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滅びし水晶の惑星
空の王の咆哮
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スワロによると、シルフィードのエネルギー砲は碌な整備が施されておらず、性能が全く発揮されていなかったらしい。
それを修理、改良を施したのがクサナギに内蔵されている。
その際、スワロとコネコは回収したシルフィードの腕を解体していた。
統合軍の研究者が見たら、卒倒していただろう。
それぐらい完膚なきまでにバラバラにしていた。
スッとしたけど、正直ドン引き。
私はシルレーラ様を苦しめているシルフィードを恨んでいるけど、あれは人とシルレーラの絆で救国の英雄でもある。
あそこまでバラバラにされているのを見たら、ヴィンディス人なら誰でも複雑な気持ちになるに違いない。
クージンとクサナギを直結。
ハイウィンド機関のエネルギーをクサナギに送りこむ。
大半のエネルギーはクサナギに持っていかれてしまう。
そのため、推進装置に回せるエネルギーが最小限になり、推力が落ちていた。
推力が不足しているため、徐々に高度が落ちているけど、あらかじめ高度を上げておいたから、墜落の心配はない。
トリガーを引こうとしたが、途中でその指を止めてしまった。
シルフィードは私たち人間の罪。それを利用した兵器。
それを巫女である私が本当に使っていいんだろうか?
【違うでしょ。それは私たちの希望よ】
そうだ。クサナギはスワロが作ってくれた贖罪への希望。
これでいつの日か全てのシルフィードを破壊するんだ。
だから、こんなところで躓いてなんかいられない!
「受けろ!これが空王の咆哮だ!シルレーラ・シャウタ―!」
クサナギから放たれた光。
それはシルレーラ様の空雷砲と同じ光だった。
モンスターは光に向かい撃つ形で、鼻息を放射してきた。
その鼻息は今までの物とは違う。広範囲に撒き散らす物ではなく、一点集中型だった。
一点に集中したことで威力も向上しており、鼻息と共に放出されている水晶の粒は濁流のように押し寄せてくる。
鼻息は光に呑まれることなく、私たちの中間で拮抗していた。
「……押し切れない。頑張れ、クージン!」
【巫女の力を使いなさい!】
声に従い、錫杖を顕現させる。
本来、錫杖はコックピットに収まらないぐらい長いけど、短い木の棒ぐらいまで縮んでいた。
錫杖が発する淡い光はクージンに吸い込まれていく。
『出力急上昇!?一体何が起きてるの?』
「説明は後。制御よろしく」
錫杖の力を受けたハイウィンド機関の出力は大きく上がっている。
急なことだったけど、スワロはすぐに対応してくれた。
クサナギに送りこまれるエネルギーが跳ね上がり、それに比例して、放たれる光は強くなっていった。
「フルバースト!」
光は鼻息を飲み込み、モンスターのおでこに直撃した。
おでこから入った光の帯はモンスターの体を貫通。
射線上にあった森をも薙ぎ払う。
シャウタ―の光はおでこからお尻にかけて、大きな風穴を開けた。
モンスターはしばらく微動だにしなかったが、石が割れるような音がすると、欠損を補っていた水晶が崩れ落ちる。
残った一本の足だけではとても体を支えることはできず、地面に倒れた。
「終わった?」
完全に死んだことを確認するまでは油断できない。
クラスター・テンペストを撃つ準備はしておく。
【『来る!』】
スワロと頭の中から響いてくる声が重なる。
モンスターの体に開いた大穴からぬるっと粘液が流れ出てきた。
粘液は形を変え、固まっていく。
「キノコ?」
それは巨大なキノコだった。高さは20mはある。
柄には目玉が生えており、コネコの作品みたいに悍ましい。
考えなくても分かる。こいつは敵だ。
見た目からはどんな攻撃を繰り出してくるか分からない。
一度距離を取って、様子を見る。
キノコは飛び上がると、高速回転しながら突撃してきた。
そこそこ速いけど、クージンに比べたらハエが止まる速度。簡単に避けられる。
回避に動こうとしたが、その必要はなかった。
巨大モンスターが巨大キノコの柄に鼻を巻き付け、強く締め上げていた。
鼻の先端部分は光に巻き込まれ、消失していたが、それぐらいできる長さは残っていた。
そのまま地面に引きずり落とし、鼻息を浴びせかけた。
「一体どっちを狙えば?」
クラスター・テンペストの準備は完了しているが、どちらを優先したらいいんだろう。
出来れば、厄介な方に叩き込みたい。
巨大モンスターは強いがすでに虫の息、巨大キノコはあまり強そうにはみえない。
『キノコを狙って!』
「分かった!」
スワロの指示通り、準備していたクラスター・テンペストをキノコに叩き込んだ。
キノコは逃れようと暴れているが、巨大モンスターは巻き込まれながらも、拘束を解くことはなかった。
一斉掃射を浴びたキノコは身も毛もよだつ断末魔を上げながら、粉々になって崩れ落ちた。
それを修理、改良を施したのがクサナギに内蔵されている。
その際、スワロとコネコは回収したシルフィードの腕を解体していた。
統合軍の研究者が見たら、卒倒していただろう。
それぐらい完膚なきまでにバラバラにしていた。
スッとしたけど、正直ドン引き。
私はシルレーラ様を苦しめているシルフィードを恨んでいるけど、あれは人とシルレーラの絆で救国の英雄でもある。
あそこまでバラバラにされているのを見たら、ヴィンディス人なら誰でも複雑な気持ちになるに違いない。
クージンとクサナギを直結。
ハイウィンド機関のエネルギーをクサナギに送りこむ。
大半のエネルギーはクサナギに持っていかれてしまう。
そのため、推進装置に回せるエネルギーが最小限になり、推力が落ちていた。
推力が不足しているため、徐々に高度が落ちているけど、あらかじめ高度を上げておいたから、墜落の心配はない。
トリガーを引こうとしたが、途中でその指を止めてしまった。
シルフィードは私たち人間の罪。それを利用した兵器。
それを巫女である私が本当に使っていいんだろうか?
【違うでしょ。それは私たちの希望よ】
そうだ。クサナギはスワロが作ってくれた贖罪への希望。
これでいつの日か全てのシルフィードを破壊するんだ。
だから、こんなところで躓いてなんかいられない!
「受けろ!これが空王の咆哮だ!シルレーラ・シャウタ―!」
クサナギから放たれた光。
それはシルレーラ様の空雷砲と同じ光だった。
モンスターは光に向かい撃つ形で、鼻息を放射してきた。
その鼻息は今までの物とは違う。広範囲に撒き散らす物ではなく、一点集中型だった。
一点に集中したことで威力も向上しており、鼻息と共に放出されている水晶の粒は濁流のように押し寄せてくる。
鼻息は光に呑まれることなく、私たちの中間で拮抗していた。
「……押し切れない。頑張れ、クージン!」
【巫女の力を使いなさい!】
声に従い、錫杖を顕現させる。
本来、錫杖はコックピットに収まらないぐらい長いけど、短い木の棒ぐらいまで縮んでいた。
錫杖が発する淡い光はクージンに吸い込まれていく。
『出力急上昇!?一体何が起きてるの?』
「説明は後。制御よろしく」
錫杖の力を受けたハイウィンド機関の出力は大きく上がっている。
急なことだったけど、スワロはすぐに対応してくれた。
クサナギに送りこまれるエネルギーが跳ね上がり、それに比例して、放たれる光は強くなっていった。
「フルバースト!」
光は鼻息を飲み込み、モンスターのおでこに直撃した。
おでこから入った光の帯はモンスターの体を貫通。
射線上にあった森をも薙ぎ払う。
シャウタ―の光はおでこからお尻にかけて、大きな風穴を開けた。
モンスターはしばらく微動だにしなかったが、石が割れるような音がすると、欠損を補っていた水晶が崩れ落ちる。
残った一本の足だけではとても体を支えることはできず、地面に倒れた。
「終わった?」
完全に死んだことを確認するまでは油断できない。
クラスター・テンペストを撃つ準備はしておく。
【『来る!』】
スワロと頭の中から響いてくる声が重なる。
モンスターの体に開いた大穴からぬるっと粘液が流れ出てきた。
粘液は形を変え、固まっていく。
「キノコ?」
それは巨大なキノコだった。高さは20mはある。
柄には目玉が生えており、コネコの作品みたいに悍ましい。
考えなくても分かる。こいつは敵だ。
見た目からはどんな攻撃を繰り出してくるか分からない。
一度距離を取って、様子を見る。
キノコは飛び上がると、高速回転しながら突撃してきた。
そこそこ速いけど、クージンに比べたらハエが止まる速度。簡単に避けられる。
回避に動こうとしたが、その必要はなかった。
巨大モンスターが巨大キノコの柄に鼻を巻き付け、強く締め上げていた。
鼻の先端部分は光に巻き込まれ、消失していたが、それぐらいできる長さは残っていた。
そのまま地面に引きずり落とし、鼻息を浴びせかけた。
「一体どっちを狙えば?」
クラスター・テンペストの準備は完了しているが、どちらを優先したらいいんだろう。
出来れば、厄介な方に叩き込みたい。
巨大モンスターは強いがすでに虫の息、巨大キノコはあまり強そうにはみえない。
『キノコを狙って!』
「分かった!」
スワロの指示通り、準備していたクラスター・テンペストをキノコに叩き込んだ。
キノコは逃れようと暴れているが、巨大モンスターは巻き込まれながらも、拘束を解くことはなかった。
一斉掃射を浴びたキノコは身も毛もよだつ断末魔を上げながら、粉々になって崩れ落ちた。
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