神様project・異世界もチートも欲しくない！ 欲しいのは女神様だけ！！

日曜神の柔癒な愛【６１話～７０話】

三人の調べ！！

   ――頬っぺたが軽く痛い……。

   蒸せ返るような湯気が襲う。
   どうやら到着してから車の外に立たされて、軽く頬を平手で数度打たれて起こされたようだが粗っぽい起こし方だと翠はため息をつく。

 「メカクシヲハズシテミテ。」

   電子音が目隠しを取るように合図をしたために、翠は外して正面を見つめる。
   駅舎から見える岩動の姿とはまるで違う場所にいるようで、同じ岩動だとは思えない風景にただ息を飲むばかりだった。



















   ――壮大すぎて声も出ない……。

   大きな旅館の施設が目の前にそびえており、もはやこれほどの大きさの旅館は日本に存在しないとまで言っても過言ではないくらい大きい。

 「うわ……ぁ、大きいな。」

   和館をうっとりと眺めているも、後ろから視線を感じた為に、ハッと後ろを振り向くと底にはなんと見慣れた二人が居る。
   どういう理由かは知らないが翠は困惑することしかできない。

 「よ、ようこそ……岩動へ。」

 「来るなら一言くれればもっと手荒な歓迎するわよ？」

   そこには智美と桃子が微笑みながら手を振って歓迎してくれたが、翠には理解ができなかった。
   今日は天音のはず、ならばこの二人はいったい何者なのか……と。
    そうこう考えてる内に智美に肩を掴まれては館内へと案内される。

 「驚いたような顔して考えてるねぇ、そんなのは今はどうでもいいじゃないか。」

 「深く考えるだけ無駄よ。 七曜神は複雑だから……。」

   桃子も智美も裏口らしいところから入ると職員用のエレベーターで地下室にたどり着く。
   とても豪壮な扉が部屋の奥に存在してあり、あれがここの主の部屋だというオーラがひしひしと伝わってくる。
    そして桃子はその扉に手をかけた瞬間、淡い紫色の光が手から漏れたかと思うと扉がガチャンと鍵を解除した音が聞こえ、静かにながらも重い音をたててその扉は開く。

 「入って……良いわよ？」

 「うわぁ、すっげぇ……。」

「あら、邪魔するわよ。」

   翠は部屋の内部の豪華さにキョロキョロと回りを見ることしかできない。
   智美は智美らしくズカズカと入ってはソファーにドカッと腰かけて寛ぎながら端末をいじっては暇そうにあくびをしている。

 「ソファーに座って……？」

   桃子が翠に座るように促す。
   言われた通り翠はソファーに腰かけては、対面に座った桃子を見つめる。

 「これから大切なお話をするわ……。 それと、あまり緊張せずリラックスね……。」

   真剣そうな表情の桃子はキリッと眉を上げながら翠を睨んでいるようにも思えるのだから、少しこちらの顔はひきつる。
   別に怒っているわけではなさそうなのだが、キリッと真剣な桃子の表情は怒った智美に似たようなオーラを出していたため、リラックスと言われてもガチゴチに固まった翠であった。