魔王の息子に転生したけどアイドルを愛でたくて妹に全部押し付けてみたのだが……【R18】

縁(えにし)

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11.助けてもらったのに

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「なんとかなりそうで、良かったな」

「はい。これも、ベレトさんのおかげです。ありがとうございます」

 ベレトさんに連れられて、ライブ会場の入口があったお店を出たところで、ホッと息を吐いた。

 外はもう、すっかり暗くなっていた。

 朝から目まぐるしく色々とあった。

 ベレトさんに出会えていなかったら、まだこの辺を途方に暮れながら尋ね歩いていたと思う。

「じゃあ、とりあえず今日は家に泊まるといい。部屋だけは無駄にたくさんあるから」

「本当に、何から何まで、ありがとうございます。親切にしていただいても、私が返せるものがないのが心苦しくて」

「気にしなくていいから。俺んとこの領地で起きてる問題なら、俺が関わって当然なんだ」

 そう言えば、当たり前のように話していたけど、目の前の方は伯爵家の御令息なのだ。

 本来なら、目の前に立つことすら不敬になる方だ。

「私のような者の為に、ありがとうございます」

 深々と頭を下げて敬意を表すことしかできない。

「いや、だから、何でいきなり頭を下げるんだ。いいって。ほら、家に行こう」

 立ち止まったままでいたので、ベレトさんに促されて、町の中心から少し離れたところにあった、伯爵邸に向かって歩き出した。

 暗い道は、ベレトさんが魔法で灯した光で照らされているから歩きやすい。

 魔法って便利だなぁって、思っていると、人通りが完全に途絶えた路上で、三人の男の人達が立っていた。

 薄暗い中でも、灯りで照らされたその人達の顔を見て誰なのかはすぐに分かった。

 ベレトさんが僅かに警戒した様子を見せたのに、

「こちらの方達は、姉が所属しているギルドの人達です。どうしてここに?もしかして、姉の事で、何か分かったことはあったのでしょうか?」

 親しくはないので話した事はなかったけど、悪意を向けられたこともなかったので、すっかり油断していた。

 槍を持った男性が、何の気負いもなく構えたかと思ったら、

「ライラ!!」

 目の前で、生暖かいものが飛び散った。

 それが血飛沫だと気付くのは、少し遅れてのことだ。

 私の目の前に立ち塞がっているベレトさんの脇腹を、槍が貫き、そして引き抜かれていた。

「いきなりかよ……」

 呻くような声がきこえると、突然の熱風が吹き、壁のような火柱が出現していた。

 それが、私達と、彼らを隔てている。

 炎の壁を呆然とみつめていると、ふわりと体が浮いたかと思えば、ベレトさんに小脇に抱えられて、風のような速さで、その場から消え去っていた。
 
 実際に、風に乗るように屋根を移動していた。

 一連の全ての出来事の中で、混乱しきった私は何一つ行動する事が出来ないでいた。

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