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第2章【月曜の荒野《夜朧》】
怪物と侍と乙女の涙
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もうどっちがどっちなのやら見ていてわかんないような気がするのは気のせいだろうか?
玄弥と門番の両方とも鬼のような形相で睨みあいをしているんだから私が両成敗してやってもいいんだがなぁ……まったく男という生き物はどうしてこうなんだろう。
ほら見ろ、結愛なんて飽きて蝶追いかけて遊ぶ始末だし……本当にこれでいいのか不安になってきたんだが。
「きっ、貴様アァッ……物怪の類いかっ!! ええい、人の面を被った化物になんぞ夜朧は屈せぬぞぉっ!!」
玄弥がナニをチャックに挟んで悶絶する顔は確かにこの世のものとは思えないが、そんなに痛いものなのか?
いや……わからなくても私は結構だが門番の言うことも一理はある。
もはや玄弥は化け物でもいいんじゃないかな。
それよりもいくら刃こぼれしてるとはいえ本物の刀を抜き身でこちらに向けているとなると少々厄介な事になりかねないに違いなく、万が一相手から攻撃を仕掛けたとしてもこちらが1度でも手を出せば……言わなくてもわかるだろう?
それに玄弥は短気だし売られた喧嘩は買う主義だ、私がなんとか阻止しなきゃ大変なことになってしまう。
「はんっ、そんなボロボロな刀を俺に向けてタダで済むと思わねぇ事だな。」
……まずい、玄弥は一般人に神器を使うつもりだ。
神器とは言わずもがな神が持つ特有の道具や武器の事で、私の場合はこの鎌なのだが……ってぇ、今はそんなことを悠長に説明してる場合じゃない。
戦闘が始まれば結果は目に見えてる、門番は瞬殺される。
基本的には他の地方の民同士で殺傷などタブーに近く、ましてや玄弥は1つの地方の長なのだ、それをわかった上でこういうことをしているとは考えたくもないが彼もナイフを抜き身で門番に向けてる以上は遊びじゃない。
ひしひしと伝わるこのオーラは紛れもなく本物の殺気。
「お、おい玄弥っ!! バカな真似はよせ。」
私だって恐怖を感じるとこはある、事実私が本気を出したとて玄弥に勝てるかどうかすら危ういのに……脳が恐怖心より先に体を動かしてしまった。
ナイフを握っている体をギュッーっと抱き締めて止めるかのように……。
「くっ、離せよっ!!」
「やだっ!! 玄弥お前何をしようとしてるのかわかっているのか!? こんなくだらない揉め事で計画がメチャクチャになってもいいのかっ!?」
私はこの計画をぜひとも応援して七刻を豊かに賑やかにしたいんだ。
じゃないと私の主が救われない……ここでこの計画を潰されてなるものか。
そう、主が救われなきゃ私達は消えてしまうんだ……。
それでも私は恐怖心に押し潰され続けながらも彼を抱き締め続けた。
とても長い時間が流れたように思えるほどで、彼の右手に持つナイフがいつ私の背中に突き刺さろうとも……。
ははっ、一丁前に私も涙を流して泣くものなのだな、この涙は女の武器……ちょっとだけその権利を使わせてもらうぞ。
1分がまるで3分くらいの長さに思えたが私にはどうだっていい、頭に温かな手のひらの感触が伝わってきた。
私の思いは届いたのだろうか?
いや、届いてくれなきゃ嫌なんだがなぁ……だって、私を泣かせっぱなしにするとなると玄弥は男として失格なんだからな!!
「女を泣かせるのは俺の主義に反する、悪かった悪かった。 実際相手の刃を叩き折って威嚇するつもりで直接怪我させたりするつもりは無かったんだぜ……うぅ、困ったぜ。 冥綾を泣かせた俺はどうすれば。」
ほほー、やはりプライド捨ててちょっと泣いてみれば男なんてコロッと落ちるもの。
いかんいかん、これじゃ私は魔性の女じゃないか。
けど玄弥に撫でられるのは勇気振り絞って止めたご褒美として受け取ってもらうよ、相当殺意が向けられて怖かったんだからさ。
ん? なにやら強い力が接近するのが頭のアホ毛で関知できるがまさかっ!?
玄弥と門番の両方とも鬼のような形相で睨みあいをしているんだから私が両成敗してやってもいいんだがなぁ……まったく男という生き物はどうしてこうなんだろう。
ほら見ろ、結愛なんて飽きて蝶追いかけて遊ぶ始末だし……本当にこれでいいのか不安になってきたんだが。
「きっ、貴様アァッ……物怪の類いかっ!! ええい、人の面を被った化物になんぞ夜朧は屈せぬぞぉっ!!」
玄弥がナニをチャックに挟んで悶絶する顔は確かにこの世のものとは思えないが、そんなに痛いものなのか?
いや……わからなくても私は結構だが門番の言うことも一理はある。
もはや玄弥は化け物でもいいんじゃないかな。
それよりもいくら刃こぼれしてるとはいえ本物の刀を抜き身でこちらに向けているとなると少々厄介な事になりかねないに違いなく、万が一相手から攻撃を仕掛けたとしてもこちらが1度でも手を出せば……言わなくてもわかるだろう?
それに玄弥は短気だし売られた喧嘩は買う主義だ、私がなんとか阻止しなきゃ大変なことになってしまう。
「はんっ、そんなボロボロな刀を俺に向けてタダで済むと思わねぇ事だな。」
……まずい、玄弥は一般人に神器を使うつもりだ。
神器とは言わずもがな神が持つ特有の道具や武器の事で、私の場合はこの鎌なのだが……ってぇ、今はそんなことを悠長に説明してる場合じゃない。
戦闘が始まれば結果は目に見えてる、門番は瞬殺される。
基本的には他の地方の民同士で殺傷などタブーに近く、ましてや玄弥は1つの地方の長なのだ、それをわかった上でこういうことをしているとは考えたくもないが彼もナイフを抜き身で門番に向けてる以上は遊びじゃない。
ひしひしと伝わるこのオーラは紛れもなく本物の殺気。
「お、おい玄弥っ!! バカな真似はよせ。」
私だって恐怖を感じるとこはある、事実私が本気を出したとて玄弥に勝てるかどうかすら危ういのに……脳が恐怖心より先に体を動かしてしまった。
ナイフを握っている体をギュッーっと抱き締めて止めるかのように……。
「くっ、離せよっ!!」
「やだっ!! 玄弥お前何をしようとしてるのかわかっているのか!? こんなくだらない揉め事で計画がメチャクチャになってもいいのかっ!?」
私はこの計画をぜひとも応援して七刻を豊かに賑やかにしたいんだ。
じゃないと私の主が救われない……ここでこの計画を潰されてなるものか。
そう、主が救われなきゃ私達は消えてしまうんだ……。
それでも私は恐怖心に押し潰され続けながらも彼を抱き締め続けた。
とても長い時間が流れたように思えるほどで、彼の右手に持つナイフがいつ私の背中に突き刺さろうとも……。
ははっ、一丁前に私も涙を流して泣くものなのだな、この涙は女の武器……ちょっとだけその権利を使わせてもらうぞ。
1分がまるで3分くらいの長さに思えたが私にはどうだっていい、頭に温かな手のひらの感触が伝わってきた。
私の思いは届いたのだろうか?
いや、届いてくれなきゃ嫌なんだがなぁ……だって、私を泣かせっぱなしにするとなると玄弥は男として失格なんだからな!!
「女を泣かせるのは俺の主義に反する、悪かった悪かった。 実際相手の刃を叩き折って威嚇するつもりで直接怪我させたりするつもりは無かったんだぜ……うぅ、困ったぜ。 冥綾を泣かせた俺はどうすれば。」
ほほー、やはりプライド捨ててちょっと泣いてみれば男なんてコロッと落ちるもの。
いかんいかん、これじゃ私は魔性の女じゃないか。
けど玄弥に撫でられるのは勇気振り絞って止めたご褒美として受け取ってもらうよ、相当殺意が向けられて怖かったんだからさ。
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