神様project・異世界もチートも欲しくない！ 欲しいのは女神様だけ！！

月曜神の凛清な愛【７１話～８６話】

舞い散る飛沫！！

   ――聖奈は刀を納刀する……。

   軽くため息をついてくれたが諦めてくれたことにホッと安堵し胸を撫で下ろす翠。
   そう、それで良いんだ……と優しく微笑む。

 「どこまでも甘くて、見損ないましたよっ！」

   聖奈の閉じていた瞳はキッと鋭く睨み付け、ダンッと大きな踏み込みの音をたてた瞬間だった。 
   金属音と共に凄まじい衝撃を受けた。



















   ――何が起こったのか理解できなかった……。

   否、理解をした瞬間に左腕に焼けるような熱さと凄まじい痛みを感じ、見てみるとあるはずの左腕が無くなっている。
   痛みが脳裏で一杯のなか、聖奈に左腕を斬り飛ばされたと理解し、後ろを見ると壁に叩きつけられたのか血飛沫が壁にベッタリ着いており、床には大量の血と左腕が転がっていた。

 「うっ……うわぁああああぁぁあっ！！」

   左腕と左肩の境目を押さえながら止血を試みるも、切断されてしまった所からは涌き出るように血は流れ出る。
   タオルで縛れば止血はできるかもしれないが、大量の自分の血液に恐怖とパニックでそれどころではなくなり、慟哭どうこくすることしか出来ない。

 「確かに私の責任でもありました。 それはそれは身勝手な私の過失の出来事……。 ただ、起きてしまったことから目を背け、逃げることしか出来ない。 侍としての誇りを忘れた男児……心底私は翠様に失望いたしましたよ。」

 「うっ……うぅ、腕が……あ……あぅ……う。」

   大量の血液を失って顔が青くて震える体を支えながらも、聖奈に未だに表情で懇願する。
   立っているのが奇跡なくらいに。

 「お願いだ……止めてくれ。」

 「止めませんよ？ しっかりと私の事を殺してくださいな？」

   そんな言葉に翠は力無い右腕で刀を拾い上げるも、体に力が入らずにすぐに落としてしまう。
   翠の瞳にはもう既に生気が無くなっており、瞳も虚ろで呻き声を上げながら聖奈を見つめることしか出来ない。

 「はぁ……。 もう翠様の体が持ちませんね。 一度死んで……いえ、再び死んでいただきますね？ 一瞬で終わりますから。」

 「う……うぅ……。」

   聖奈は刀を握りしめて勢いよく踏み込んでは、翠の胸元に……心臓を刀で一突する。
   背中から刀が突き出て切っ先からは翠の鮮血が滴る中、聖奈は抜き取ると即死で絶命した翠はゴロリと倒れ込む。
   そんな翠の死体を見つめては、聖奈は和服の裾から黄色い札を取り出すと掲げる。

 「【日曜魔法・時戻し】」

   そう言うと札からは光が漏れだしては、周囲の空間が歪んで、また元に戻る。
   部屋に飛び散った大量の血飛沫は綺麗に何事も無かったかのように消えて、翠の左腕もきちんと元通りになって、聖奈は目覚めを待つことに。