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風吹く星よ
妖
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「増援です」
「数は!?」
「15体です」
今、相手している群れよりも多い。
イヴィルフライヤーに陽動作戦をする知恵はない。
ただの偶然だろう。
イヴィルフライヤーは大きな枠組みで、多くの種類がいる。
種類が違うから、別の群れのはずだ。
偶然でも最悪のタイミングだった。
『今は無理!もう少し待って!』
『こっちもだ!』
ユラさんもヴィニアちゃんもマイグラントから離れた位置にいる。
ガーディフォースで出るか?いや、それだと時間が掛かりすぎる。
「機関砲の制御を僕に!時間を稼ぐ!操舵はお願い」
「ラジャー」
集中砲火するのではなく、全体にばら撒き、足止めに専念する。
二人がいるのは別方向だから、フレンドリーファイアを気にする必要はない。
点の攻撃では回避されても、面の攻撃だったら命中させることができる。
弾が無くなる勢いで撃ち続けたが、遂に一体の接近を許してしまった。
イヴィルフライヤーは鋭い歯を船体に突き立てようとした時、その頭を刀が貫通した。
あの刀は紅霞の新装備、救援が間に合ったみたいだ。
『お待たせ』
「助かったよ。向こうは?」
『あと一体だから、ヴィニアちゃんに任せてきたの』
外部カメラで確認すると、ヴィニアちゃんは片方の羽がもげて、満身創痍のイヴィルフライヤーの相手をしていた。
あっちは大丈夫だろう。
別の個体がマイグラントに組み付いてきたが、穴を開けられる前に、ユラさんは頭を刎ねた。
あの刀ならイヴィルフライヤーの硬い鱗も骨ごと斬り落とすことができる。
妖機刀。
忍者刀をイメージして作成したロボット用の刀だ。
何度も手直しをして、ようやく完成した紅霞の新兵装だ。
刀は八咫烏限定じゃなくて、ヒートダガー運用時にも装備できる。
開発は少し苦労した。
刀について詳しいのはシノビックニンジャーだから、彼らに設計図を見せて意見を求めたら、刀とは何か、忍者刀とは何かを熱く説明されてしまった。
彼らに忍者関連の話題を振ると、熱く語られるから要注意だ。
ゲニンの時も散々味わった。
刀を収める鞘は百鬼夜行をイメージした物が彫刻されてある。
コネコこだわりの傑作だ。この鞘の制作に一カ月ぐらい掛けていた。
物凄い迫力で、彫刻から妖怪が飛び出してきそうだ。
ただの機刀じゃなくて、百鬼夜行の鞘と名前に【妖】が付いているのには、理由がある。
この刀、本当に妖刀なのだ。
妖刀になったのは材料に原因がある。
鞘や鍔は普通だけど、その刃には新種の生体金属が使われている。
その生体金属だけど、偶然生まれた代物だ。
遊んでいたら、誕生した。
小型の携帯式の練成器だと材料にできる物の大きさに制限が掛かるため、もっと大きい物を材料にできる大型の練成器を作った時のことだ。
誰が言い出したのかもう忘れたけど、あるゲームをしようという話になった。
闇練成ゲーム。
ルールは闇鍋みたいなもので、各々自由に物品を持ち込み、練成器にぶち込み、練成をするという今考えると妙なゲームだ。本当に何でやったんだろう?
僕はブルーアイアンアントの甲殻などの生体金属。
ユラさんはサンティライトとモンスターの各種ドロップ。
コネコは自身の作品を、ピギはピギニウム。
ヴィニアちゃんも参加して、風雲鉱を投入した。
レシピ無しで適当に作ると、普通はライフクリスタルが出来る。
これだけの高級品を大量に使えば、高品質のライフクリスタルが練成されるはずだった。
しかし、実際に練成されたのは、血のように赤い生体金属だった。
謎の生体金属はその色から【鮮血鋼】と名付けた。
鮮血鋼は通常の生体金属のように再生能力を持っていたが、少しずつ削って量産することはできなかった。
削った金属片は霧のように消えてなくなってしまうのだ。
同じレシピでもう一つ作ろうとしたけど、何故か作ることはできず、ただのライフクリスタルになった。
残念ながら、もう二度と同じ物は手に入らないかもしれない。
鮮血鋼の量は多くない。
装甲などにも使おうにも、全く足りなかった。
何に使おうか迷っていると、コネコが意見を出してきた。
彼曰く、鮮血鋼は刃物になりたいと語りかけてきたそうだ。
剣にするには量が足りず、短剣にするには余る。
色々悩んだけど、小太刀みたいな物を作ることにした。
結局、忍者刀になったのは紅霞に装備することにしたから。
ガーディフォースにはアシュラがあるし、ウェンディーもハルバードがある。
紅霞にはヒートダガーがあるけど、リーチが短いから、それを補うために装備させた。
妖機刀のリーチはヒートダガーよりも長いが、切れ味と強度は圧倒的に劣っていた。
最初は失敗だと思ったが、鮮血鋼にはとんでもない特性があった。
妖機刀でモンスターを斬れば斬るほど、切れ味と強度が増していくのだ。
最初は、普通のゴブリンを斬っただけで刃毀れしていたが、エンジ島でスライムなどの色んなモンスターを斬ってきたおかげで、そこそこの切れ味と強度を獲得している。
妖機刀の成長には法則がある。
同じモンスターを百匹斬っても、意味はない。
成長するのは大体5匹から10匹ぐらいまで。
それ以上、斬っても成長しない。
それと強いモンスターを斬った方が成長率が良いようだ。
他にも特性がありそうだけど、判明しているのはこれぐらいだった。
「数は!?」
「15体です」
今、相手している群れよりも多い。
イヴィルフライヤーに陽動作戦をする知恵はない。
ただの偶然だろう。
イヴィルフライヤーは大きな枠組みで、多くの種類がいる。
種類が違うから、別の群れのはずだ。
偶然でも最悪のタイミングだった。
『今は無理!もう少し待って!』
『こっちもだ!』
ユラさんもヴィニアちゃんもマイグラントから離れた位置にいる。
ガーディフォースで出るか?いや、それだと時間が掛かりすぎる。
「機関砲の制御を僕に!時間を稼ぐ!操舵はお願い」
「ラジャー」
集中砲火するのではなく、全体にばら撒き、足止めに専念する。
二人がいるのは別方向だから、フレンドリーファイアを気にする必要はない。
点の攻撃では回避されても、面の攻撃だったら命中させることができる。
弾が無くなる勢いで撃ち続けたが、遂に一体の接近を許してしまった。
イヴィルフライヤーは鋭い歯を船体に突き立てようとした時、その頭を刀が貫通した。
あの刀は紅霞の新装備、救援が間に合ったみたいだ。
『お待たせ』
「助かったよ。向こうは?」
『あと一体だから、ヴィニアちゃんに任せてきたの』
外部カメラで確認すると、ヴィニアちゃんは片方の羽がもげて、満身創痍のイヴィルフライヤーの相手をしていた。
あっちは大丈夫だろう。
別の個体がマイグラントに組み付いてきたが、穴を開けられる前に、ユラさんは頭を刎ねた。
あの刀ならイヴィルフライヤーの硬い鱗も骨ごと斬り落とすことができる。
妖機刀。
忍者刀をイメージして作成したロボット用の刀だ。
何度も手直しをして、ようやく完成した紅霞の新兵装だ。
刀は八咫烏限定じゃなくて、ヒートダガー運用時にも装備できる。
開発は少し苦労した。
刀について詳しいのはシノビックニンジャーだから、彼らに設計図を見せて意見を求めたら、刀とは何か、忍者刀とは何かを熱く説明されてしまった。
彼らに忍者関連の話題を振ると、熱く語られるから要注意だ。
ゲニンの時も散々味わった。
刀を収める鞘は百鬼夜行をイメージした物が彫刻されてある。
コネコこだわりの傑作だ。この鞘の制作に一カ月ぐらい掛けていた。
物凄い迫力で、彫刻から妖怪が飛び出してきそうだ。
ただの機刀じゃなくて、百鬼夜行の鞘と名前に【妖】が付いているのには、理由がある。
この刀、本当に妖刀なのだ。
妖刀になったのは材料に原因がある。
鞘や鍔は普通だけど、その刃には新種の生体金属が使われている。
その生体金属だけど、偶然生まれた代物だ。
遊んでいたら、誕生した。
小型の携帯式の練成器だと材料にできる物の大きさに制限が掛かるため、もっと大きい物を材料にできる大型の練成器を作った時のことだ。
誰が言い出したのかもう忘れたけど、あるゲームをしようという話になった。
闇練成ゲーム。
ルールは闇鍋みたいなもので、各々自由に物品を持ち込み、練成器にぶち込み、練成をするという今考えると妙なゲームだ。本当に何でやったんだろう?
僕はブルーアイアンアントの甲殻などの生体金属。
ユラさんはサンティライトとモンスターの各種ドロップ。
コネコは自身の作品を、ピギはピギニウム。
ヴィニアちゃんも参加して、風雲鉱を投入した。
レシピ無しで適当に作ると、普通はライフクリスタルが出来る。
これだけの高級品を大量に使えば、高品質のライフクリスタルが練成されるはずだった。
しかし、実際に練成されたのは、血のように赤い生体金属だった。
謎の生体金属はその色から【鮮血鋼】と名付けた。
鮮血鋼は通常の生体金属のように再生能力を持っていたが、少しずつ削って量産することはできなかった。
削った金属片は霧のように消えてなくなってしまうのだ。
同じレシピでもう一つ作ろうとしたけど、何故か作ることはできず、ただのライフクリスタルになった。
残念ながら、もう二度と同じ物は手に入らないかもしれない。
鮮血鋼の量は多くない。
装甲などにも使おうにも、全く足りなかった。
何に使おうか迷っていると、コネコが意見を出してきた。
彼曰く、鮮血鋼は刃物になりたいと語りかけてきたそうだ。
剣にするには量が足りず、短剣にするには余る。
色々悩んだけど、小太刀みたいな物を作ることにした。
結局、忍者刀になったのは紅霞に装備することにしたから。
ガーディフォースにはアシュラがあるし、ウェンディーもハルバードがある。
紅霞にはヒートダガーがあるけど、リーチが短いから、それを補うために装備させた。
妖機刀のリーチはヒートダガーよりも長いが、切れ味と強度は圧倒的に劣っていた。
最初は失敗だと思ったが、鮮血鋼にはとんでもない特性があった。
妖機刀でモンスターを斬れば斬るほど、切れ味と強度が増していくのだ。
最初は、普通のゴブリンを斬っただけで刃毀れしていたが、エンジ島でスライムなどの色んなモンスターを斬ってきたおかげで、そこそこの切れ味と強度を獲得している。
妖機刀の成長には法則がある。
同じモンスターを百匹斬っても、意味はない。
成長するのは大体5匹から10匹ぐらいまで。
それ以上、斬っても成長しない。
それと強いモンスターを斬った方が成長率が良いようだ。
他にも特性がありそうだけど、判明しているのはこれぐらいだった。
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