神様project・異世界もチートも欲しくない! 欲しいのは女神様だけ!!

青衣

文字の大きさ
141 / 143
後日談

その後の展開!!

しおりを挟む
   ――儚き物語に終止符を……。

   あのあとはいろいろあって病院の診察を受けたり、制服を新しくしたりと忙しかったようで翠にとっては良い思い出となりつつある。
   幸いあの落雷では命に別状はなく、助かったことが奇跡に等しいくらいのようなものだが、あの日から体の中に不思議と今までに感じたことのない力が渦巻いて巣いるが手にとってわかる。
   もしかして、あの女神様と同様にだが微弱ながらも力がこちらの世界でも使えるようになった……のかは不明だが、そう思いたい。

 「まぁ、魔法は出ないけど……エネルギーみたいなのは渦巻いてるのはわかる……か。」

   翠は朝のホームルームの前の自由時間、椅子に座りながら自身の手を見つめてはグーパーを繰り返して、手に伝わるエネルギーを感じている。

 「それにしても、あれは夢だったのかねぇ。」

   落雷の影響で端末のデーターは全て吹っ飛んだ為に、思い出も結愛との動画すらも残ってはいない。
   それに自分が童貞なのかすらわからなくなってきたのだし、もし夢だったら何もかも泡沫なのである。

 「あの御守りもどこにも見当たらなかったし、きっと夢だったんだよ……。 そうだよ、俺にあんな素敵な女神様と……はぁ、やれやれ。」

   現実に戻ればこの有り様であり、あのとき戻りたくないと言えばあの幸せが永遠に続いてると思うと後悔する気持ちも大きい。
   どうにも納得いかない翠。

 「よぉ、何か考え事か?」

   一番後ろの席の窓側の翠にとっては、ひとつ手前の席の友人とは良き話し相手であり、右のとなりは現在フリースペースなのだから物寂しい。
 
 「ん? まぁな。」

 「ははーん、さては……?」

   友人はニヤニヤと感づいたのか腹黒い笑みで近寄ってくるも、もちろん考え事は察せられていたみたいで、どうせ友人も彼女無しなのだから彼女探しの話題とか、女性についての事には勘が鋭い。

 「勘がいつも鋭い……そうだよ、その通り。」

   友人はビンゴと思い指を鳴らすも何か思い付いたかのように顔を近づけては耳を貸すように口許に手を当てて防音壁を作る。
   どうせろくな話でもなければエロトークしか無いのだから聞き流そうと思いながらも耳を傾ける。

 「今日は転校生が来るみたいだ、しかも女子! 席は翠の隣で決まりだろうよ。」

 「そうかそうか、そりゃ良かったなぁ。」

   本来の翠にとっては有益で嬉しい情報に違いはなかったのかと知れないが、あいにく女神様が翠の彼女であるため、あれがもし夢であったとしても浮気は出来ないと心に誓う。
   しかし、友人は面白くない様子。

 「なんだよ、食い付き悪いなー……俺が貰っちゃうぞ?」

 「俺のじゃないし……欲しければ自由にどうぞ。 あいにく俺には居るのでね。」

   小指をおっ立てては勝ち誇った様子で友人にニヤニヤと笑い返す。
   友人もいつの間にと思い、悔しそうながらも納得はいかない。
   そう考えてると教室の扉がガラリと音を立てて開き、先生が入ってくる。



















   ――この気持ちは……。

   騒いでる生徒には一喝を浴びせる先生。

 「ほらー、静かにしろ……ホームルームを始めるぞ……っと。」

   出席名簿をめくりながら教卓に手をつくも、いつもと違う雰囲気が漂う。
  友人が情報をくれなきゃ、この雰囲気が何を言うのかはわからなかっただろう。

 「あー、今日から転校生が入るぞ……ほら、入ってきなさい。」

   すると、クラス中に歓声が広がるもまたもや先生が静かにするように一喝。
   嬉しいものは仕方がないが、静かにするのが当たり前なものであり、翠も内心は転校生を期待しているのだとか。

 「おおっ、可愛いじゃないかっ!」

   茶髪でロングな髪の少女は翠をもドキッとさせる外見で、その瞬間心がギュッと潰されるような感覚に陥る。
   ドキドキが止まらない……、それはこのクラスの男子全員がそう思うのではないだろうか。

 「え、えーと……私は【深城 海凛しんじょう まりん】と言います、よろしくお願いいたします。」

   彼女は一礼した。

 「じゃぁ、深城の席は色取りの席の隣だ。 一番後ろの窓側だ。」

   当然のことながらクラスの一同は翠を見つめる。
   羨ましがるものもいるだろうが、そんな視線が心地よくもあるのは気のせいではないだろう。
   そんな優越感に浸っていると隣の席に彼女は座るとニッコリ微笑んでは挨拶をする。
   その瞬間、あの時と同じように雷に打たれた感覚が体をよじ登りゾクゾクしてきては、挨拶を返す。

 「あ、あぁ……どうも。」

 「よろしくね!」

   彼女の笑顔は初対面なのにどこか懐かしい気持ちになる。
   そこかで会った事があるかと記憶の整理をしてみてもやはり思い出せない。
   モヤモヤする気持ちが激しいなか、授業は幕を開けるのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...