魔王の息子に転生したけどアイドルを愛でたくて妹に全部押し付けてみたのだが……【R18】

縁(えにし)

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10.ライラは感動していた

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「ベレトさん。凄かったです。わたし、とっても感動しました。アイドルって凄いんですね」

 ライラは、両の拳を胸の前で握りしめて、前のめりになって言った。

 ライブを見終わってから、随分と興奮した様子で、キラキラした目をさらにキラキラさせて、頬は上気している。

 確かに俺も感動して、うっかり涙した。

 リルルちゃんの成長が嬉しくて泣いた。

 全俺が泣いた。

 そんな俺の気持ちを共有してくれる女の子がいるってのもいいな。

 出会った時といい、ライラはなんでも好意的に受け止めてくれるから、なんか嬉しくなる。

「あんなに、たくさんの人がいたのに、みんなが一つになって、一人の女性を支えて、応援することができるだなんて、世界が変わった気がしました!」

 嬉しいのだが、世界が変わるとかちょっと大袈裟な気もするが、言われてみれば、俺も初めて推しのアイドルに出会った時は世界が変わっていたか?

「お、おう、楽しめたのならよかったよ。じゃあ、当初の目的に行くか」

「はい。すいません。私のためにここに連れて来てきてくれたのに、一人ではしゃいでしまって……」

「思い詰めるのも良くないから、気分転換になったのなら良かったよ」
 
 話しながらライラを連れて、バックヤードの方へ行くと、目当ての男はすぐに見つかった。

「ケイン・ウッド」
 
 目当ての男に声をかけた。

 30半ばの、ギョロギョロとした目は獲物を漁るようで、金のためなら、後ろ暗いことも平気でやってきた奴だけど、わりと改心した今は、リルルちゃんを応援する愛は本物だ。

「うぉ、ベレトの旦那。新しいグッズの開発ですか?前のやつも、随分と儲けが出ましたよ。おかげで、リルルちゃのステージ衣装のグレードが上がりました」

「うむ。あれは素晴らしかった。だが、今日はそっちじゃなくて、ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「別に何も、今は汚いことには手を出していやせんぜ」

「それも違う。この子の姉を探しているのだが、何か探す方法を知らないか?」

 続きをライラに促す。

「姉は、Aランクの冒険者で、魔の森の調査を依頼されて、忽然と姿を消しました。でも、魔の森の周辺では今のところ目撃情報がなくて……」

 ケインは、全く考えることもせずにそれを提案してきた。

「ちょいと、冒険者証を追跡してみやしょうか?」

 その申し出は、もちろん、違法の方法でだが。

 公的には認められていない。

 その設備を導入するのは、監視されているようだと、冒険者側が反対したからだ。

 だから、それがこの男なら出来るだろうと期待して声をかけたんだ。

「ああ、頼む」

「明日、旦那の屋敷に行きやすんで、その時に報告します」

「よろしくお願いします」

 ライラが丁寧に頭を下げる。

 そして上げた顔は、ようやく安堵しているようにも見えていた。

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