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風吹く星よ
酉
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他の星の状況だけど、まだ全てじゃないが十二邪将が出現している。
正確な情報が分かっているのはアローさんたちがいるイドだけ。
他の星の情報も一応、掲示板で調べてはいるが、掲示板の情報なので、正確なことは分からない。
アローさんのいるイドの十二邪将は怨覚の酉。
その能力は風断ちの巳に負けないほどの鬼畜さだった。
外見は巨大な鶏。
大きさはBSゴルゴンより小さいが、それでも100mは超えている。
出現したのは巳の討伐終了して、数日後。
十二邪将のことが判明していたから、イドの最大手クランが取り仕切り、討伐隊が組まれた。
その数は千を軽く超えていたらしい。BSゴルゴン討伐隊の倍以上だ。
しかし、アローさんたちはここには参加しなかったそうだ。
なぜなら、最大手クランは自クランに所属していないプレイヤーには高額な参加費を徴収していたからだ。
こんなことが許されるのはイドはそのクランの一強状態だったから。
それに酉が出現した国の国力が強くなかったため、好き勝手出来ていた。
アローさんたちは大会の賭けで大勝していたので、それぐらい払える財力はあったが、災害を金儲けに利用する精神に強く反発して、不参加を決めた。
にゃんこ同盟も参加していない。
彼女たちの場合は向こうから拒否されていた。
自分たちを差し置いて先に機獣の進化を果たした彼らに嫉妬していたようだ。
アローさんの話だと第一次討伐隊は成功を確信していたそうだ。
偵察はおろか碌な作戦も考えず、数でごり押しするつもりだったらしい。
BSゴルゴンが400機ぐらいで討伐に成功したから、倍以上の戦力があれば、何とかなると考えたんだろう。
凄い甘い考えだと思う。
僕らが成功したのは、プレイヤーとNPCが連携して事態解決に全力を尽くしたから。
全員の士気も高く、綿密な作戦を立てたからこその勝利だ。
ただの寄せ集めと一緒にしてもらったら困る。
アローさんも討伐は失敗すると睨んでいた。
パッション君も敗北の気配を感じていたらしい。
案の定、全滅。
討伐完了後、その模様は公式動画で公開された。
戦闘開始から終了まで10分も持たなかった。
酉がその能力を発動すると、討伐隊は一気に壊滅したのだ。
その能力はけたたましい鳴き声を上げることで、発動した。
鳴き声が戦場に響き渡ると、機獣のコントロールが利かなくなり、勝手に暴れだしたのだ。
影響を受けなかった機獣もいる。拘束具を付けていない機獣だ。
どうやら、あの鳴き声には拘束具を無効化する効果があるみたいだった。
第一次討伐隊のほとんどが拘束具着用のプレイヤーだったため、部隊は一瞬で崩壊。
拘束具から解放された機獣はパイロットを外に追い出し、怨みを晴らすかの如く嬲り殺しにしていた。
恐怖に歪むプレイヤーの顔をアップにするとか、運営は相変わらず趣味が悪い。
第一次の失敗後、第二次討伐隊が送られたがこれも失敗。
第二次討伐隊は第一次討伐隊の面々が拘束具なしでも動かせる機体を急遽集めただけの烏合の衆だったらしい。
そんなので相手できるほど、十二邪将は甘くない。
それどころか、酉と交戦する前に、解放された機獣の襲撃に遭って、部隊は大きな被害を受けていたそうだ。
第二次失敗後、クランは討伐を断念。
大手クランが討伐を諦めたことで、ようやくアローさんとにゃんこ同盟が討伐に動けた。
彼女たちが結成した第三次討伐隊によって、酉の討伐は成功したのである。
第三次にはアローさんたちやにゃんこ同盟の他にも、拘束具を使用せず、機獣との絆を優先したプレイヤーが集められた。
クランの失敗を見越して、早くから集めて回ったそうだ。
第三次討伐隊、その名も機獣愛連合。
愛機獣連合とかラブ機獣連合にするかで、そこそこ揉めたそうだ。
どうでもいいことかと思われるが、こういうのって結構重要らしい。
無機質な名よりも、ちゃんとした名前を付けた方が結束が深まり、士気も上がるからだ。
公式動画でも観たけど、激戦だった。
酉は解放した機獣を操る能力はなく、基本的に単体行動だが個の戦闘力はBSゴルゴン以上。
翼を羽ばたかせて発生させる突風によって、接近戦を仕掛けるのは困難。
遠距離攻撃も突風に遮られ、命中する前に勢いを失っていた。
近づけたとしても、爪による近接攻撃は強力で、機獣は掠っただけでも戦闘不能に追い込まれる。
機獣愛連合は一気に倒すことをせず、地道にダメージを与えていくことを選んだ。
ログイン時間をずらすことで、絶えず攻撃を仕掛け続け、酉に休む暇を与えなかった。
攻撃は一週間にも及んだ。
最後は機獣愛連合全員の総攻撃により、遂に酉を倒すことに成功したのである。
止めを刺したのはアローさんだ。
突風の影響がない地中から接近し、酉の体を登るとドリルで脳みそを破壊した。
なお、この攻撃によりアローさんは悪蛇の異名が与えられた。
アローさんは嫌だったみたいで、学校で僕のせいだと八つ当たりしてきた。
たしかに一割ぐらいは僕のせいかもしれない。
悪蛇は僕の異名の悪鬼に引きずられている。
僕とアローさんが知り合いなのはお祭りの時に目撃されていて、その繋がりが異名に影響を受けている可能性はたしかにあった。
でも、ユラさんとかリコリスさんとかは悪が付く異名はないから、責任の大半は彼女にあるはずだ。
人のせいにするのはやめてもらいたい。
正確な情報が分かっているのはアローさんたちがいるイドだけ。
他の星の情報も一応、掲示板で調べてはいるが、掲示板の情報なので、正確なことは分からない。
アローさんのいるイドの十二邪将は怨覚の酉。
その能力は風断ちの巳に負けないほどの鬼畜さだった。
外見は巨大な鶏。
大きさはBSゴルゴンより小さいが、それでも100mは超えている。
出現したのは巳の討伐終了して、数日後。
十二邪将のことが判明していたから、イドの最大手クランが取り仕切り、討伐隊が組まれた。
その数は千を軽く超えていたらしい。BSゴルゴン討伐隊の倍以上だ。
しかし、アローさんたちはここには参加しなかったそうだ。
なぜなら、最大手クランは自クランに所属していないプレイヤーには高額な参加費を徴収していたからだ。
こんなことが許されるのはイドはそのクランの一強状態だったから。
それに酉が出現した国の国力が強くなかったため、好き勝手出来ていた。
アローさんたちは大会の賭けで大勝していたので、それぐらい払える財力はあったが、災害を金儲けに利用する精神に強く反発して、不参加を決めた。
にゃんこ同盟も参加していない。
彼女たちの場合は向こうから拒否されていた。
自分たちを差し置いて先に機獣の進化を果たした彼らに嫉妬していたようだ。
アローさんの話だと第一次討伐隊は成功を確信していたそうだ。
偵察はおろか碌な作戦も考えず、数でごり押しするつもりだったらしい。
BSゴルゴンが400機ぐらいで討伐に成功したから、倍以上の戦力があれば、何とかなると考えたんだろう。
凄い甘い考えだと思う。
僕らが成功したのは、プレイヤーとNPCが連携して事態解決に全力を尽くしたから。
全員の士気も高く、綿密な作戦を立てたからこその勝利だ。
ただの寄せ集めと一緒にしてもらったら困る。
アローさんも討伐は失敗すると睨んでいた。
パッション君も敗北の気配を感じていたらしい。
案の定、全滅。
討伐完了後、その模様は公式動画で公開された。
戦闘開始から終了まで10分も持たなかった。
酉がその能力を発動すると、討伐隊は一気に壊滅したのだ。
その能力はけたたましい鳴き声を上げることで、発動した。
鳴き声が戦場に響き渡ると、機獣のコントロールが利かなくなり、勝手に暴れだしたのだ。
影響を受けなかった機獣もいる。拘束具を付けていない機獣だ。
どうやら、あの鳴き声には拘束具を無効化する効果があるみたいだった。
第一次討伐隊のほとんどが拘束具着用のプレイヤーだったため、部隊は一瞬で崩壊。
拘束具から解放された機獣はパイロットを外に追い出し、怨みを晴らすかの如く嬲り殺しにしていた。
恐怖に歪むプレイヤーの顔をアップにするとか、運営は相変わらず趣味が悪い。
第一次の失敗後、第二次討伐隊が送られたがこれも失敗。
第二次討伐隊は第一次討伐隊の面々が拘束具なしでも動かせる機体を急遽集めただけの烏合の衆だったらしい。
そんなので相手できるほど、十二邪将は甘くない。
それどころか、酉と交戦する前に、解放された機獣の襲撃に遭って、部隊は大きな被害を受けていたそうだ。
第二次失敗後、クランは討伐を断念。
大手クランが討伐を諦めたことで、ようやくアローさんとにゃんこ同盟が討伐に動けた。
彼女たちが結成した第三次討伐隊によって、酉の討伐は成功したのである。
第三次にはアローさんたちやにゃんこ同盟の他にも、拘束具を使用せず、機獣との絆を優先したプレイヤーが集められた。
クランの失敗を見越して、早くから集めて回ったそうだ。
第三次討伐隊、その名も機獣愛連合。
愛機獣連合とかラブ機獣連合にするかで、そこそこ揉めたそうだ。
どうでもいいことかと思われるが、こういうのって結構重要らしい。
無機質な名よりも、ちゃんとした名前を付けた方が結束が深まり、士気も上がるからだ。
公式動画でも観たけど、激戦だった。
酉は解放した機獣を操る能力はなく、基本的に単体行動だが個の戦闘力はBSゴルゴン以上。
翼を羽ばたかせて発生させる突風によって、接近戦を仕掛けるのは困難。
遠距離攻撃も突風に遮られ、命中する前に勢いを失っていた。
近づけたとしても、爪による近接攻撃は強力で、機獣は掠っただけでも戦闘不能に追い込まれる。
機獣愛連合は一気に倒すことをせず、地道にダメージを与えていくことを選んだ。
ログイン時間をずらすことで、絶えず攻撃を仕掛け続け、酉に休む暇を与えなかった。
攻撃は一週間にも及んだ。
最後は機獣愛連合全員の総攻撃により、遂に酉を倒すことに成功したのである。
止めを刺したのはアローさんだ。
突風の影響がない地中から接近し、酉の体を登るとドリルで脳みそを破壊した。
なお、この攻撃によりアローさんは悪蛇の異名が与えられた。
アローさんは嫌だったみたいで、学校で僕のせいだと八つ当たりしてきた。
たしかに一割ぐらいは僕のせいかもしれない。
悪蛇は僕の異名の悪鬼に引きずられている。
僕とアローさんが知り合いなのはお祭りの時に目撃されていて、その繋がりが異名に影響を受けている可能性はたしかにあった。
でも、ユラさんとかリコリスさんとかは悪が付く異名はないから、責任の大半は彼女にあるはずだ。
人のせいにするのはやめてもらいたい。
応援ありがとうございます!
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