神様project【七曜の女神と幾億の旅跡】

青衣

文字の大きさ
8 / 121
序章【ヒラメキから始まるお話】

新たな目覚め

しおりを挟む
 昨日はよく笑っ……微笑んで、よく泣いた。
 あれだけ心がスカッとしたのだから快眠ができないわけがない、気持ちよく私は目覚めることが出来た。

 いや……、グッスリと快眠が出来たのだがなんなんだこのモヤモヤという違和感は?
 状況が掴めぬまま突如現れた頭のモヤモヤを抑えようと頭に手をあて軽く溜め息を付いたときだ、聞き慣れたいつもの声がやかましく耳元に響いた。

「あっ、目が覚めたのね!! 死んだように何日も眠り続けてたからビックリしたわよ!!」



 えっ……何日も?



 脳裏によぎる不安を煽る謎のワードが。
 通りで体が重々しくてダルいわけだ、でも呆れるにも怒る気にもなれない私はフフッとまた似つかわしくない含み笑いを吹き出した。
 じゃないとこちらとしても不安で押し潰されそうでならなくてしかたがない。

 とりあえずパソコンを立ち上げ何日寝ていたのか……、今日の日付を確認するべくドラッグし時計を見つめるもあれから1週間は私は寝続けていた計算になる。
 そう……1週間もずーっと、ずーっと!?
 そう思ったら体がゾワッとして気持ち悪くなってめまいがしそうだ。

 当たり前だろう、1日でも風呂を欠かすと死ぬほど嫌悪感に駆られるのにそれだけ間があれば気が狂いそうになって当たり前。
 というか普通に考えて1週間も入らなければ誰だってゾワッっとするのが当たり前なのだがな。

「なっ……なぁっ!? 私はずっと風呂に入れず……。」

 ダメだ、考えれば考えるほど今この場でお湯を召喚してバケツをひっくり返したような勢いで布団もろともビショビショに濡れたくなる。
 それでも唯一保てる理性でムックリと起き上がることを第一優先とする。

 落ち着け私、風呂はこの先じゃないか……3分以内には幸せの時間が訪れる。

「だ、大丈夫よ冥綾っ!! 寝ててもお毎日風呂に入れてあげたから……、いや本当よ!!」

 結愛の言葉に嘘はない。
 それにしても思い込みの力とは人をも殺すというからなぁ、鳥肌は治まったには収まったがこれは心臓に悪くてあのまま結愛がフォローしてくれなかったら死神あろうものがお陀仏だ。

 死因が風呂に入れずショック死なんて地獄で笑われものだ、そうなったら私はもう魂ごと消滅したいほどになる。
 すべての人格の私を殺して自害して……なんて、ははは。

「とりあえず……ん?」

 パソコンに一通の着信が鳴り響いたのだが、今回は青い封筒に雲のマーク。
 というか嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか、恐る恐る開封してみてみるとパソコンを叩きつけて破壊したくなるような文章が嫌でも視界に入ってくる。



【もうプロローグ長すぎて読者離れしそうだったから、結愛のイラストの案件通って着工式前日までスキップさせていただいたよ!! 追伸、キュウリは味噌漬けよりカラシ漬が私は好きだなぁ。 青ちゃんより。】



 私はなにも見てないぞ……、いやはや迷惑メールどころか迷惑怪文書じゃないか。
 こんなのはゴミ箱に入れて完全にこの世から抹消しなくてはならない。

 私はメールを即刻削除してはパソコンをシャットダウンした。
 妙な汗がドップリと溢れては風呂に入りたい気分だ。

「冥綾? なんか汗スゴいわよ!! 寝汗ってヤツね!!」

「あっ、あぁ……そうなんだよ。 さて結愛、一緒に風呂でも入るか? 明日は大切な日だろうからな。」

 その時だ。

「私も良いかなぁ~?」

 部屋の奥から今にも脳髄が蕩けそうなネットリとした催眠ボイスが聞こえてきた。
 いやはや、能天気にニッコリした金髪のセーラー服の女子高生がニュッと風呂桶を抱えてこちらに顔を覗かせてきた。
 コッチミンナ!!

「ねぇねぇ良いでしょ~!!」

 抱き付かれた……、いつものことだが抱き付かれた!!
 腕に当たるのはダイナマイトな2つのお山、本人は無自覚に押し付けてるのかもしれないが私にとっては宣戦布告って事で良いのかな?
 こっちこそねぇねぇ良いでしょ~って言い返したい、ねぇねぇ良いでしょ~?

 紹介が遅れたがこの金髪で空というか海というか透き通ったきれいな蒼眼の女は【日曜神の夏原 天音】だ。
 ちなみに私はこういう常にヘラヘラしたヤツが大の苦手なのだ。
 でも、あくまで苦手であって嫌いじゃない……というわけだからそこ間違えないように。

「じゃあお風呂にしゅっぱ~つ!!」

 勝手に仕切られた。
 まあいい、たまには女3人でかしましくしてやるとするかな。
 明日は大きなプロジェクトが始まるんだから、しっかりと疲れを洗い落としておかないと……ね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...