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絆と禁忌
象の復活
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ケルン製造装置の移送作業は一時中断。
皇帝が製造の見学を希望したからだ。
何を作るかは皇帝に任せる。
完成した機獣は皇帝が引き取ってくれる。
「ふむ。どの機獣も見たことがあるな」
アーカイブに登録されている機獣はどれも皇帝のお眼鏡に適うものではないみたいだ。
「剥製とか生物の体の一部を持ってないんですか?」
「生憎そのような趣味はない」
だったら、アーカイブから選ぶ、若しくは機獣愛連合から機獣のデータを貰うしかない。
「何か変わったものを持っているのではないか?」
「モグラなら用意できますよ」
結局ジャイアントモール型の機獣は作っていない。
引き取りを希望するクランがなかったのだ。
「モグラか。悪くはない。だが、もっと周囲の者が腰を抜かす者がいいな。あるのだろう?そんな隠し玉が」
さすがは皇帝、勘の鋭さも王者級だ。
たしかに僕はもう一種類、新種の機獣が作れる。
ただその存在は秘匿している。
あの機獣は安易に生み出すのは危険だ。
その機獣とはクリステラエレファン型だ。
作成可能なことは確認済みだった。
実際に作ってはいないが、装置に表示されたパラメーターだけでその戦闘力が分かる。
その上、エレファンはとても賢い。
拘束具を使わなくても、誠心誠意、接すれば人間と共存することも可能だ。
だけど、どんな機獣でも人の制御から外れてしまうことはありえる。
そのため、作成を断念していた。
帝国の力ならば、その危険は少ない。
彼らには長きに渡って、ブロンライオやテラーコング、ホークノーブルなどの機獣と共に生きていたノウハウがあるのだ。
僕もできることならば、エレファンを蘇らせてあげたい。
彼らはパラクリスファンガスに絶滅させられた被害者なのだから。
ここは皇帝に任せてみてもいいかもしれない。
「一つお約束していただきませんか?」
「何だ?」
「どんな機獣が生まれても、決して処分しないでください」
「そんなことか。我が機獣を捨てることはない。安心してくれ」
「それと作るのは一体だけです。アーカイブからデータを削除させてもらいます」
「構わん。孫にプレゼントするだけだからな。これで孫の愛は独占間違いなしだ」
爺馬鹿というやつかな。
ケルン製造装置にクリステラエレファンの牙の粉末を投入する。
次はパラメーター調整だ。
ここを疎かにすると、碌な機獣が産まれてこない。
一番重要なのは野性味の項目だけど、ここは弄る必要はない。
エレファンは元々の野性味のパラメーターが低いのだ。
下手に弄ると、人間の言うこと全く聞かないじゃじゃ馬になってしまう。
パラメーターの設定も完了。
製造に入る前に、生体金属を追加投入する。
最初に投入した分だけでは足りないのだ。
エレファンを機獣化させるとそのサイズはトライクスクラスの大物になってしまう。
ケルンの大きさもそれに比例して大きくなり、必要となる生体金属の量も多くなり、作成時間も長くなる。
普通の機獣なら一時間ぐらいで完成するが、その数倍の時間を要するみたいだ。
皇帝はその様子をお酒を飲みながら見守っていた。
まだ飲むのか、この人は。
その間に皇帝機獣兵団も到着。
皇帝に小言を浴びせていたが、皇帝は慣れているのかそれを聞き流していた。
「完成したのか?見たことがない色だな」
完成したケルンはスケイルたちとは違った色をしていた。
出自がイドではないからかもしれない。
これは続いて機獣化したジャイアントモールもそうだった。
詳しく研究したいが、あとのことは皇帝に任せよう。
ケルンは完成したが、肉体はまだだ。
サイズが大きいため、肉体の構築には時間が掛かるだろう。
二、三カ月、下手したら半年以上は要するかも。
肉体の構築は帝国で行われる。
この町では不可能だ。普通のサイズの治癒槽じゃ入りきらない。
大型機獣用の治癒槽が必要になるが、この町にないのである。
完成したケルンの前でクリアが皇帝と会話していた。
クリアの両肩にはコッコとクックの姿もある。
「この子はクリアの星の仲間です。ただの兵器として扱わないでほしいです。大切にしてあげてくださいです」
エレファンはクリアたちにとって、同じ星に生きる同胞。その思い入れは誰よりも強い。
一人と二羽は皇帝相手にも物怖じしていなかった。
「皇帝の名に誓う。最上級の対応を約束しよう。安心しなさい」
「もし、酷い目に合わせたら、絶対に許さないです」
「コッコ!」「クック―!」
クリアは紙の束を、コッコとクックは卵を数箱分、皇帝に渡した。
「クリアが知るエレファンの全てです。一生懸命思い出したです。参考にしてくださいです」
「ありがたく頂こう。で、この卵は?」
「コッコたちが産んだ絶品卵です。コッコたちなりの誠意なんです。受け取ってあげてくださいです」
「其方の想いは受け取った。我に任せろ」
皇帝が製造の見学を希望したからだ。
何を作るかは皇帝に任せる。
完成した機獣は皇帝が引き取ってくれる。
「ふむ。どの機獣も見たことがあるな」
アーカイブに登録されている機獣はどれも皇帝のお眼鏡に適うものではないみたいだ。
「剥製とか生物の体の一部を持ってないんですか?」
「生憎そのような趣味はない」
だったら、アーカイブから選ぶ、若しくは機獣愛連合から機獣のデータを貰うしかない。
「何か変わったものを持っているのではないか?」
「モグラなら用意できますよ」
結局ジャイアントモール型の機獣は作っていない。
引き取りを希望するクランがなかったのだ。
「モグラか。悪くはない。だが、もっと周囲の者が腰を抜かす者がいいな。あるのだろう?そんな隠し玉が」
さすがは皇帝、勘の鋭さも王者級だ。
たしかに僕はもう一種類、新種の機獣が作れる。
ただその存在は秘匿している。
あの機獣は安易に生み出すのは危険だ。
その機獣とはクリステラエレファン型だ。
作成可能なことは確認済みだった。
実際に作ってはいないが、装置に表示されたパラメーターだけでその戦闘力が分かる。
その上、エレファンはとても賢い。
拘束具を使わなくても、誠心誠意、接すれば人間と共存することも可能だ。
だけど、どんな機獣でも人の制御から外れてしまうことはありえる。
そのため、作成を断念していた。
帝国の力ならば、その危険は少ない。
彼らには長きに渡って、ブロンライオやテラーコング、ホークノーブルなどの機獣と共に生きていたノウハウがあるのだ。
僕もできることならば、エレファンを蘇らせてあげたい。
彼らはパラクリスファンガスに絶滅させられた被害者なのだから。
ここは皇帝に任せてみてもいいかもしれない。
「一つお約束していただきませんか?」
「何だ?」
「どんな機獣が生まれても、決して処分しないでください」
「そんなことか。我が機獣を捨てることはない。安心してくれ」
「それと作るのは一体だけです。アーカイブからデータを削除させてもらいます」
「構わん。孫にプレゼントするだけだからな。これで孫の愛は独占間違いなしだ」
爺馬鹿というやつかな。
ケルン製造装置にクリステラエレファンの牙の粉末を投入する。
次はパラメーター調整だ。
ここを疎かにすると、碌な機獣が産まれてこない。
一番重要なのは野性味の項目だけど、ここは弄る必要はない。
エレファンは元々の野性味のパラメーターが低いのだ。
下手に弄ると、人間の言うこと全く聞かないじゃじゃ馬になってしまう。
パラメーターの設定も完了。
製造に入る前に、生体金属を追加投入する。
最初に投入した分だけでは足りないのだ。
エレファンを機獣化させるとそのサイズはトライクスクラスの大物になってしまう。
ケルンの大きさもそれに比例して大きくなり、必要となる生体金属の量も多くなり、作成時間も長くなる。
普通の機獣なら一時間ぐらいで完成するが、その数倍の時間を要するみたいだ。
皇帝はその様子をお酒を飲みながら見守っていた。
まだ飲むのか、この人は。
その間に皇帝機獣兵団も到着。
皇帝に小言を浴びせていたが、皇帝は慣れているのかそれを聞き流していた。
「完成したのか?見たことがない色だな」
完成したケルンはスケイルたちとは違った色をしていた。
出自がイドではないからかもしれない。
これは続いて機獣化したジャイアントモールもそうだった。
詳しく研究したいが、あとのことは皇帝に任せよう。
ケルンは完成したが、肉体はまだだ。
サイズが大きいため、肉体の構築には時間が掛かるだろう。
二、三カ月、下手したら半年以上は要するかも。
肉体の構築は帝国で行われる。
この町では不可能だ。普通のサイズの治癒槽じゃ入りきらない。
大型機獣用の治癒槽が必要になるが、この町にないのである。
完成したケルンの前でクリアが皇帝と会話していた。
クリアの両肩にはコッコとクックの姿もある。
「この子はクリアの星の仲間です。ただの兵器として扱わないでほしいです。大切にしてあげてくださいです」
エレファンはクリアたちにとって、同じ星に生きる同胞。その思い入れは誰よりも強い。
一人と二羽は皇帝相手にも物怖じしていなかった。
「皇帝の名に誓う。最上級の対応を約束しよう。安心しなさい」
「もし、酷い目に合わせたら、絶対に許さないです」
「コッコ!」「クック―!」
クリアは紙の束を、コッコとクックは卵を数箱分、皇帝に渡した。
「クリアが知るエレファンの全てです。一生懸命思い出したです。参考にしてくださいです」
「ありがたく頂こう。で、この卵は?」
「コッコたちが産んだ絶品卵です。コッコたちなりの誠意なんです。受け取ってあげてくださいです」
「其方の想いは受け取った。我に任せろ」
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