神様project・異世界もチートも欲しくない！ 欲しいのは女神様だけ！！

金曜神の拒受な愛【４０話～４９話】

流れゆく感情！！

   ――愛する人の心を傷付けてしまった……。

   気を失っている彼女を脱がすなんてどうかしてたと、翠は後悔するももう遅い。
   彼女が鋭く放った言葉には、翠の心を酷く傷付けるものもあった。

 「わかったよ……。」

   翠は台所から包丁を持ち出しては自身の首に当ては悲しそうな表情をする。

 「今さらあんなことをして許してほしいなんて言わない。 恋さんが望むなら俺は死ぬよ。」

   一度は死んだ身なのだから怖くはないと体や手は強がって包丁を首に添えるも、心は強がってはくれない。
   死ぬのは嫌だし痛いのも嫌だ……けど、好きな人に存在を否定されて会えなくなるなんてもっと嫌だったから。
   恋は翠の声を聞くとモゾモゾ動いては布団の隙間から覗くも、ガバッと布団をはね除けて翠に飛びかかる。

 「やっ、止めなさいよっ！」

   パンツだけにされても翠に飛び掛かる。
   その表情は羞恥の感情ではなく、怒ったような表情と悲しそうな表情。

 「恋さんは俺に死ねって言った。 なら死ねば満足だよな。 そうだよ……寝ている女の子を脱がすなんて非常識だし、最低な男だよ。」

 「だっ、だからって本気で死ぬなんてバカじゃないのっ！？ 一度きりの命を無駄にする方が非常識よっ！」

   恋は右手に持っている包丁を弾き落とす。
   彼女の左手には淡い橙色の光が漏れているため魔法を使ったのだと思われる。
   でなきゃ、素手で包丁の刃の部分を殴ったりしない。



















   ――予想もしない衝撃が手に伝わる……。

   恋に包丁を弾かれた翠。
   包丁はヒュンヒュン回転しながら奇跡的に包丁のホルダーにスポッと収まるも、恋は勢いを付けて殴ったからだろうか、殴った勢いで翠に抱きついては押し倒すのだった。

 「ひゃわぁっ！？」

 「危なっ！！」

   翠はギュッと恋を抱きしめながら背中から倒れる。
   顔をとても赤くした恋はどうして良いのかわからなくなってしまう。

 「そ……そのっ、し……シたかったら言えば良いじゃないっ！ 私だって……許可さえくれれば、オッケー出したのよ！」

   恋はポロポロ涙を流しては裏切られた事に涙を流す。
   本当の事が伝わった翠は、そうしておけば良かったと思いながら強く抱きしめては頭を撫でキチンと言う。

 「恋さんと……え、えっちしたいし、キスだってしたい。」

 「したいならすれば良いじゃない……。」

   照れながら拒んでも受け入れてくれたことに感謝して、翠は優しく抱き上げると布団のところまで運んであげる。
   畳の上じゃ少しだけムードが壊れるから、今は優しく受け止めてくれる布団へと脚と恋を運ばす。