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風吹く星よ
総隊長
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北港に到着。
飛ばしてきたから、予定到着時間よりも早く到着した。
北港は東港に比べると、戦艦やファルシュが並んでおり、物騒だ。
船外カメラをファルシュにズームしてみると、見たことがない機体があった。
「ねえ。あのファルシュって何?」
「ん?あれは近衛隊のカスタム機だ」
「ふーん。ウェンディーに少し似てるかな」
「ウェンディーがベースになっているからな」
「何て名前なの?」
「テンペストだよ」
テンペストはパイロットごとに調整されているらしく、細部に違いがあった。
あの中にヴィニアちゃんの専用機もあるんだろう。
彼女の戦闘スタイルから推測すると、遠距離戦仕様なんだと思う。
誘導されたのは12番ドッグだった。
入ると中に他の船はなかった。
「念のため、動力は落とさないで。何時でも脱出できる用意をしておいて」
「ラジャー」
今まで色んなところに統合軍の魔の手があった。
ここに及んでいないと考えるのは早計だ。
「警戒しすぎだと思うぞ」
「油断は禁物よ」
ユラさんの言う通りだ。
ここはエンジ島じゃない。どんなことが起こるか分からないのである。
「とりあえず、僕が先に降りるね」
僕の身体能力なら大抵の事態は対応できる自信がある。
マイグラントを降りると同時に、近衛隊の軍服を着用した人たちがドッグ内に入ってきた。
100人以上いる。
近衛隊の軍服を着ているが、本当に近衛隊かは分からない。
服ぐらい簡単に複製できる。
ルドフィーで遭遇したゴロツキではなく、訓練された軍人に見える。
雑魚なら何とかなると思うが、この数の鍛えられた軍人相手では、僕でも対抗できそうにない。
いつでもマイグラントに戻れるように、態勢を整えていると、彼らは僕の前に整列し、一斉に敬礼した。
「スワロさん。我々はあなたを歓迎します」
代表者らしき青年は友好的な態度だった。
「どうかしましたか?」
演技なのか、それとも本心なのか。
「彼は警戒しているんだ」
迷っていると列の奥から壮年の男性が出てきた。
思わず、一歩退いてしまった。
この人、滅茶苦茶顔が怖い。何でここに空賊がいるんだろう?
やっぱり罠だったのかな?
「安心してくれ。罠ではない。ナラワン、人を集めすぎだ。彼が警戒しているだろう。少し下がっていろ」
「申し訳ありません」
ナラワンと呼ばれた青年が近衛隊(仮)を連れて、ドッグの外に出た。
残ったのは壮年の男性とその側近らしき男女だけだった。
それにしてもこの人、本当に顔が怖い。
子どもなら見ただけで泣き出してしまうかもしれない。
そういえば、ヴィニアちゃんは近衛隊の総隊長の特徴は顔が怖いと言っていた。
この人ほどその特徴に合致する人間はいないだろう。
「スワロ君だね。私は近衛隊総隊長、ヴェルウィドウ・エアラズだ。君のことは隊員たちから聞いているよ」
彼は自己紹介をすると、頭を大きく下げた。
「君たちがあの蛇を討伐してくれなかったら、どれほどの被害が出たのか想像もできない。それにヴィニアを守り抜いてくれた。どれだけ感謝しても足りないだろう」
「頭を下げる必要なんてないですよ。自分たちのためにやったことです。ヴィニアちゃんを守ったのは彼女が僕らの友達だからですよ」
「ヴィニアは良い友に出会えたようだな」
彼の怖い顔が少し和らいだ。
本当にヴィニアちゃんのことを心配していたみたいだ。
なんだかただの上司と部下の関係じゃない気がする。
ナラワンさんは第四部隊の副隊長だそうだ。
若く才能と情熱があるが、少し思慮に欠けているのが欠点らしい。
ヴェルウィドウさんの後ろに控えている二人は彼の秘書だそうだ。
彼らも近衛隊の例に漏れず、一流のパイロットらしい。近衛隊ってすごい。
安全が確認されたので、ユラさんとヴィニアちゃんも船から降りてきた。
「よう!おっさん。相変わらず顔が怖いな!」
ヴェルウィドウさんは眉間に手をやると、小さくため息を吐いた。
「ヴィニア。言葉遣いには気を付けろといつも言っているだろ」
「いいじゃん。おっさんと私の仲でしょ」
「ここでは上司と部下の関係だ。弁えなさい」
「ヴィニアちゃん。目上の人には、ちゃんとしなきゃダメでしょ」
ユラさんがヴィニアちゃんを注意する。
前から思っていたんだけど、本当のお姉さんみたいだ。
「いいんだよ。顔は怖いのは事実だし、おっさんはおっさんなんだから」
「ヴィニアちゃん!」
ユラさんはヴィニアちゃんの腕を引っ張り、船の影へ行った。
少し離れているけど、彼女の説教はここまで聞こえてくる。
ヴィニアちゃんもヴィニアちゃんだが、ユラさんもユラさんだ。
僕らだけならいいけど、この場で説教をするのはどうかと思う。
ヴィニアちゃんからアイコンタクトで助けを求められたが。飛び火するのは嫌だから、放っておくことにした。
怒っている時のユラさんは怖いし。
飛ばしてきたから、予定到着時間よりも早く到着した。
北港は東港に比べると、戦艦やファルシュが並んでおり、物騒だ。
船外カメラをファルシュにズームしてみると、見たことがない機体があった。
「ねえ。あのファルシュって何?」
「ん?あれは近衛隊のカスタム機だ」
「ふーん。ウェンディーに少し似てるかな」
「ウェンディーがベースになっているからな」
「何て名前なの?」
「テンペストだよ」
テンペストはパイロットごとに調整されているらしく、細部に違いがあった。
あの中にヴィニアちゃんの専用機もあるんだろう。
彼女の戦闘スタイルから推測すると、遠距離戦仕様なんだと思う。
誘導されたのは12番ドッグだった。
入ると中に他の船はなかった。
「念のため、動力は落とさないで。何時でも脱出できる用意をしておいて」
「ラジャー」
今まで色んなところに統合軍の魔の手があった。
ここに及んでいないと考えるのは早計だ。
「警戒しすぎだと思うぞ」
「油断は禁物よ」
ユラさんの言う通りだ。
ここはエンジ島じゃない。どんなことが起こるか分からないのである。
「とりあえず、僕が先に降りるね」
僕の身体能力なら大抵の事態は対応できる自信がある。
マイグラントを降りると同時に、近衛隊の軍服を着用した人たちがドッグ内に入ってきた。
100人以上いる。
近衛隊の軍服を着ているが、本当に近衛隊かは分からない。
服ぐらい簡単に複製できる。
ルドフィーで遭遇したゴロツキではなく、訓練された軍人に見える。
雑魚なら何とかなると思うが、この数の鍛えられた軍人相手では、僕でも対抗できそうにない。
いつでもマイグラントに戻れるように、態勢を整えていると、彼らは僕の前に整列し、一斉に敬礼した。
「スワロさん。我々はあなたを歓迎します」
代表者らしき青年は友好的な態度だった。
「どうかしましたか?」
演技なのか、それとも本心なのか。
「彼は警戒しているんだ」
迷っていると列の奥から壮年の男性が出てきた。
思わず、一歩退いてしまった。
この人、滅茶苦茶顔が怖い。何でここに空賊がいるんだろう?
やっぱり罠だったのかな?
「安心してくれ。罠ではない。ナラワン、人を集めすぎだ。彼が警戒しているだろう。少し下がっていろ」
「申し訳ありません」
ナラワンと呼ばれた青年が近衛隊(仮)を連れて、ドッグの外に出た。
残ったのは壮年の男性とその側近らしき男女だけだった。
それにしてもこの人、本当に顔が怖い。
子どもなら見ただけで泣き出してしまうかもしれない。
そういえば、ヴィニアちゃんは近衛隊の総隊長の特徴は顔が怖いと言っていた。
この人ほどその特徴に合致する人間はいないだろう。
「スワロ君だね。私は近衛隊総隊長、ヴェルウィドウ・エアラズだ。君のことは隊員たちから聞いているよ」
彼は自己紹介をすると、頭を大きく下げた。
「君たちがあの蛇を討伐してくれなかったら、どれほどの被害が出たのか想像もできない。それにヴィニアを守り抜いてくれた。どれだけ感謝しても足りないだろう」
「頭を下げる必要なんてないですよ。自分たちのためにやったことです。ヴィニアちゃんを守ったのは彼女が僕らの友達だからですよ」
「ヴィニアは良い友に出会えたようだな」
彼の怖い顔が少し和らいだ。
本当にヴィニアちゃんのことを心配していたみたいだ。
なんだかただの上司と部下の関係じゃない気がする。
ナラワンさんは第四部隊の副隊長だそうだ。
若く才能と情熱があるが、少し思慮に欠けているのが欠点らしい。
ヴェルウィドウさんの後ろに控えている二人は彼の秘書だそうだ。
彼らも近衛隊の例に漏れず、一流のパイロットらしい。近衛隊ってすごい。
安全が確認されたので、ユラさんとヴィニアちゃんも船から降りてきた。
「よう!おっさん。相変わらず顔が怖いな!」
ヴェルウィドウさんは眉間に手をやると、小さくため息を吐いた。
「ヴィニア。言葉遣いには気を付けろといつも言っているだろ」
「いいじゃん。おっさんと私の仲でしょ」
「ここでは上司と部下の関係だ。弁えなさい」
「ヴィニアちゃん。目上の人には、ちゃんとしなきゃダメでしょ」
ユラさんがヴィニアちゃんを注意する。
前から思っていたんだけど、本当のお姉さんみたいだ。
「いいんだよ。顔は怖いのは事実だし、おっさんはおっさんなんだから」
「ヴィニアちゃん!」
ユラさんはヴィニアちゃんの腕を引っ張り、船の影へ行った。
少し離れているけど、彼女の説教はここまで聞こえてくる。
ヴィニアちゃんもヴィニアちゃんだが、ユラさんもユラさんだ。
僕らだけならいいけど、この場で説教をするのはどうかと思う。
ヴィニアちゃんからアイコンタクトで助けを求められたが。飛び火するのは嫌だから、放っておくことにした。
怒っている時のユラさんは怖いし。
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