのハンドルを高速で回し始めた。
それに連動し、ゆっくりと回っていたコーヒーカップは高速で回転を始める。
パッション君の顔が恐怖に引きつり、悲鳴を上げ、最終的に失神した。
失神から目覚めたパッション君はベンチで休憩中。
「うちの姉は絶叫とかお化け屋敷が好きなんです。でも、パッションは苦手で」
「なるほど。じゃあそれ系は彼女たちに任せて、僕たちは他のを調べようか」
遊園地でメインなのは絶叫系アトラクション。
僕らが乗った乗り物系アトラクションは身長制限がない未就学児が乗るようなゆっくりとしたものばかりだったけど、パッション君は実に楽しそうだった。
メービ君はショー系のアトラクションを楽しんでいた。
適当に探索したが、クエストが発生する気配はない。
とりあえず、リコリスさんたちと合流しよう。
合流地点はアトラクションエリア中央のお城。
お城の前に行くと、すでに彼女たちは待っていた。
「なにか成果はあった?」
「こっちはゼロ。そっちも同じみたいだね」
調べた箇所を確認すると、二組ともまだ行っていないのは、このお城と観覧車だけだ。
お城はいかにもクエストが発生しそう、最後に全員で行くことにして、観覧車に乗った。
僕とリコリスさんとピギ。アローさんとメービ君だ。
パッション君は観覧車も駄目らしい。
観覧車に乗ったけど、なにを話せばいいんだろう。彼女と二人きりになったことがないので話題に困る。
「そういえば、ペットってまだいないの?」
「ふっふっふっ。じゃじゃん!ワンダーエッグ―!」
「へぇー。これがそうなのか。それって滅茶苦茶高かったじゃないの?」
「うん。可愛いペットのために頑張ったんだ~」
ワンダーエッグの値段はたしか機獣一体より高かったはず。
しかも何が生まれるか分からない。
もっと安くて生まれるのが何か分かっている卵もあるはずなのに、ワンダーエッグ買うとは凄い熱意だ。
「ピギちゃんみたいに可愛い子が生まれればいいのに」
ワンダーエッグをピギに近づけると餌と勘違いしたのか、ピギが食べてしまった。
「こら!吐き出せ!」
ようやく吐き出したワンダーエッグは唾液まみれだ。
なんか変な紋様が浮かんでいる。この紋様、どこかで見たことがある気がする。
「ごめん。こんなことになっちゃって」
「大丈夫だよ。ピギちゃん。ダメじゃない。こんなことして」
リコリスさんの手に戻ったワンダーエッグが細かく振動している。
どうやら孵化するみたいだ
誕生したのは今は懐かしき初期ピギだった。
「こんな子初めて見た。ひょっとして新種?」
「違うよ。これはピギと同じ種類だと思う」
保存していた初期ピギの画像を見せる。
「もしかしてピギちゃん私のために?」
「ぴぎ!」
「ピギちゃん!ありがとう!大好き」
「ぴぎゅううううう」
強く抱きしめられて、ピギが苦しげな声を上げていた。
ピギにこんな能力があったとは。
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