神様project・異世界もチートも欲しくない！ 欲しいのは女神様だけ！！

七曜神の独尊な愛＋火曜【８７話～１２６話【～１４０話】

時の流れ！！

   ――そろそろ頃合いか……。

   塩トマトに冷蔵庫の残り物の紅鮭、カップ納豆に翠特製の料理と、質素ながらも満足気に見つめては腕組をし頷く彼は、彼女の起床を今か今かと待っていた。

 「そろそろ台所に来ても良い頃合いかと思うんだけどなぁ。」

   ドカッと椅子に腰かけては出来立ての料理が冷めないようにラップを一応かけておき、不本意だが様子を見ることに。
   それでも、寝ているようなら別に翠とて寝顔が見れるなら早起きは三文の得と言えるに違いないとドキドキする。

 「早速調査に出掛ける、後に続けっ！！」

   誰に言っているのかわからないが明らかにテンションは高くなっているのは見て取れ、台所から出る頃には手に拳銃を持つ仕草をしつつ、壁際から覗き込んではクリアリングしつつも寝室へと向かう。

 「よしっ、クリアだ……。」

   小声で寝室の障子の隙間から覗き見ると、布団はたたまさっていることに気が付き、もぬけの殻と化していたのだ。
   これには翠も予想外である。

 「あれ？ 居ないぞ……トイレとかに行ったんでしょ。 まぁ、時間的にも十分くらいは少し遅いけどいつも通りと割りきれば何も変なことではない。」

   すでに起きていたらしく、寝顔を再度拝む事が出来なくて少しガッカリして、あの時にやはり写メでも残しておけばよかったと後悔する想いも少なからずは湧き出てくる。
   しかし、寝顔以外の写真ならいろんな女神様と一緒に撮った物もたくさんあるので思い出には不足は無いと言っても過言ではない。
   翠は台所へと戻ることに。



















   ――回れ右……。

   台所に向かう途中であった。
   少しだけ見落としていたのがひとつあり、それは智美の居場所を確信させる唯一の手がかりだと翠の脳裏に閃きが走る。

 「ボイラーの音……か。」

   顎はツルツルでヒゲは生えてはいないものの、名探偵のように考えては納得する。
   お湯を沸かすボイラーの音、そして大好きなものと言えば言わなくても答えは出てくるだろう。
   そう……。

 「ふ……風呂かよっ！！」

   女神様の朝風呂タイムなのである。
   時間的ならもう台所にいても良いような時間で、たとえ朝風呂だとしても朝食に間に合わせる為に上がってくると推測はできるも、上がってくるような兆候すら見られずに、悠長に聴こえてくるのは心地の良い智美の甘い鼻唄だけが朝の神社に小さく響き渡っていたのであった。