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風吹く星よ
クインシフ脱出作戦2
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外からドンっという音が聞こえてきた。
窓から外を眺めると、空に花火が打ち上がっていた。
あれは終焉の炎華。提供したのは勿論、僕らだ。
捕まる前にオニオンさんに預けておいた。
花火は作戦開始の合図。
クインシフのどこに居ても、音と光は届くから、通信を介さずに合図を出すのに、これほど都合の良い物はない。
というより、これ以外に連絡を取る手段は用意していない。
ユラさんはすでに脱出の準備を終え、外で待機している。
「コネコ、行くよ」
「もう少しここに居たかったんだが」
コネコが僕が作業中大人しく待っているはずがない。
塔内にあった高価な調度品や内壁を彼によって改変していた。
どうせ、統合軍に渡るのだから、止めなかった。
多分、今の惨状を見たら、担当者は色んな意味で卒倒するだろう。
渋るコネコの首根っこを掴み、無理やり外に連れ出す。
塔の扉は施錠されていたが、影さんから合鍵を受け取っていたから、簡単に外に出ることができる。
全システムの停止と花火で城内はパニックに陥っており、僕らの脱獄に気付いていないようだ。
塔の陰で迎えが来るのを待つ。
「来た!」
迎えは勿論、マイグラントだ。
港から一直線で飛んできた。
本来なら対空迎撃システムの集中砲火に遭うが、今は停止しているので、城に接近しても、撃ち落とされる危険はない。
「着陸するな!」
着陸を試みようとするのを、慌てて止める。
一度着陸してしまうと、離陸に時間が掛かるからだ。
時間が掛かりすぎると敵が集まってくる。
「それじゃあ行こうか」
返答は待たず、二人を小脇に抱えると、跳躍。
マイグラントの甲板に着地した。
統合軍の軍人が慌てて、飛び出してきたがもう遅い。
マイグラントはすでに浮上を開始している。
浮上を止めようと、一心不乱に銃を乱射しているが、マイグラントにそんな物効きはしない。
「お土産よ。大事に吸ってね」
ユラさんは何かを地面に落とした。
それは地面に激突した衝撃で破裂。麻痺ガスが噴き出した。
地上がガスで汚染される。
軍人たちは慌てて口を手で塞いだが、もう遅い。
ガスを吸った軍人は倒れていく。
いずれ霧散するが、ガスはしばらくはその場に留まる。
増援もガスを吸って、倒れていた。
艦橋に入ると、ヴィニアちゃんとピギがユラさんに抱き着いた。
「無事で良かった!」
「ぴぎゅう!」
「心配かけたみたいね」
僕には壱号が声を掛けてきた。
「スワロ様。おかえりなさい」
「壱、お疲れ様。急いで離脱するよ」
統合軍はまだ混乱しているけど、いつまでもここにいるのは危険だ。
早くクインシフから脱出しなければならない。
遠方から爆炎が上がっている。
火元はクインシフの航空局。
諜報部の仕業だ。
航空局にはヴィンディスの島々を繋ぐ航路データがある。
航路データを抑えられてしまうと、他の島の占領が容易になってしまう。
統合軍もそれを分かっているから、兵を多数割いたはずだが、諜報部の方が何枚も上手だった。
爆弾が仕掛けられたのは遥か昔。航空局の建物が建造された時からあるそうだ。
万が一に備えて、当時の諜報部のトップが仕掛けていたらしい。
そして、その爆弾があるのはクインシフの航空局だけじゃない。
ヴィンディス中の航空局に同じ物が仕掛けられているらしい。
予定ではそれも起爆しているはずだ。
これで統合軍のヴィンディス支配は停滞する。
クインシフ~ルドフィー間などのメジャー航路ならバックアップが別の場所に残っているはずだから大丈夫だけど、小さな島々への航路はカバーされていないのである。
島民には大きな影響はない。そもそも航路データは部外者のための物。
島民は航路データなんてなくても体が安全なルートを覚えているのだ。
クインシフを離れる時、数隻の戦艦とすれ違ったが、攻撃はしてこなかった。
隙だらけだったけど、撃墜よりも包囲網突破を優先した。
おそらく、艦の制御システムがウィルスにやられたんだと思う。
一体、ウィルスはどれだけのコンピューターに影響を及ぼしたんだろう?
グリンナイツも籠城していた拠点を抜け、クインシフを脱出したそうだ。
さっき連絡があった。
女王やヴェルウィドウさんも脱出に成功したみたいだ。
城からの脱出だったから、僕らは一番最後に脱出したらしい。
クインシフは抜けたが、まだ安心できない。
統合軍から追っ手が来る。
最低でもルドフィー辺りまで行かないと、危機を脱したとは言えないのだ。
「ガーディフォースの修理は終わった?」
「勿論です」
「あたしの紅霞は?」
「そっちも大丈夫です」
一度捕まったのには、二機の修理の時間を稼ぐためでもあった。
いつ敵と遭遇するか分からない。
いつでも対応できるように準備をしておく。
窓から外を眺めると、空に花火が打ち上がっていた。
あれは終焉の炎華。提供したのは勿論、僕らだ。
捕まる前にオニオンさんに預けておいた。
花火は作戦開始の合図。
クインシフのどこに居ても、音と光は届くから、通信を介さずに合図を出すのに、これほど都合の良い物はない。
というより、これ以外に連絡を取る手段は用意していない。
ユラさんはすでに脱出の準備を終え、外で待機している。
「コネコ、行くよ」
「もう少しここに居たかったんだが」
コネコが僕が作業中大人しく待っているはずがない。
塔内にあった高価な調度品や内壁を彼によって改変していた。
どうせ、統合軍に渡るのだから、止めなかった。
多分、今の惨状を見たら、担当者は色んな意味で卒倒するだろう。
渋るコネコの首根っこを掴み、無理やり外に連れ出す。
塔の扉は施錠されていたが、影さんから合鍵を受け取っていたから、簡単に外に出ることができる。
全システムの停止と花火で城内はパニックに陥っており、僕らの脱獄に気付いていないようだ。
塔の陰で迎えが来るのを待つ。
「来た!」
迎えは勿論、マイグラントだ。
港から一直線で飛んできた。
本来なら対空迎撃システムの集中砲火に遭うが、今は停止しているので、城に接近しても、撃ち落とされる危険はない。
「着陸するな!」
着陸を試みようとするのを、慌てて止める。
一度着陸してしまうと、離陸に時間が掛かるからだ。
時間が掛かりすぎると敵が集まってくる。
「それじゃあ行こうか」
返答は待たず、二人を小脇に抱えると、跳躍。
マイグラントの甲板に着地した。
統合軍の軍人が慌てて、飛び出してきたがもう遅い。
マイグラントはすでに浮上を開始している。
浮上を止めようと、一心不乱に銃を乱射しているが、マイグラントにそんな物効きはしない。
「お土産よ。大事に吸ってね」
ユラさんは何かを地面に落とした。
それは地面に激突した衝撃で破裂。麻痺ガスが噴き出した。
地上がガスで汚染される。
軍人たちは慌てて口を手で塞いだが、もう遅い。
ガスを吸った軍人は倒れていく。
いずれ霧散するが、ガスはしばらくはその場に留まる。
増援もガスを吸って、倒れていた。
艦橋に入ると、ヴィニアちゃんとピギがユラさんに抱き着いた。
「無事で良かった!」
「ぴぎゅう!」
「心配かけたみたいね」
僕には壱号が声を掛けてきた。
「スワロ様。おかえりなさい」
「壱、お疲れ様。急いで離脱するよ」
統合軍はまだ混乱しているけど、いつまでもここにいるのは危険だ。
早くクインシフから脱出しなければならない。
遠方から爆炎が上がっている。
火元はクインシフの航空局。
諜報部の仕業だ。
航空局にはヴィンディスの島々を繋ぐ航路データがある。
航路データを抑えられてしまうと、他の島の占領が容易になってしまう。
統合軍もそれを分かっているから、兵を多数割いたはずだが、諜報部の方が何枚も上手だった。
爆弾が仕掛けられたのは遥か昔。航空局の建物が建造された時からあるそうだ。
万が一に備えて、当時の諜報部のトップが仕掛けていたらしい。
そして、その爆弾があるのはクインシフの航空局だけじゃない。
ヴィンディス中の航空局に同じ物が仕掛けられているらしい。
予定ではそれも起爆しているはずだ。
これで統合軍のヴィンディス支配は停滞する。
クインシフ~ルドフィー間などのメジャー航路ならバックアップが別の場所に残っているはずだから大丈夫だけど、小さな島々への航路はカバーされていないのである。
島民には大きな影響はない。そもそも航路データは部外者のための物。
島民は航路データなんてなくても体が安全なルートを覚えているのだ。
クインシフを離れる時、数隻の戦艦とすれ違ったが、攻撃はしてこなかった。
隙だらけだったけど、撃墜よりも包囲網突破を優先した。
おそらく、艦の制御システムがウィルスにやられたんだと思う。
一体、ウィルスはどれだけのコンピューターに影響を及ぼしたんだろう?
グリンナイツも籠城していた拠点を抜け、クインシフを脱出したそうだ。
さっき連絡があった。
女王やヴェルウィドウさんも脱出に成功したみたいだ。
城からの脱出だったから、僕らは一番最後に脱出したらしい。
クインシフは抜けたが、まだ安心できない。
統合軍から追っ手が来る。
最低でもルドフィー辺りまで行かないと、危機を脱したとは言えないのだ。
「ガーディフォースの修理は終わった?」
「勿論です」
「あたしの紅霞は?」
「そっちも大丈夫です」
一度捕まったのには、二機の修理の時間を稼ぐためでもあった。
いつ敵と遭遇するか分からない。
いつでも対応できるように準備をしておく。
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