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hirahara

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風吹く星よ

砲撃

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 そして、今、装備しているのはゲイムパック。
ゲイムパックは敵を殺さず、捕獲することを目的としたバックパックで、様々な捕獲兵装を装備している。
ただし、ゲイムパックは正直、失敗作だった。
 捕獲兵装はどれも重く、ウェンディーの機動力を大幅に削ってしまっている。
ロングレンジライフルなどの通常兵装を排除するわけにはもいかず、同時装備しているからその重量は通常のファルシュの1.8倍はある。ここまで重いとブースターでもカバーし切れない。


 そんな失敗作を使うのは、空賊は出来るだけ活かして捕えるためだ。
統合軍との関係性を尋問したい。
 それにあいつらが所持している船とファルシュは僕らの物になる。
傷が少ない方が高く売れる。
 ちなみにバックパックのバリエーションの最後の一つは戦闘用じゃない。
だけど、僕の一番のお気に入りで、最初期に完成した物なんだけど、解体せずに取っておいてある。


 敵の船は三隻。
見た感じ、一般に販売されているオーソドックスな中型船を改造した物に見える。
 船の前面には装甲板が張り付けられていた。
BANKARAの人から聞いたことがあるんだけど、空賊の船はこういう改造をしているのが多いそうだ。

『主砲を使いますか?』
「駄目。誰が見てるか分からないよ」

 マイグラントの主砲なら、あんなしょぼい装甲板なんて簡単に貫けるだろう。
だけど、マイグラントの主砲はちょっと問題がある。
 大きさは規制の範囲内には収めてあるが、その威力は現行兵器と比べ物にならない。
ヴィンディスでこれと比べられるだけの威力がある砲は、僕が知る限りでは蜜蜂騎兵団の旗艦の主砲のみ。
 この島の島民が見ているかもしれないし、統合軍がこちらを監視しているかもしれない。
そんな状況じゃ、使用できない。一発のコストも高いし。


 マイグラントと敵船は徐々に接近している。
そろそろ敵船の主砲による砲撃が来るはずだ。
 マイグラントは宇宙船である。
求められる強度は飛行船よりも上だ。
隕石などが当たっても、大丈夫なよう、防御力が高く作られている。


 ユラさんによって着弾の衝撃を塗布部分全体に拡散させる特殊塗料を船の全面に塗装されており、マイグラントぐらいの大きさなら、この距離からの砲撃ではやられはしない。
 本当はエネルギーシールドを採用したかったんだけど、船全体を覆う大きさのエネルギーシールドを張れる装置は僕の技術ではどうしても作れなかった。


 ダメージは少なくても、傷は付く。
何もせずに、一方的に攻撃され続けるわけにはいかない。
迎撃はヴィニアちゃんに任せてある。


 ついに空賊は攻撃を開始した。
三つの船から、ほぼ同時に発射された砲弾がマイグラントに迫る。

『させるか!』

 FAFがロングレンジライフルを構えると、すぐさま発砲した。
撃ったのは敵と同じく、三発のみ。


 銃弾は砲弾に向かって、一直線に飛んでいく。
ライフルと船の主砲とでは、弾の質量が大きく違うため、止めることはできない。
だが、砲弾の軌道を逸らすことぐらい可能だ。
 数度、角度が変わるだけだが、その僅かなズレも進めば進むほど大きくなっていき、最終的には全く違う方向に進むことになる。
三発の砲の軌道は逸れ、マイグラントから外れていった。


「……本当にできるなんて」
『これぐらい軽い軽い』

 言い出した時は頭がおかしいと思ってしまった。
 船の主砲の弾速は遅くはなく、発射から着弾までに掛かる時間は短い。
 ヴィニアちゃんは発射された砲弾の弾道を一瞬で判断し、すぐさま射撃をしたのだ。
それに弾が当たったのは、マイグラントよりも敵船の方が近かった。


 ロングレンジライフルはファルシュに当てやすいように、弾速を強化している。
だが、これを使ったとしても、実行するには途方もない力量が必要だ。
まさに神業。こんなの僕にはとても真似できない。


 空賊は何度も砲撃を繰り返したが、ヴィニアちゃんはその全てを逸らした。
無駄だと理解したのか、主砲の発射は止まった。

『やっと諦めたか』
「お疲れ様。次はファルシュだね」

 主砲の次はファルシュを出してくる。
ここからだと、見えないが、あのタイプの船はハッチが船の後方にあったはずだ。


 次々とファルシュが出撃してくる。
空賊が駆るファルシュはどれも旧式の機体のようだ。
大したカスタムはしているようにも見えない。
 だけど、数は少し多い。31機もいた。
ちょっと前のエンジ島の治安維持隊よりも多い。


 思ったよりも規模が大きい空賊のようだ。
もしかしたら、統合軍から機体を貰ったのかもしれない。
 そう考えれば、辻褄が合う。
この航路を根城にしている空賊は多いが、どれも小規模で、これの半分の戦力も持っていない空賊ばかりのはずだ。
三隻の船と31機のファルシュを持つ空賊がいるなんて情報は聞いたことがない。
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