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hirahara

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霧の魔

飛行種

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 蛇の排除は進んではいるが、数が減っているようには感じない。
でも、BSゴルゴンの戦闘開始時点の映像と今の映像を見比べてみると、蛇の密度が減っていた。
だが、まだ半分以上残っている。元の数が10万を軽く超えていたため、残存戦力はこちらより遙かに多かった。
 蛇は倒せているけど、本丸のBSゴルゴンには大したダメージを与えられていない。
時折、誰かが勇み足で攻撃を仕掛けてはいるものの、ダメージは通っているようには見えなかった。


 なお、勇み足をしたパイロットはBSゴルゴンに優先的に狙われるようになり、全員撃墜されている。
最初にそれをやって撃墜された人がいるのに、その後幾人かのパイロットが同じ過ちを繰り返していた。
状況が好転しない今の状況に焦るのは分かるが、冷静に行動してほしい。


『状況を確認したい。返事をしてくれ』
 
 第一陣の指揮官が全パイロットに向けて、通信を開いた。
生き残りの隊のリーダーが答えていく。
 それによると第一陣の残存はいよいよ半分を切ったらしい。
生き残っているのは僕らランサー小隊と施設の防衛に専念しているウィルフレッド・シールドガンナー、スパーク中隊。その他の残っているファルシュは50機程度。
少なくなってしまったが、残っているのは第一陣の中でも実力者揃い。まだ戦えるはずだ。


 BSゴルゴンは何度も蛇の放射をやってきた。でも、あれで撃墜されるファルシュはもういない。
もうBSゴルゴンヘッドに手は残っていないのかもしれない。
 そろそろ第二陣が到着する。予定より少し遅れているが、彼らの到着と共に本格的に反撃が開始されるはずだ。


『また足元の奴らが動き出したぞ!気を付けろ』

 ミディアムスケールは脅威だけど、スパークパイルがあれば、大丈夫だ。
しかし、新たに侵攻を開始したのはミディアムスケールではなかった。

『嘘だろ?!奴ら飛んだぞ!』

 ミディアムスケール以上の蛇は跳躍力が高く、空にいるファルシュにも攻撃ができる。
だけど、あいつらに飛行能力はなかった。
 それに対して、この蛇には羽が生えており、飛行していた。
大きさはミディアムスケールと同等。


 その速度は地上を移動する蛇とは桁違いに速い。
まだ飛び立ってから時間は経っていないのに、すでに交戦しているファルシュもいた。
とりあえず、奴らのことを飛行種と呼ぶことにした。


『ちくしょう!囲まれた!援護を……』

 通信装置から生き残りのパイロットの悲鳴が流れてくる。
 飛行種は強くはない。
一対一ならファルシュの方が強く、撃破はできていた。しかし、相手の方が圧倒的に数が多く、囲まれて撃墜されている。


 数の暴力でファルシュが撃墜される速度が加速していた。このままじゃ第一陣は全滅だ。

『誰か助けてください!振り切れませんわ!』
「僕が行きます」

 一機のファルシュから支援要請が届いた。
そのファルシュは飛行種の群れから必死に逃げているが、徐々に追い詰められている。
すぐに援護に向かわないと、撃墜される。
 

 ガーディフォースは飛行はできないが、ファルシュとの戦闘も想定しているため、ブースターの推力を上げれば、一時的に空中戦も可能だ。
限界ギリギリまで加速し、追われているファルシュと飛行種の間に出る。
 減速はせず、ファルシュを追い詰めていた飛行種を数匹纏めて叩き斬った。
速度が上乗せされた大剣の一撃は硬いはずの蛇の鱗に僅かな抵抗も許さない。


 機体の向きを反転させ、残りの蛇に向けてシザーアームズを射出。
シザーアームズは蛇の胴体に命中しなかったが、蛇の左羽をもぎ取った。羽の片方を失った蛇は錐もみ回転しながら地面に墜落していく。


 まだ飛行種は残っているが、ブースターがそろそろ限界だ、弱めよう。このまま飛び続けると壊れてしまう危険がある。
ブースターを推力を弱めたため、ガーディフォースは地面に落下していく。
そこを飛行種が攻撃を仕掛けてきた。隙だらけに見えたんだろう。


「もらった!」

 ガンユニットをバックパックから抜き、不用意に近づいてきた飛行種の胴体へ発砲した。
ガンユニットは分裂蛇にダメージを与えられるほど強力。大して硬くない飛行種の鱗なんて容易く貫通する。
弾は飛行種の肉体を貫通、それだけにとどまらず、その後方にいた飛行種の命も奪った。
 

 仲間がやられたことに動揺し、残りの飛行種が動きを止めた。
そこをファルシュのウィングブレードの斬撃が直撃、真っ二つになって地面に落下していった。
攻撃の主はさっきまで追われていたファルシュだ。
 飛行種はあと一匹。こいつは彼女に任せて、僕は次の攻撃に移る。ブースターで着陸位置を調整。
地面を移動しているラージスケールの上空まで移動すると、一気に急降下し、叩き潰した。
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