コスモス・リバイブ・オンライン

hirahara

文字の大きさ
699 / 816
星海から訪れる侵略者

再展開

しおりを挟む
『シールド発生装置の破壊に成功した。繰り返し、発生装置の破壊に成功した』
「やったぁ!」

 発生装置破壊部隊がやってくれたみたいだ。
かなりの戦力が投入されてはいたけど、あの守りを突破するのは


 まだシールド発生装置が一機残っているけど、たった一機じゃ広範囲にエネルギーシールドを展開できないはず。
フェイズ2は成功だ。

「えっ?」

 残された一機からエネルギーが放出。
エネルギーシールドが構築されていく。


『一体何が起こってるの?』
「今調べます」

 たった一機でこの規模のエネルギーシールドが展開できるわけがない。
どこかにもう一機あるはずだ。しかし、どこにもそれらしい反応が見当たらない。

「何を見落としてるんだ?……クッ、うざいなぁ」

 思案したいのに、マザーからのエネルギー弾で邪魔されてしまう。
エネルギー弾の対応にもだいぶ慣れてきた。
発射する前にマザーから高エネルギー反応が現れる。
事前に回避や防御の準備を整えておけば、対応可能だ。


「ん?もしかして」

 シーカーズにマザーを重点的に調べさせる。

「あった」

 もう一つのシールド発生装置、それがあったのはマザー本体だった。
装置の大部分がマザーの体内に埋もれていて気付かなかった。
 

 シールド発生装置特有のエネルギー反応に気付けなかったのにも理由がある。
エネルギー弾だ。
あれには攻撃のほかにも目くらましの意味があったみたいだ。
 こんな単純な手に引っ掛かるなんて。
Zの知能を甘く見ていた。絶対に侮ってはいけなかったのに。


「このままじゃ!」

 エネルギーシールドが展開が完了し、後衛と分断されたら、完全にアウト。
援護砲撃も受けれなくなる上、司令部との交信も断絶され、討伐軍は統制を失ってしまう。
 統制を失った軍隊なんて烏合の衆にすぎない。
今までZと渡り合えたのは個々の意思を統一してきたからだ。


『落ち着きなさい!』

 アウラさんから叱責で我に返った。

『まだ猶予はあるでしょ。計算をお願い』
「ラジャー」

 すぐに計算を始める。
たった二機でエネルギーシールドの生成を行っているためか、展開速度はかなり遅い。


「五分、いや四分が限度だと思います」

 実際に全域がエネルギーシールドに覆われるにはもう少しだけ猶予がある。
だけど、完全に展開された後に装置を破壊するのは危ない。


 不完全なエネルギーシールド技術は危険なのだ。
計算だと周囲に影響を及ぼさずに破壊できるのはそれが限度。
それ以上時間が掛かってしまうと、シールド崩壊によって、討伐軍に壊滅的な被害が出るだろう。
そうなれば、マザー討伐どころではなくなる。


 装置は二つ、マザーの物ともう一つ。
どちらを狙えばいいのか。その判断は上に任せる。

『マザーは切り捨てましょう。総司令に具申します』

 まあ、そうなるよね。
マザーの物を狙うのは難しすぎる。


 現在、討伐軍の戦力は総司令の命令で北西に集中してしまっている。
総司令の判断ミスじゃない。
結果的にこんな状況を生み出してしまったけど、戦力を集中しなければ北西の装置を破壊できなかったと思う。
 それに僕も他人の失敗をとやかく言える立場じゃない。
シールド発生装置を一機見逃してたのは重大な過失だ。


 合流までは待てない。
敵の妨害を潜り抜けて、こちらと合流するには五分では足りないだろう。
装置破壊は今、ここに集まっている戦力でやらなくてはならない。


 最も機動力がある僕ら空中戦力は発生装置破壊に動くことはできない。
エネルギー弾による攻撃はまだ止んでいない。
僕らにはマザーの攻撃を引き付けるという重要な役目がある。


 装置に一番近いのは双竜だ。
シールド発生装置の守りはこれまでよりもずっと少ない。
こちらが戦力を集中させていることに気付いたZが北西に向かったからだ。
 少なくなってはいるけど、あくまでこれまでと比較したらの話。
いくら双竜がパオペイを持っていたとしても、あの守りを突破するのは難しい。


「誰か援護を!」
『俺が行く!ニック、ユニゾンアタックで行くぞ!』

 ニックは飛行可能だけど、それをせずに地上を駆けていく。
今の状況なら地上から行く方が都合が良いのだ。
 空からだと地上のZの対空砲撃、飛行個体の妨害。
それに加えて、拡散エネルギー弾の流れ弾があるからだ。
それに地上からなら仲間の援護も受けやすい。


 彼らのユニゾンアタック、ニックアクセラレーションの超加速はZでも付いていけない。
進路上のZを蹴散らしながら、双竜のもとに向かっていた。
しおりを挟む
感想 354

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

姉妹差別の末路

京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します! 妹嫌悪。ゆるゆる設定 ※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済

処理中です...